5月31日。
世界中の青空を全部、宮城に持ってきてしまったような、素晴らしい五月晴れとなったこの日、岩沼市の相野釜地区で、昨年に引き続き2回目の開催となる「千年希望の丘 植樹祭2014」が開催されました。
場所は仙台空港の南東側付近。 空気が澄んだ日には蔵王連峰まで見晴らせます |
こちらの記事(予告編)と合わせてお読みください。
2014年5月16日 金曜日
「千年希望の丘 植樹祭 2014」のお知らせ(岩沼市)
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/05/2014.htmlこの丘は、もとは集落があった場所。また、黒松を中心とした防潮林がありました。
岩沼市は、何もかもが波に洗い流されてしまったこの場所に震災ガレキを集め、丘を築造しました。そして、「いのちを守る森」として、10万本の木々を植えています。
植樹祭は「千年先の未来を生きる子どもたちへ森を届けよう」という歴史的なビックイベント。
植樹を指導したのは、横浜国立大学の宮脇昭名誉教授です。
宮脇教授は、黒松を中心とした従来型の防潮堤に代わって、津波や台風や火災にも強いタブ、シイ、カシといった多様な常緑広葉樹の林を育て、根を張らせることで津波の力を減水できると提唱してきました。
宮脇昭教授(中央)と女優の鈴木京香さん(仙台市出身)。 今はまだ、こんなに小さな苗木ですが、15~20年後には 丘は漫々の緑に埋もれてしまっているでしょう |
岩沼市は教授の考えを取り入れて、市域に「千年希望の丘」そして「震災メモリアルパーク」への植樹を、市民参加型で進めてきたのでした。
常緑広葉樹の森には、7つの利点があるのだとか。
ひとつめは、多層構造の森の緑が津波のエネルギーを低減してくれます。
ふたつめは、引き波でさらわれていく家や車を、網のように食い止めてくれます。
みっつめは、根がガレキを抱くように張り、木々はいっそう安定します。
よっつめは、木々が自然の力で循環するため、メンテナンスがいりません。
いつつめは、森から生まれるミネラルが海や川を豊かに育ててくれます。
むっつめは、森の呼吸が、地球の温暖化防止にも一役買います。
ななつめは、しっかりと根を張る水分の多い木々が火災や風雨から暮らしを守ってくれます。
--それは〝緑の長城〟なのです。
会場の「一部」です。 今はまだ、枯れ地も広がっているけれど、 やがて、海の光に森の風がきらめくステキな場所へと変わっていきます |
海と、内陸に暮らす私たちを、冷たく、硬く隔ててしまうのではなく、夏風も北風も通り抜け、若葉や落葉の匂いも届けてくれながら、「森においでよ」「海まで歩こうよ」と誘ってくれる、やすらぎの場所にもなっていくはずです。
地元・岩沼市立玉浦小学校の子どもたち約80人も参加。 彼らが作った森は、彼らの子どもたち、さらにその子どもたち・・・が、 きっときっと、ずっと先の未来にまで残していってくれるはず |
当日は、約7000人もの人たちが、全国からやってきました。
もちろん地元である宮城からも、大人や子どもたち、多くの人が参加しました。
そして、植えられた苗木の数は、約7万本!
このイベントは来年もまた、続けられる予定です。
岩手県大槌町から参加された「大槌町連合婦人会」の皆さん。 「暑いかなと思ってましたが海風がきもちよかった。 大槌町でも植樹活動をしているんですよ。 未来の子どもたちに繋がって、私たちも頑張らないと!」 (代表の古舘和子さん/前列左) |
南三陸町から参加していた「一般社団法人 震災復興支援協会 つながり」の皆さん。 「南三陸町も、緑の防潮堤で守られる町になってほしいな」 (三浦宮倫子さん/前列左) |
今を生きている私たちの思いと祈りを、未来の子どもたちへ繋げたい――。
〝31世紀の子どもたち〟へ、美しい森を届ける〝千年に一度〟の歴史的イベントなのです。
(取材日 平成26年5月31日)