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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年10月29日水曜日

2014年10月29日水曜日9:43
こんにちはエムです。

NPO法人宮城県森林インストラクター協会主催、「環境教育防災林・見学会」の第2弾をお送りします。

「環境教育防災林」とは、東日本大震災で多くの子どもたちの命が失われたことをきっかけに、NPO法人宮城県森林インストラクター協会(以下:森林インストラクター協会)が考え、県内外に提唱しているものです。
中心となる考えは、「子どもたち自身が『生き抜く力』を持つこと」
森林インストラクター協会は、その「生き抜く力」を育む森づくりを、地域や学校と一緒に行っています。

今までの記事
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2014年10月25日 土曜日
「生き抜く力」を子どもたちに~「環境教育防災林」(利府町、柴田町)
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/10/blog-post_25.html
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1回目の「柴田町立柴田小学校」に次いで訪れたのは、仙台市の北に位置する黒川郡富谷町の「西成田コミュニティセンター」です。


ーーーー 西成田コミュニティセンター ーーーー

保育士が常駐し、就学前の子どもを持つ親子を対象にした「子育てサロン」
建物の一部を使って行われています。
日曜日、月曜日・祝日・年末年始を除き毎日開催されているようです

「西成田コミュニティセンター」(以下:コミュニティセンター)の建物は昭和49年に廃校になった旧成田小学校です。
コミュニティセンター内部
地域の住民が集まれる施設として改修し、昭和50年から機能していましたが、平成21年から23年にかけてさらに使いやすく改修工事が成され、当時の学校の面影を残した現在の姿になりました。
「子育てサロン」の他、敬老会や同窓会などの会合や、泊まりがけの研修などに利用され、年間の利用者は述べ1万人以上だそうです。

周りには森林インストラクター協会が協力して整備している「西コミおっちゃの森」と名付けられた豊かな自然があります。

「環境教育防災林」として整備している森ではありませんが、その要素がたくさん詰まっている森として案内していただきました。

自然観察の他、休耕田や耕作放棄地を利用した野菜作りなどもしています。
夏はホタルが飛んでいるのを見ることもできるそうです
ここでは年4、5回、富谷町の親子を対象にした森づくりや自然体験の活動を行っており、子どもたちも森づくりに参加しています。

「おっちゃの井戸」
災害時の生活用水確保のため、三井物産環境基金の復興助成により
森林インストラクター協会が掘削・設置しました
ここには完成した井戸がありました。飲み水にはなりませんが、生活用水として活用できるそうです。
「難航しているところもあるけど、掘ったところは全部に設置したいんです」
森林インストラクター協会の高梨さんが、現代風の井戸を指しながら言いました。


この季節に「ばたふらいガーデン」
入ってみるとカラタチ、サンショウ、カラスサンショウなどの木に、アゲハチョウの幼虫がたくさんいました。
森林インストラクター協会の方の説明によると、キアゲハ、ナミアゲハ、クロアゲハなどの種類がいるとのことでした。
サナギで越冬するために、大急ぎで大きくなっているところです

子どもたちの作った樹名板があちこちに下がっていました

「サン・ピョン・ビオトープ」
昔は普通に見られた水辺の生き物が、たくさんすんでいます
森林インストラクター協会の方々があっという間に水中生物をすくって見せてくれました。全て子どもたちの観察と勉強用なのです。

トンボの幼虫のヤゴ。右はお腹が赤い「アカハラ」というイモリ。小さいマツモムシと一緒。
「懐かしい」「昔はよく見たよね~」などの声が

「サン・ピョン・ビオトープ」でしばし子どもの頃に浸った私たちは、さらに森の奥へと案内されました。

この道は熊野神社まで続いているそうです。いわば裏参道

散歩に気持ちよさそうな遊歩道が整備されています

コミュニティセンター方向を見下ろす場所に、畑が作られていました。
これから富谷町の子どもたちと収穫する予定の畑には、サツマイモや小豆などが育っていました

「この森は子どもたちが遊ぶために作っています」
そう言いながら、ハサミやナイフを使って切ったヨシの葉を編んで生き物を作ったり、葉っぱを「パーン」と鳴らして飛ばしたり、笛のように「ピー」っと鳴らしたりと、次々と森の遊びを紹介してくださる方が……。
森林インストラクター協会の木村健太郎さんです。
見ると腰にはたくさんの道具が下がり、いつ、どこでも子どもたちと遊べる状態です。

小さい魚と大きな魚。荷物の中から目とボンドを取り出し、ご覧のように完成しました
 
バッタ! そしてカタツムリ! 「すごい」の一言です

腰にはハサミやナイフなどの他、木の枝で作ったパチンコも下がっています
森の中で、水を得た魚のような木村さん

森林インストラクター協会では東日本大震災のような災害が起こった時に、子どもたち自身が「自分の身を守るんだ」と思い、そして「逃げる」、そんな力を身に付けてもらいたいと考えています。
そのために「環境教育防災林」の役割を多くの学校や地域で取り入れ、活用することが大事だと言います。

森林インストラクター協会の高梨眞二さんは、この「西コミおっちゃの森」や「柴田小学校」のような豊かな自然がなくても、規模に合わせた防災林作りは可能だと説明します。

「我々はまず、どんなものを作れば防災林になるのかを一緒に考えます。
そして『環境教育防災林』は、子どもたちと一緒に作ることが大事だと思っています。道具の使い方を覚えると災害時に役立ちますし、一緒に作ることで協力する心が育まれます。

しかし、せっかく作っても活用しなければ何の役にも立ちません。
森に入って遊んだり、学んだり、とにかく森に入る。そういう行動があると我々の提唱する『生き抜く力』が身に付くのです」

なるほど。森が楽しい場所だと分かれば、子どもたちはどんどん森に入ってきます。そのためにも木村さんのような遊びのガイドがいれば、森をもっと魅力的に感じるに違いありません。

こんな森で遊び、学び、大人と一緒に働いた子どもたちが、たくましく「生き抜く力」を身に付けた姿が目に見えるようです。


栗まで拾い、自然を満喫した私たちは、見学会最後の場所、七ヶ浜町の「諏訪神社」に向かいました。
その様子は回を改めてお伝えします。


☆ お問い合わせ・詳細はホームページを参照ください。

◆ 西成田コミュニティセンター/富谷町役場ホームページ
http://www.town.tomiya.miyagi.jp/info/svFacHP.aspx?faccd=S016

◆ 宮城県森林インストラクター協会
http://mifi.main.jp/

(取材日 平成26年9月26日)