昨秋、亘理町荒浜に、温泉と市場が戻ってきました。
「わたり温泉鳥の海」と「鳥の海ふれあい市場」です。
また、今春には、新しい「商店街」もオープンしました。
「にぎわい回廊商店街」です。
震災から4年が過ぎて・・・。
荒浜に、だんだんにぎわいが帰ってきています。
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鳥の海には「荒浜漁港」があり、そして町営の温泉宿泊施設である「わたり温泉鳥の海」もあります。
街には名物「ほっきめし」「しゃこめし」「はらこめし」などを食べさせる飲食店や、とれたてを販売する魚屋さん、お寿司屋さんなどがたくさん立ち並んでいました。
荒浜地区は亘理町の観光の中心的なゾーンでした。
鳥の海の面した荒浜漁港。 向こう側(写真奥)が太平洋になります |
「鳥の海荘」は倒壊こそ免れたものの、2階付近まで浸水したため営業は休止。
館内に入居していた産直市場「鳥の海ふれあい市場」も、そのまま閉鎖となりました。
市場は「鳥の海ふれあい市場協同組合」が運営していました。
震災前は110名ほどの組合員の皆さんがつくった自家製野菜やお総菜、とれたて鮮魚などが市場に並んでいました。
しかし、津波のあと、農地は海水に浸り、漁家は船を失いました。
さらに原発事故による風評被害も重なって、亘理町産の一次産品は、生産と販売の両方でダメージを受けてしまいました。
でも、組合員の皆さんは負けませんでした。
震災後に行われた会議では、集まった組合員の全員が『オレたちはまた畑をやりたい。漁もきっと再開させる。だから市場も必ず復活させよう!』と言ったそうです。
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「鳥の海ふれあい市場協同組合」の 男性の取締役菊地一男さん |
と語るのは、協同組合の理事長・菊地一男さん。
亘理町には、全国から大勢のボランティアがやってきました。
そして農地復旧に力を振るい、また再開を目指す市場の仮設店舗には壁画を描いてくれたり、設備の搬入などを手伝ってくれました。
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こちらは昨秋まで市場が営業していた仮設店舗。 今は資材置き場などとして使われています |
お正月の準備に・・・と、多くの〝昔なじみ〟が駆けつけてくれたそうです。
しばらくは風評被害もなかなか収まらず、平日はお客さんが少ない状況が続きました。
でも、2012年の秋になると、亘理町に名物「はらこめし」が帰ってきました。
すると、遠くからの観光客も増え、市場にも、次第に客足が戻ってきました。
「お客さんは少なかったけれど、海には魚がいっぱいます(笑)」と菊地さん。
「荒浜といえば特にカレイ、ヒラメが有名です。他にもシラウオ、タコ、カワハギ、クサウオ。アカガイやホッキ(ウバガイ)も。冬はワタリガニもいっぱいとれたなあ」
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鳥の海ふれあい市場協同組合の皆さん |
2014年10月4日、港のそばに、「きずなぽーと わたり」という新しい施設が完成し、「鳥の海ふれあい市場」は、その1階に新装オープンしました。
また、同じ日には「わたり温泉鳥の海(旧鳥の海荘)」も営業を再開。
荒浜地区ににぎわいを呼び戻すための核となるふたつの施設が、本格的な復活を迎えたのです。
3階建ての「きずなぽーと わたり」 「ふれあい市場」は1階に入居しています |
さらに、2015年3月14日には、「きずなぽーと わたり」と「わたり温泉鳥の海」とを結ぶ中間地点に「にぎわい回廊商店街」も完成しました。
敷地面積は8500㎡。施設全体にアルミ製の大きな屋根(アーケード)が掛けられていて、真ん中を貫くメーンストリートには、雑貨店、自転車店、カフェ、居酒屋、海鮮丼などを提供する食堂など8店舗があります。
また、アーケードの下ではイベントなども開催可能です。
大屋根の下にお店が連なる「にぎわい回廊商店街」。 この日は晴れていたので外でイベントが行われましたが、 急な雨のときには、ここを会場として使えそうな広さです。 |
「市場と温泉、そしてこの商店街とで協力しながら人を呼び込んでいきたいですね。また荒浜地区には、将来的には運動公園やパークゴルフ場なども造られる予定です。なんだかんだいっても、鳥の海はやっぱり亘理の観光の中心になる場所です」と菊地さん。
今は内陸の仮設住宅にいる元荒浜地区の住民の皆さんも「またきっと荒浜へ戻りたい」とおっしゃる方が多いそうです。
「やはりここが〝ふるさと〟なんです。戻ってくる人が増えて、また街ができて、〝なりわいとにぎわい〟がここに帰ってきたら、それが何よりもうれしいです」(菊地さん)
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鳥の海ふれあい市場の野菜販売コーナー |
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こちらは鮮魚コーナーです。 朝獲りの野菜とぴちぴちの鮮魚が、 産地ならではのお値段で買うことができます |
亘理町、山元町の名物料理「ほっきめし」は5月中旬まで。
「いちご狩り」は6月上旬まで。
そして市場には、初夏の旬菜旬魚がどっさり。
戻りつつある街のにぎわいの中へ、ぜひ足をお運びください。