気仙沼駅のロータリーのすぐ近くに、平成26年5月29日にオープンした「梅村マルティナ気仙沼FSアトリエ」。
店内に入ると、カラフルなドイツ製の毛糸で編んだ、ぬくもりのある帽子やソックスなどの商品と色とりどりの毛糸が出迎えてくれます。
このショップは、梅村マルティナさんが「女性たちが作るニット製品とその取り組みをもっと多くの人に知ってもらい、地元の方々の交流の場になれば」との思いでオープンさせました。
ドイツから直輸入されている毛糸 「気仙沼」「南三陸」などの自然を表現した毛糸もあります |
震災直後の平成23年4月、梅村マルティナさんは気仙沼市唐桑町の小原木中学校に設置されていた避難所に毛糸、編み針、編み物レシピを届け、支援活動を始めました。
平成23年6月に初めてマルティナさんは、小原木中学校の避難所を訪れました。
当時180人ほどが避難していましたが編み物に取り組んでいたのは15人ほどでした。
編み物のできる人たちはすぐに編み物に取り組みましたが、男性や編み物の経験のない人たちは無関心でした。
避難している人たちの表情に元気がないことを感じたマルティナさんは誰もが簡単にできる「小原木タコちゃん」を考案しました。
小原木タコちゃん |
マルティナさんは「小原木タコちゃん」を通した交流の中で、気仙沼地域の主幹産業が水産業であること。震災の大津波が女性が働いていた水産加工場に大きな被害を与えたことなどを知りました。
この地域に女性が働ける場所が少ないことを知り、平成24年3月にニット商品の製造、インターネット販売を手がける工房「梅村マルティナ気仙沼FSアトリエ」を立ち上げました。
現在、子育て中の女性を中心に8人を雇用しています。
勤務時間は午前10時から午後3時までですが、家庭の事情などに配慮しシフト制を導入し、休みを取りやすくするなど女性が働きやすい環境づくりに努めています。
========================
マルティナさんは、商品をていねいに紹介してくださいました。
色とりどりの毛糸で編まれた靴下 |
現在抱える悩みについて「毛糸の仕入れの時期と、季節による売上の不安定さ、商品の製作時期のリズムがまだうまくつかめない」と話します。
ニットで編まれたショールは 軽くて温かいと人気の商品です |
「梅村マルティナ気仙沼FSアトリエ」のオススメは「腹巻き帽子」です。形は腹巻きですが、リバーシブルで使えるニット製品の帽子は、腹まきフード、ネックウォーマーなど多様に使えます。
シュシュなどの小物も販売しています |
マルティナさんは、「女性たちの仕事を評価して製品を、購入をして欲しい。同情での購入は長続きしない。私たちの製品のファンになってほしい」と話します。
===================
10年後の夢をマルティナさんにうかがうと、気仙沼の女性たちに会社を譲渡して「悠々自適」な生活をすることかな?とおどけた後で
「毛糸にふれればみんなしあわせ」と話す 梅村マルティナさん(左) |
「まずは女性たちが安心して仕事ができるアトリエが欲しいです。今のアトリエは震災の時、津波被害のあった場所。大きな地震があるたびに心配しなければなりません。女性たちが安心して仕事ができる環境をまず作りたいです」と話しました。
===================
震災後たくさんの女性が手仕事をスタートしました。
しかしその多くが販路の縮小などで仕事を失っています。
さんが「同情での仕事は続かない」と話していたのが印象的でした。
女性の起業と継続のための社会的サポート必要性を感じます。
(取材日 平成26年7月6日)