「だるまさんが、ころんだ!」
「あっ!動いた~!」
小さい頃よく友達と遊んだ「だるまさんがころんだ」
皆さんも一度は遊んだことがあるのではないでしょうか?
これがなんと、今の子どもたちは「だるまさんの一日」という遊びに進化しているとか!
ルールはほぼ同じで、「ころんだ」というところを例えば、「だるまさんが、本を読んだ」、「だるまさんが、寝た」といった具合になるんだそうです。
子どもがこの「だるまさんの一日」をして遊んでいるのを見て、「ここに防災を組み込めないかな…」と考え、防災ゲーム「だるまさんが地震」を発案したのが、以前ココロプレスでもご紹介したママさん防災士の佐藤美嶺さんです。
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4歳のお子さんを持つママさん防災士の佐藤美嶺さん イラストは佐藤さんのお手製です! |
11月28日、仙台市青葉区にある「子育てふれあいプラザ のびすく仙台」でこの防災ゲーム「だるまさんが地震」が行われました。
「災害が起きたときに一番最初に取る命を守るための行動を、避難行動と言います。まずはどんな行動を取ればいいのか。今日は小さなお子さんも参加できる簡単なゲームをしながら、命を守るための行動を学んでいきたいと思います。
災害というとすぐに避難所に行かなきゃ!と思う人も多いと思いますが、まずは命を守るために地震や火事のときは広いところ、大雨や津波は高いところに逃げるというのが一番大事になるんです。(アドバイス:東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔助教)避難所に行くのは、例えば家が燃えた、壊れた、流された、近くでガス爆発があったなど、家で暮らせなくなったとき。災害が起きたらまずやることは、命を守るために避難行動をすることなんです」
「いろいろある災害の中でも今日は、地震、火事、大雨、台風の4つの災害について、実際に災害が起きたときにどんな避難行動をとればいいのかを、みんなが知っている『だるまさんがころんだ』のゲームでやってみたいと思います!」
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・地震 → 広いところで頭を守る
・火事 → 広いところに逃げる
・大雨 → 高いところに逃げる
・台風 → お家や建物の中に入る
このルールに合わせてそれぞれ逃げる場所を設定、佐藤さんが選んだカードに合わせてその場所にいち早く逃げる
というゲームです。
では皆さんも一緒にやってみましょう!
「だるまさん、だるまさん、地震だ!」
地震のときの行動は??
広いところに逃げて頭を守ろう!
「だるまさん、だるまさん、台風だ!」
台風のときの行動は?
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子どもたちも一生懸命です! |
お家や建物の中に入ろう!
皆さんはできましたか?
ちなみに火事のときは、ハンカチなどで口をふさいで姿勢を低くして逃げることも大切なポイントです。
ゲームの最後に、
「大きいお姉ちゃんたちがすばやく逃げたときに、小さい子どもたちも後について一緒に逃げましたよね。この行動は実際の災害時にはとても大事なことなんですよ。早く逃げる人がいると、それにつられて逃げる。それで助かったという人はたくさんいます。危険があったら迷わず逃げるということを、ぜひ覚えていてほしいです」
と、佐藤さんは伝えます。
またこの日は、落下物からの赤ちゃんの守り方についても教えていただきました。
「赤ちゃんもお母さんも背骨がある分、お腹よりも背中の方が強いんです。こんな感じで覆いかぶさってください。もし机があるときは机の下に。揺れなどで机が動くことがあるので、机の脚もしっかり握ってくださいね」(参考:危機管理教育研究所 国崎信江氏)
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「だるまさんが地震」のポイントについて佐藤さんに伺いました。
「子どもって、話を聞くだけだと飽きちゃいますし、話だけで覚えてもらうのはすごく難しい。『だるまさんが地震』は同じことを何回も繰り返すことで、避難行動を学んでもらえるゲーム。自分を守るための最初の行動をこのゲームを通じて伝えられたらと考えました。避難行動は頭でいろいろ考えるとすぐに行動できなくなっちゃうんですよ。いくつもあると覚えられないですし。でも実際に自分で体を動かしたり、手を動かしたりしたことは記憶の片隅に残っていて、いざというときに思い出すことができると思うんです」
小学校のときにあった避難訓練。
「地震が発生しました」とスピーカーから流れるとみんな一斉に机の下に隠れました。
「避難訓練で地震が起きたらまずは机の下に、と教えられたことが一番頭に残っていますよね?しかし、“机の下”がキーワードだと、校庭にいた生徒がわざわざ学校の中に戻って机の下に隠れたということもあるそうなんです。教室にいれば机の下へ、校庭や体育館など広いところなら真ん中に集まって揺れが収まるのを待つ方が安全です。“机の下”が大事なのではなく、“命を守るためにどうするか”が大事だということ。そのためには、自分が居る場所によって避難行動が異なることも伝えたい」
と、佐藤さん。
災害が起きたらまずどう行動するか。
そのときの行動が大きな分かれ道になる場合もあります。
人任せにせずに、自分の命は自分で守るための行動を一人ひとりがきちんと身に着けなければなりません。
「だるまさんが地震」、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてくださいね!
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最後に今後の活動について、
「東日本大震災からまもなく5年。東日本大震災後にママになったという方も増えてきました。子どもを抱えながら被災するというイメージがつきにくい、考えられない、イメージしたことないから分からないと話すお母さんもいらっしゃいました。震災から時間が経って、関心が低くなってきている感じはありますね。今後は忘れないという意識をどうつなげていくかが課題。『やってみようかな』とスイッチを切り替えられるようなお話ができたらと思っています」
と、佐藤さんは話します。
経験はあっても、小さい子どもがいる、介護が必要な人がいるなど、家族構成や居住環境の違いにより災害時に必要なことは異なります。何か対策を考えなければと思いながら、心のどこかではこんな大きな災害はもうないんじゃないかとか、日々の生活で手いっぱいで防災のことまでは…と理由をつけてつい先延ばしにしてしまっているという方も多いのではないでしょうか。
私もその一人です。
でもあの時、どんな行動が生死を分けたのか、たくさんの方が身を以て経験し私たちに伝えてくれました。
災害から自分自身、そして家族を守ることはもちろんですが、それを次の世代に伝えていくことが今を生きる私たちの使命だとも思います。
子どもを抱えたママたちは災害から子どもをどう守るのか、避難生活のノウハウなど佐藤さんはご自身の経験からたくさんのことを教えてくださいます。
この輪が少しずつでも広がっていくことを願っています。
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ママの立場で考える防災・減災
https://sites.google.com/site/bousaisatomine/
【連絡先】
佐藤美嶺さんminesato.bosaicoza@gmail.com
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