仮設住宅の玄関ドアを開けると
色とりどりの絵手紙が壁に飾られていました。
「明日(1月26日)がね~私の誕生日
お友達が私に送ってくれた
お誕生日のおめでとうカードなの~
うれしいよね~」
笑顔の吉田時子さんがうれしそうに
話してくれました。
「お~お~!おめでとうございます」
「ふふふ~ありがとう~」
壁に飾られている絵手紙には
やさしい絵がたくさん描かれています。
津波火災で、家族8人で暮らしていた自宅は焼失。
思い出の品々も無くなってしまいました。
「家族みんなが無事だったからね」
震災後、家族の介護もしながら
家事と家業も黙ってこなしていた時子さん。
「愚痴くらい言えばいいのに~不満はないのかな?」
そんな思いでみていた私には
このやさしい「絵手紙」が癒しになっていたのかな?と
感じるものでした。
12月に舅さんを送った時の、穏やかな表情が思い出されます。
人間、自分が思うようにならないと不満を言葉にするけれど
表現する方向を変えると
周りに不愉快を撒き散らすこともなく
「平穏」に暮らすことができるのかな?などと
思いながら絵手紙を眺めました。
「無」のには、まだまだ遠い煩悩だらけの自分を
優しさのこめられた、相手をいたわる気持ちの
「絵手紙」に省みた気がします。
あれから10カ月。
生き方を考える時期に至っているのかもしれません。
(平成24年1月29日)