東日本大震災発生から4年の歳月が流れました。
震災で両親または片親を亡くした震災遺児は全国に1,700人以上いると言われています。
経済的な理由から進学や自分の夢を諦めてしまうことのないようにと、カゴメ株式会社・カルビー株式会社・ロート製薬株式会社の企業3社により平成23年10月に設立された「公益財団法人 みちのく未来基金」。
その活動も4年目を迎えます。
平成25年4月からは新たにエバラ食品工業株式会社も参画し、スタッフ派遣企業は4社となりました。
これまでの記事
====================
震災遺児に進学の夢を!みちのく未来基金(仙台市)
平成26年11月19日 水曜日
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/11/blog-post_25.html
====================
小春日和の3月14日。
仙台市太白区にある公立大学法人宮城大学太白キャンパスで「みちのく未来基金第4期生の集い」という式典があり、取材に伺いました。
「第4期生の集い」に集まったのは、「みちのく未来基金」を寄付金等で応援している企業や個人のサポーターの皆さん。
「みちのく未来基金」事務局スタッフ。
県内外各地の進学先から手伝いに駆けつけた1期生〜3期生の「みちのく生」(みちのく未来基金より奨学金給付を受けている奨学生)の皆さん。
そして新たにエントリーし、希望の学校へ入学の決まった4期生です。
3部構成の式典はまず、サポータの方々への報告として「みちのく未来基金の現状報告とお礼」から始まりました。
次に、進学先が決まり新しいくみちのく生となった「4期生の門出の会」。最後に、学校を卒業し就職が決まったみちのく生の「旅立ちの会」が行われました。
白いジャンパーを着ているのは「4期生の集い」のサポートスタッフとして手伝いに来てくれた 1期生〜3期生の53名の先輩みちのく生たち |
そして新たな4期生のエントリー104名の中から、3月11日の時点で92名が決定していました。
4期生で特筆すべきなのは、原発関連死の遺児のエントリーが初めてなされたこと。
また、岩手県、宮城県、福島県の被災3県の子どもたちの他に、東日本大震災の時にたまたま東北に出張に来ていた父親が被災した他県の遺児2人も含まれています。
そのような子どもたちは多くいると考えられ、これからもそのような事例は増えると「みちのく未来基金」では予想しています。
進学先は国公立大学、私立大学、短期大学、専門学校などさまざまです。
進学地域は半数以上が東北ですが、4期生の約3割は関東の学校を選んでいるのが今年の特色だそうです。
4期生が入場してきました |
「地元に戻り作業療法士として地元に貢献したい」(東北福祉大学:女子)
「フランスにあるお菓子屋さんでパティシエとして働きたい」(仙台YMCA国際ホテル専門学校:女子)
「震災後に短期留学させていただいたことと、震災で世界中から大きな支援をいただいたことがきっかけで、国際的な仕事で世界に貢献したいと思っています」(明治学院大学:女子)
「震災のとき、いろいろな創作物に助けられたました。技能を磨いて癒しを与えられるような作家になりたい」(東北芸術工科大学:男子)
「トリマーになりたい。震災から今までたくさんの人に支援してもらいました。その思いに応えたいと思います。」
(日本環境科学学院専門学校アニマルインターカレッジ:女子)
進学する学校と夢や目標を語る4期生の皆さん |
「保育士になりたい」「父のような自動車整備士になりたい」「建築士になりたい」 「小学校の教師になりたい」「和食の調理師になりたい」「災害に強い町づくりをするために 土木の仕事をしたい」など自分の夢を書いた卵シールが貼られた「4期生の『わ』」 |
この春学校を卒業し就職が決まった1期生、2期生は30名。同時に「みちのく未来基金」も卒業です。
「旅立ちの会」ではこの日参加した7名に、基金の卒業証書「羽ばたく君へ」と記念品、そしてみちのく生手作りの花束が、代表理事の長沼孝義さんから手渡されました。
「無事に卒業できました。4月から保育士としてがんばります。
卒業できたのはサポーターの皆さまやみちのく基金の皆さまのおかげです。
3年間のご支援、ありがとうございました。」(1期生男子)
「就職先は東京の西日暮里にある美容室です。
お客様1人1人の持ち味を活かして、ヘアカラーやスタイルを120%作れるような美容師になりたいです。」(2期生男子)
「東京都新宿にある、舞台照明の保守・メンテナンスをしている会社に就職が決まりました。4月からテーマパークでの業務が行うことができます。
夢であった照明の仕事に就けたのも皆さまのご支援のおかげです。ありがとうございました。」(2期生女子)
など、卒業するみちのく生から一言がありました。
= = = = = = = = = = = = = = = = =
来賓のお祝いの言葉にも、みちのく生への深い思いを感じました。
杉昭重さんは4期生へのエールを込めた歌 「君のもとへ」を歌ってくださいました |
東日本大震災のときに校長を務めていた福島県立安積黎明高校に、卒業生でシンガーソングライターとして京都で活動しているヤミー(Yammy)さんが駆け付け、メッセージを込めた「君のもとへ」という歌を歌ってくれたそうです。
「その歌に力づけられ、歌の力のすごさを実感しました。
『今できる事を精一杯やりなさい』という意味の歌詞があり、自分が生徒たちに話し続けていたのと同じような言葉でした。
今日ここに立って語ってくれたことを忘れず、皆さんが持っている夢を一人一人達成してください。
そうすることが結果的に東北の、また日本の復興につながります。
決して自分の夢や目標を忘れす。今日の感激も忘れることなく、これからの学生生活を送ってほしい」
= = = = = = = = = = = = = = = = =
西郷辰弘さんと西郷喜代子さん |
「私の会社も震災で被災し、12の店舗に大きな被害が出ました。
その時、マネジメントの父といわれるピーター・ドラッカーの本の中の言葉に励まされました。それは、優先順位の原則としての4つの言葉です。
『過去よりも未来を』『問題解決よりも機会を捉えよ』『独自性を』『容易なことよりも変革を』。
中でも『未来』と『機会を捉えよ』その2つの言葉で自分は立ち直ることができました。
また、『機会はピンチ面して近づいて来る』と言われています。
そこで立ち止まったり逃げたり、諦めたりという事になると、せっかくの機会も消えてなくなってしまいます。
皆さんは機会を1度手に入れました。これからも立ち止まらずに、そのピンチ面を飛び越え機会をしっかり捉えてほしい。
これから大変なことがあると思いますが、負けないでしっかり勉強してもらいたい」= = = = = = = = = = = = = = = = =
事務局スタッフの皆さん。左より:竹中俊之さん(エバラ食品工業)、中村杏菜さん(ロート製薬) 斎藤雅子さん(カルビー)、大内日花里さん、瀬川敏克さん(ロート製薬) 佐藤清さん(カゴメ)、長沼孝義さん、安井正紀さん(カルビー) 北岡祐治さん(カゴメ)、佐藤篤子さん(カルビー)、末田隆司さん(カゴメ) |
「4期生おめでとう。
先輩たちもそうだったが、頑張りすぎない。それがすごく大事です。
これからも何かあったら必ず仲間がいますので、これだけ仲間がいれば何でも乗り越えられると思います。
現在の1~4期生が未来のみちのく生を応援してくれる姿が、私や事務局みんなの夢です」最後に代表理事の長沼孝義さんからそんな言葉がありました。
「みちのく未来基金」は、企業や個人からの寄付金で成り立っています。
現在サポーターの輪は広がり、年々支援の件数は増えていますが、支援を必要としている震災遺児は全国に千数百人いると言われています。
これからも多くの方からのご支援をよろしくお願いします。
☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆
【寄附振込先】
■七十七銀行
本店(店舗コード100)普通預金 口座番号:7951345
■三菱東京UFJ銀行
仙台支店(店舗コード314)普通預金 口座番号:0271354
スタッフジャンパーのデザインは 2期生女子によるものです |
記号:18150 番号:27549411
■他銀行からゆうちょ銀行へのお振込
店名:八一八 店番:818
普通預金 口座番号:2754941
★共通
口座名義/公益財団法人 みちのく未来基金
口座カナ名義/ザイ)ミチノクミライキキン
※ほか、クレジットカードによる引き落とし、現金書留もお選びいただけます。
詳細は下記HPより参照ください。
サポートスタッフは先輩みちのく生 |
〒981-3135
宮城県仙台市泉区八乙女中央5-10-8
八乙女ユナイトビル2F
TEL.022-343-9996 FAX.022-343-9997
E-mail info@michinoku-mirai.org
(取材日 平成27年3月14日)