JR気仙沼線は、津波の被害を受けた鉄路の復旧が難しいため、BRT(バス高速輸送システム)によって平成24年8月から運行が再開しています。そのBRTに乗って南三陸町へ「キラキラ丼」を食べに来ました。
出発地点の気仙沼気仙沼駅。 BRTバスの乗り場は駅向かい気仙沼市観光協会前にあります |
BRT気仙沼駅から南三陸町まではおよそ1時間30分の旅です。
BRTバスの車内。座席がとてもゆったりしています |
BRTは、もともと鉄道が敷かれていた場所をバス用に舗装した専用道を走ります。専用道ができていない区間は一般道を走ります。
その専用道区間が少しずつ延びるにつれて、渋滞に巻き込まれることも少なくなり、だいぶ快適になりました。
少しずつ進む復興の様子を車窓から確認しながら「これからの気仙沼市や南三陸町がどんな町になるのか?」と思いを巡らせました。
松岩地区から観た気仙沼市大島 |
南三陸町では、「キラキラ丼」の発案者、南三陸ホテル観洋の女将阿部憲子さんに話をお聞きしました。
南三陸ホテル観洋レストランからの眺望 海がとてもきれいです |
「南三陸町には誇れる一流の食材がたくさんあります。地元の人に町の自慢を尋ねてみると、サケ、ワカメ、アワビ、ウニ、ホタテなどのたくさんのすばらしい食材の名前が挙がります。実際ここは、世界に先駆けてサケの養殖を始めた、ギンザケ養殖発祥の地です。「伊達の銀」としてブランド化されています」
「ところが、たくさんの食材の名前は挙がるのに、自慢のご当地料理の名前がありませんでした。それで、南三陸町を訪れた人が昼食などで地元のおいしい食材を手軽に楽しめる食事は何か? と考えて誕生したのが、『南三陸キラキラ丼』です」
と話しました。
キラキラ丼の名前は 「海も太陽も人々もキラキラ」から名付けたと話す 南三陸ホテル観洋女将 阿部憲子さん |
南三陸町の海と緑が太陽の光にキラキラ輝いています |
「南三陸キラキラ丼」は、町の活性化の一翼を担う食事として南三陸町に女将さんが提案し、たくさんの人のアイディアや努力のおかげで誕生しました。平成21年12月の提供開始から震災前までの1年ほどの間に45,000食を売り上げる町の人気メニューになり、町内の多くの飲食店のメニューに加えられました。
そんな矢先に、東日本大震災が起こり、町は壊滅的な被害を受けました。南三陸町自慢の食材も津波の被害を受けました。震災後、南三陸町にたくさんのボランティアや被災地観光のお客さんが訪れました。震災の混乱から約半年後「町の活性化を担う食事」の「キラキラ丼」を復活させました。
今では、南三陸町にある11の飲食店で、各店オリジナルの「キラキラ丼」を食べることができます。
南三陸ホテル観洋の客室からの眺望 ウミネコが窓辺まで遊びに来ます |
と女将さんは話しました。
南三陸キラキラ丼には四季と旬に応じたそれぞれの季節バージョンがあります。夏のこの時期は旬のウニがたっぷりのキラキラ丼が2000円前後の格安の価格で召し上がれます。
イクラとサケとアワビのキラキラ丼 |
1つは、プリプリのたくさんのイクラと赤い身のとてもきれいなサケがバラの花のように盛り付けられた、1年を通じて食べられるキラキラ丼です。南三陸発祥の養殖ギンザケの身とイクラが盛り付けられたキラキラ丼はタルトケーキのような趣があります。
キラキラ丼には小鉢や香物、海藻のみそ汁が添えられています |
イクラには食べやすいようにスプーンが添えてあり、女性や子どもにもとても親切です。わさびしょうゆをかける前にそのまま食べてみるとサケのおいしさを実感できます。
ご飯が見えないほどのウニが乗せられた季節限定ウニのキラキラ丼
もう1つは、夏が旬のウニたっぷりの季節限定の「ウニのキラキラ丼」。旬のウニは甘さがあり濃厚な味わいです。ご飯の上にたくさん盛り付けてあるウニだけでなく器の傍に殻付きのウニも添えてあります。今が旬のムラサキウニの殻は、触ると手にムラサキ色の色素が付きます。名前の由来が実感できます。
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眼下に広がる太平洋。この海で獲れたばかりの旬を味わう。とても幸せな時間でした。
四季を通じておいしいものが豊富なこの地域ですが、初夏から初冬までの時期は特にたくさんのおいしいものをいただくことができます。「魚が苦手だったけどこちらに来て食べられるようになりました」と話す人もたくさんいます。
この地域の魅力を一番感じられるこの時期に、南三陸町を訪ねてみてはいかがでしょうか。
南三陸キラキラ丼(南三陸町観光協会)
http://www.m-kankou.jp/bowl/
(取材日 平成25年6月24日)