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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2013年5月29日水曜日

2013年5月29日水曜日10:32
皆さん、こんにちは。スーサンです。

震災復興をリードする大型観光キャンペーン「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)」が、6月末まで続いています。この中で、目玉の1つに挙げられているのが宮城の豊かな自然です。

県南部の西側に目を向けてみると、蔵王町が宮城蔵王の麓に広がっています。仙台市中心部からは車で6、70分の立地です。ここは、山登り、トレッキング(軽登山)などを満喫するにはもってこいの場所なのです。

今回はしばらくの間、「山行(さんこう)」にお付き合いください。

遠刈田温泉街から望む宮城蔵王。中央のピークが後烏帽子岳で、
その左に残雪の屏風岳がそびえます
(写真提供:蔵王町観光協会)
宮城蔵王とは、山形県側の熊野岳(1841m)を主峰とする蔵王連峰の中で、宮城県側の峰々を意味します。日本百名山の1つ「蔵王山」は、蔵王連峰を指しています。

町内からは、北から順に、それら刈田岳(1758m)、後烏帽子岳(1681m)、屏風岳(1825m)、南屏風岳(1810m)、不忘山(1705m)などの頂が、秀麗な連なりとして仰ぎ見ることができます。

町内には、麓から山上へと向けて、さまざまな登山ルートが開かれていて、山岳観光道路の「蔵王エコーライン」が通じています。複数の会社、団体がトレッキングツアーを主催し、山岳ガイドを気軽に依頼できる態勢が整っています。

森の香りに包まれて、登山道をゆっくりと歩いてみませんか
(写真提供:みやぎ蔵王えぼしスキー場)
まず、代表的なそのツアーを取り上げてみましょう。

頭上を覆う若葉。ブナやミズナラなどが茂る樹林帯は普段なかなか出会えない空間で、とてもぜいたくな気分になります。森林浴で降り注いでくるのは、木々のフィトンチッドという成分といいます。

樹間を、自然に逆らわず、時にはくねり、時には急な勾配をつける道が縫っていきます。木漏れ日が地面にまだら模様をつくり、ホトトギスの声が大きく聞こえてきます。途中、古い大木に出くわしたり、すがすがしい滝の脇を抜けたりすることもあるでしょう。

後烏帽子岳の裾野に展開する「みやぎ蔵王えぼしスキー場」(宮城蔵王観光)では、現地集合・解散となる「‘13みやぎ蔵王ガイド付きトレッキング」の参加者を募集しています。

標高650m付近のスキー場入口から、ゴンドラが1100m地点へ
(写真提供:みやぎ蔵王えぼしスキー場)
毎回、山岳ガイドが同行するといいます。5月から10月までの、いずれも日曜日となる全10日(5/26、6/2、6/9、6/23、7/7、7/21、8/11、8/18、9/8、10/6、10/13、10/20)のツアー開催が決まっています。

日によってコースは違っています。初めての山歩きや気軽なトレッキングには、所要時間が3時間30分、お弁当が付き、復路にロープウェイのゴンドラを利用するというコースがお勧めです。

見どころは「千年杉」と「白龍の滝」です。前者は、樹齢数百年、幹回り6m、樹高28mという巨大杉で、林野庁の「森の巨人たち百選」に県内では唯一選定されています。後者は、水が勢いよく曲線を描いて落ち込み、龍が滝登りをするかのように見えるといいます。


葉を落とす広葉樹が取り囲む中で、常緑樹の「千年杉」は
昔から猟師たちから目印とされてきたといいます
(写真提供:みやぎ蔵王えぼしスキー場)
清涼感にあふれる「白龍の滝」のそばを通ります
(写真提供:みやぎ蔵王えぼしスキー場)
「山全体にシロヤシオツツジが群生しています。6月前半までその白い花が見頃です」

こう話すのは宮城蔵王観光・営業課長の市川知明さんです。新緑とのコントラストが美しいこの植物は、五葉ツツジとも呼称されています。

登山者向けには、ゴンドラ終着駅からさらに上を目指し、後烏帽子岳に至るコースがあります。斜度が増す長い樹林帯を登り切れば、眺望が一気に開けるピークに立ちます。残雪に加え、高山植物が出迎え、屏風岳を正面にとらえることができるのです。

スキー場内には、国内を1,000㎞単位で移動する渡り蝶の「アサギマダラ」が飛来するといいます。それを鑑賞するコースもあります。また、蔵王連峰の主要峰を縦走するコースなども設けられています。

ツアーは募集定員が25人で、最小催行人数は10人です。実施3日前までに電話かFAXで申し込みます。料金は一部を除き、2,500円(大人)と大変お手頃です。

マーキングから、長距離の飛翔が分かった「アサギマダラ」
(写真提供:みやぎ蔵王えぼしスキー場)
宮城蔵王を対象に山の案内人としてガイドを派遣する「宮城蔵王ガイド協会」が、スキー場内に事務局を置いています。登録されているガイドは41人です。

登山は自分たちで十分に楽しめますが、ガイドの同行によってより充実したものとなります。ガイドは登山技術に熟練し、山野草、樹木、動物など山の自然を知り尽くしていて、登山者が学ぶものは少なくないようです。

ガイド料金は、ガイド1人が登山客10人までを案内し、12,000円と低廉です。

事務局の田村芳春さんは、「震災後、宮城蔵王は敬遠されているようで、残念です」と話します。山の同好グループや学校に加え、主な依頼先として、東京などにある登山専門の旅行会社を挙げ、その依頼数が減少していると指摘します。

同協会でも、夏、秋に複数回、登山ツアーを催行する予定です。皮切りは6月2日(日)です。著名な芝草平に咲き誇るお花畑を堪能する、後烏帽子岳、屏風岳、刈田岳を結ぶ歩行時間約5時間という行程です。

可憐に咲く蔵王連峰を象徴するコマクサ
(写真提供:みやぎ蔵王えぼしスキー場)
芝草平は蔵王連峰の代表的なお花畑です
(写真提供:みやぎ蔵王えぼしスキー場)
蔵王町観光協会が仙台・宮城DCの期間中(~6/30)の土日・祝日に、「みやぎ蔵王 花トレ温泉バス」を運行していて、もっと山に親しめる機会になりそうです。

このバスは蔵王エコーラインを走り山上に出て、刈田岳山頂に到着するまでに、2つの登山口に停車。同協会が、おのおのを集合場所とする3つのトレッキングツアー(土曜開催、日曜開催、土日開催)を実施します。

いずれのツアーも低木の緩やかな稜線をたどる快適なもので、参加費は格安の500円です(申し込みは3日前まで)。バスに乗車するには、「蔵王町ぐるっとお楽しみ得々手形」(500円)の購入が必要となります。

有名な「御釜」は刈田岳の近くにあり、一帯は気軽に散策できます
(写真提供:蔵王町観光協会)
山行後の宿泊は、江戸初期に開湯し、かつて刈田岳の信仰登山で基地だったという「遠刈田温泉」や、一軒宿の「鎌倉温泉」がお勧めです。

遠刈田温泉では6月1日(土)・2日(日)、「第17回大道芸フェスティバルin とおがった」が開かれます。

仙台市内から蔵王町・遠刈田温泉へは、1日10往復の高速バス(宮城交通)があります。JR東北新幹線・白石蔵王駅から、遠刈田温泉まで路線バスが出ています。

さわやかな季節が到来しています。宮城蔵王にぜひ、登りに行きましょう。


◎問い合わせ先
・みやぎ蔵王えぼしスキー場 TEL.0224-34-4001
http://www.eboshi.co.jp/
・宮城蔵王ガイド協会 TEL.0223-34-4001
・蔵王町観光協会(蔵王町観光案内所) TEL.0224-34-2725
http://www.zao-machi.com/


(取材日 平成25年5月16日)