こんにちは エムです。
一瞬で甚大な被害をもたらした東日本大震災。
その直後から国内のみならず海外からもたくさんの支援をいただき、復興につなげてきました。
また、現在では「自分たちの町は自分たちの手で」という気持ちで活動を始めている方々もあり、その傷跡は少しづつ修復されつつあります。
「人口の減少」「伝承文化の喪失」「文化活動の減少」などが挙げられますが、「心の問題」を抱えて“ひきこもり”になってしまう人も多いと聞きます。
歴史あるたたずまいのご自宅 |
亘理郡山元町で、そんな問題に歯止めをかけ、なんとか町を活性化したいと尽力しているNPO団体「亘理山元まちおこし振興会」の理事長を務める千石信夫さんを取材させていただきました。
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釘を使わない古来の建築方法は残すべき財産です |
「亘理山元まちおこし振興会」の連絡先である千石さんのご自宅を訪ねると、まず黒くて大きな梁(はり)に目を奪われます。一目で古い歴史のある建物と分かりました。
天井は高く、天窓からは柔らかな秋の陽が差し込み、現代と古いものが調和した内装。それがなぜかとても落ち着く、そして同時に懐かしさを感じるお宅でした。
お聞きすると、築150年は経っているとのこと。
千石さんは「古民家」を残す活動もしているそうですが、このご自宅もその一環ではないかと思われました。
千石さんからは、「残そうと思って解体し、現在保管してあるのは築200年近く経っている古民家ですよ」というお返事。
震災の津波によって山元町の沿岸部の多くの民家が流されました。今となっては知る由もありませんが、その中には歴史的に価値のある古民家もあったのではと推測されます。今回のような災害などによる文化の喪失を防ぐには、守っていく努力が必要になってきます。
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高速道路計画の真ん中にあった築(約)200年の古民家。 現在は解体後保管され復元を待っています(画像提供:千石さん) |
平成21年9月に設立した「亘理山元まちおこし振興会」は震災前から“山元町のまちおこし”を考えて活動してきました。
現在でも『文化・スポーツ振興事業』『特産品・ブランド研究開発事業』『人材活用支援事業』など多方面に渡る活動を、復興を願う各方面の方々との協力の元、活発に行っているそうです。
一級建築士 安井妙子さんの協力で解体され保管してある「古民家」ですが、なんとか復元し、山元町の何らかの施設に再利用できないだろうかと各方面に提案しています。
千石さんは、「古民家は町の文化財産なのです。古民家を活用した施設は、必ず将来の山元町の文化や教育にとって有益なものになるはずです」と語りました。
また地元の歴史にも注目した『文化振興事業』も展開しています。
地元歴史の第一人者である菊池文武さんによると、平安の昔、山元町とその近辺で鉄を生産していたという、いままで知られていなかった史実がありました。
地元歴史の第一人者である菊池文武さんによると、平安の昔、山元町とその近辺で鉄を生産していたという、いままで知られていなかった史実がありました。
古代において鉄生産地としては鳥取に次ぐ中心地だったらしいのです。
こうした興味深いテーマで、菊池さんによるシンポジウムが今まで5回開催されました。
こうした興味深いテーマで、菊池さんによるシンポジウムが今まで5回開催されました。
「復興を願っての活動のひとつ、“地域資源を活かしたまちおこし”につながれば」と菊池さんは自身の著『山元町での鉄生産に始まる古代東北の物語』でそう結んでいます。
『文化・スポーツ振興事業』では他にも、「亘理山元まちおこし振興会」主催による無料のコンサートが今年も何度か開かれました。
被災者の方のためにと開催されたクラシックコンサートは、皆さんに心休まる時間を提供してます。
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「古代における山元町の鉄生産の歴史シンポジウム」 (画像提供:千石さん) |
『文化・スポーツ振興事業』では他にも、「亘理山元まちおこし振興会」主催による無料のコンサートが今年も何度か開かれました。
被災者の方のためにと開催されたクラシックコンサートは、皆さんに心休まる時間を提供してます。
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桐朋音楽学園の子どもたちによるクラシックコンサート |
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ソプラノ歌手とピアノ奏者によるクラシックコンサート |
『特産品・ブランド研究開発事業』では農業の活性化のために、新しい特産物の開発に着手しているそうです。まだ発表できる段階ではないそうですので、その時まで楽しみにお待ちしようと思います。
その他、新たに“ワイナリー”を作ってはどうかとの提案がなされているそうですが、どちらもこれからが楽しみな企画です。
また『人材活用支援事業』として、仮設住宅に住む方々を対象にした“農業体験”を今年4月から行っています。
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仮設住宅に住む皆さんの農作業(画像提供:千石さん) |
他にも、シルバー人材センターの無かった山元町で希望者を募り“シルバー人材活動”を始めました。現在登録がある約40名の方に草刈りや庭仕事など、必要に応じた作業をしてもらうことにより、引きこもり防止につなげる活動も行っています。
シルバー人材活動(画像提供:千石さん) |
それにしても「亘理山元まちおこし振興会」の活動はまるでもう1つの“町政”のように感じました。ここまで町のことを考えて活動なさっているのはどうしてなのでしょうか。
「町は復興で手一杯なので、われわれが動いているだけなんです」と、あくまでも謙虚な千石さん。
「山元町は震災後、人口が約3000人減っています。私たちはなんとか町を活性化したい有志の集まりですが、行政と連携しつつも地域自治による住民主導のまちおこしが必要と考えています」
「活性化するには、山元町を魅力ある町にするのが一番なのです。リンゴやイチゴを買いに来てくれた人が立ち寄れる文化施設があったり、歴史的なアプローチから山元町を紹介することで観光・交流人が増える。
「活性化するには、山元町を魅力ある町にするのが一番なのです。リンゴやイチゴを買いに来てくれた人が立ち寄れる文化施設があったり、歴史的なアプローチから山元町を紹介することで観光・交流人が増える。
そして“特産物”などがあれば農業や産業も元気になる。“魅力ある山元町”が活性化につながると思っています」
なるほど、「亘理山元まちおこし振興会」は地元を愛する心強い方々が集まっているのですね。そんな人材を育む“山元町”には確かにたくさんの魅力があり、しかもまだ眠っているものもあるようです。
震災は多くのものを奪い去りましたが、千石さんたちのような、地元で頑張ろうと思う人を増やしたのかもしれません。
山元町の今後をこれからも取材させていただこうと思っています。
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「古民家解体調査報告会」のお知らせ
日 時/平成25年11月30日 13:30~15:00
場 所/山元町中央公民館 会議室
(山元町浅生原日向12-1)
講 師/阿部和建築文化研究主幹研究員 安井妙子 氏
参加費/無料
詳しくは「亘理山元振興会ホームページ」内のブログを参照ください。
http://www.watari-yamamoto.com/
「古い家のない町は思い出の無い人間と同じである」 大好きな東山魁夷 氏の言葉 と千石信夫さん。愛犬“梅丸”と。 |
なるほど、「亘理山元まちおこし振興会」は地元を愛する心強い方々が集まっているのですね。そんな人材を育む“山元町”には確かにたくさんの魅力があり、しかもまだ眠っているものもあるようです。
震災は多くのものを奪い去りましたが、千石さんたちのような、地元で頑張ろうと思う人を増やしたのかもしれません。
山元町の今後をこれからも取材させていただこうと思っています。
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「古民家解体調査報告会」のお知らせ
日 時/平成25年11月30日 13:30~15:00
場 所/山元町中央公民館 会議室
(山元町浅生原日向12-1)
講 師/阿部和建築文化研究主幹研究員 安井妙子 氏
参加費/無料
詳しくは「亘理山元振興会ホームページ」内のブログを参照ください。
http://www.watari-yamamoto.com/
(取材日 平成25年11月15日)