何の言いよどみもなく、淡々とそして明確にこれからのヴィジョンを語ってくれました。
今回は「亘理いちごっこ」の代表、馬場照子さん(50歳)を紹介します。
new-Tです。
「亘理いちごっこ」は、「被災した方々へきちんとした食物を食べさせたい」という思いで亘理町在住の馬場さんが発足させたボランティア組織です。
4月に発足準備に入り、5月3日発会式。それに合わせてコミュニティ・カフェ・レストランを開店しました。
当初は町内の集会所を使っての開店でしたが、7月からは新しい場所にプレハブを設置して現在に至っています。
カフェ・レストランは家庭的な総菜がメインのバイキング(5月、6月)形式、あるいはOnePlate方式です。罹災証明書を持参すると無料で飲食できます。
一般の人も500円以上の支援金を払えば飲食可能です。
取材当日は午後2時にカフェ・レストランに伺ったのですが、ドアを開けると近所の女性たちが井戸端会議をやりながらご飯を食べている様子でした。
てっきりボランティアの方々の昼休みかな? と思ったのですが、実はれっきとしたお客さんでした。
まったく自然に我が家で食事を楽しんでいるという雰囲気でした。
馬場さんは震災前まで亘理町でさまざまなボランティア活動をしてきました。そういうベースがあったからこそ震災後様々な支援の模索をしながら、避難所での炊き出しボランティアを開始したのです。
その炊き出し活動の中で、被災者の食事の偏りをつぶさに観察したことが「亘理いちごっこ」へとつながります。
さすがに避難所は無くなり、被災者の方々の生活シーンは仮設住宅へと移ったわけですが、仮設住宅以外に居住する方々には情報も支援もともに届きにくいのも現状です。
馬場さんはそれを解消するための試みとして「わたりHomeComingDay」という、仮設住宅外被災者と地域との交流会を12月11日に開催しました。この企画は定期的にやっていくつもりだということです。
互いに交流することによる<循環型支援>という形式です。
支援物資をただもらうだけではない、寄付されるだけではない積極的な被災者像の創造です。
さらに馬場さんの未来志向のヴィジョンはもっと大きな視野を捉えます。
震災があろうがなかろうが、取り組まなければならないことがあるというのです。
それは地域のコミュニティの活性化です。
亘理町に地域通貨を導入したいということや、他地域との連携を行いながらコミュニティや社会教育のあり方を考えることが、震災を機に切実な問題として立ち上がってきたのです。
このままでは地域コミュニティが解体する恐れがあるとnew-Tも考えます。
「目指すところは昭和30年代の家族ですね」と馬場さん。
昭和30年代の家族像とは映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の世界です。
わたしもどっぷりその年代に小学生時代を過ごしました。我が世の春でした。
「あの頃の時期の家族が一番良かったんじゃないかなあ。会話にしても食事にしても、家族がなんでも包み隠さずいられたような気がします」
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メンバーとお客さんに囲まれて |
馬場さんが、「亘理いちごっこ」の、いや亘理町の肝っ玉かあさんになる日も近いかもしれません。
取材の日。
「いま岩沼なので、あと30分くらいで伺います」
「石川さん、暇じゃない?」
「は?どういうことでしょう?
「野菜がいっぱい入ってきたんだけど、男手がなくて大変なのよ」
「ああ…、わたし腰が悪くて」
本来の取材日は1週間前だったのですが、その日わたしは腰痛に悩まされていました。
「ああ…、そうだった。ごめんごめん」
手伝えなくてすいませんでした。
亘理いちごっこHPは
http://watari-ichigokko.blogspot.com/
支援物資を送る際の問い合わせ先は
090-4043-5216 馬場
(平成23年12月22日)