前にお伝えしたように、名取市閖上(ゆりあげ)地区の「ゆりあげ港朝市」が5月4日、2年2カ月ぶりに元の場所で営業再開を果たしました(下記リンク先を参照)。
「ゆりあげ港朝市」が被災現地で営業再開 (名取市)
http://kokoropress.blogspot.jp/2013/05/blog-post_3001.html
この営業再開に合わせ、新たにランドマークとなる「カナダ-東北友好記念館『メイプル館』」(496㎡)がお披露目されました。
木の質感があふれる本格建物です |
このプロジェクトは、カナダの連邦政府、ブリティッシュ・コロンビア州政府、アルバータ州政府、林産業界の団体であるカナダウッドグループが共同で行っています。東日本大震災の被災地に対しての支援活動であり、カナダ産木材を使用した公共施設の建設を推進し、復興を後押しするものです。
同プロジェクトの採択施設としては、今年1月に名取市図書館の敷地内に完成した、「どんぐり・アンみんなの図書室」(240㎡)に次ぐものとなりました。
カナダ輸入住宅の販売で全国展開しているセルコホーム(本社・仙台市)が、朝市の現地再建を強く望む「ゆりあげ港朝市協同組合」の意向を汲んで、このプロジェクトに名取市と名を連ね応募し、採択されたといいます。
この日初めて一般開放され、大勢の人でにぎわいました |
天井や梁(はり)にはヒノキの一種であるダグラスファーが、ウッドデッキや壁には杉に類するシダーが、床にはナラの木であるオークが、それぞれ使われています。いずれも、カナダ産材を代表する樹種とのことです。入館すると、心地よい木の香りが漂います。
メイプル館は現在のところ、カナダ文化を紹介する展示コーナーや、閖上地区で生じた震災の被害を伝えるギャラリー、平日も営業する飲食店などの構成でスタートしています。秋に予定される朝市のグランドオープンまでには、フードコートなども設置されるようです。
カナダ文化を紹介するスペースが設けられました |
ゆりあげ港朝市協同組合の櫻井広行理事長は、「天からの贈り物のような施設を提供していただきました。おかげで、この地に戻ることができました」と謝意を示しました。
カナダ大使館のポール・トッピル公使(商務担当)は、「末長く友好と経済交流のシンボルになるでしょう。朝市が地元経済に新しい活力を与えることを期待します」と語りました。
カナダ大使館商務担当のポール・トッピル公使 |
こう述べたのは、カナダウッドグループのポール・ニューマン代表です。
無償で設計・施工に当たったというセルコホーム。新本恭雄社長は次のように話しました。
「職人不足の中で、全国の支店から応援をもらい、完成にこぎつけることができて、ほっとしています。震災地の最前線に、このような優しく温もりのある建築ができたことを、非常に誇りに思います」
セルコホームの新本社長 |
一般公開された館内には多くの人があふれ、カナダ名産のメイプルシロップを使ったホットケーキが無料で振る舞われました。
関係者は満面の笑みでオープンを祝いました |
海側にはウッドデッキがしつらえられています |
(取材日 平成25年5月4日)