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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2016年3月2日水曜日

2016年3月2日水曜日11:14
こんにちは、にゃんこです。

1月27日、仙台市内で宮城県震災復興担い手NPO等支援事業「協働促進フォーラム~福祉のあるまちづくり」
が開催されました。


フォーラムの開催について、主催した宮城県環境生活部共同参画社会推進課の武内課長は、
「東日本大震災の発生から間もなく5年が経過しようとしています。復興の進捗状況を見ると、防災集団移転や災害公営住宅の整備によるまちづくりが進展しているほか、JR仙石線と石巻線の全線再開、仙石東北ラインの開通など復興は着実に進んできています。その一方、被災地における地域コミュニティの再構築や被災者の方々の心のケア、生活を支える産業の再生など、引き続き取り組んでいかなければならない課題も山積しています。

このような状況に対応するため県では、国の交付金を活用した震災復興担い手NPO等支援事業などを実施し、NPO等の皆様に助成を行ってきましたが、被災地にとってかけがえのないNPO等の活動が持続可能なものとなるよう、復興支援に取り組む団体の運営力の強化と同時にNPO等行政と多様な主体との協働促進にも注力していく必要があると考えています。また、このような協働の推進は、特に被災地で顕在化している高齢化や担い手不足などさまざまな地域課題を克服する上でも欠かせない視点です。今日は、福祉のまちづくりというテーマのもと地域課題の解決に必要な取り組みについて議論を深め、ともに考える機会にしていただければと思います」
と、あいさつを述べました。
宮城県環境生活部共同参画社会推進課の武内課長
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「福祉のあるまちづくり」をテーマに3名のパネリストを迎えて行われたパネルディスカッション。

パネリストは、「NPO法人むすび」理事荒川直美氏、「NPO法人よろずや余之助」会長桑原三郎氏、横浜市戸塚区役所地域振興課長髙嶋賢一氏。コーディネーターは「認定NPO法人杜の伝言板ゆるる」代表理事の大久保朝江氏です。


それぞれが行っている居場所づくりとはどのようなものなのか?
市民の巻き込み方や課題などについて、3氏よりお話をいただきました。

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東京都練馬区光が丘団地を拠点に平成11年から介護事業などを行っている「NPO法人むすび」
しかし、活動を続ける中で介護事業だけではカバーできない地域の課題が見えてきたと話します。

その課題とは?
・隣近所とあまり関わりを持たない生活を送ってきたが、高齢になって地域に知り合いができず孤独
・自分の住むマンションや近くでの活動に抵抗がある
・自治会や老人クラブといった既存の組織には参加しづらい

そこで平成23年に、地域の交流の場として「むすび倶楽部」を開所。
「地域の中で自分らしく安心して暮らし続けるためには、住民同士が助け合っていけなければならない。でも仕組みがないとなかなか助け合いにはならないんです。どうしたらその仕組みができるのかを考え、地域をゆる~く結ぶ場所として作りました」
と、理事の荒川さん。


「むすび倶楽部」では、ヨガや歌声喫茶、麻雀、PC相談などの講座のほか、新聞社との協働による「自分史講座」、地域住民ボランティアと行う「認知症カフェ」なども開催しています。
中でも麻雀は特に人気なんだとか!

しかし、こういった講座はどちらかというと女性が主になりがち。ではどうしたら男性も地域に呼び込むことができるのか?
「むすび倶楽部」では、「自分史講座」を「男の土曜塾」として開催したり、「定年おやじがげんきな会」を行ったりと、講座名に「男」や「おやじ」といったキーワードを使うといった工夫をしているそうです。

「私たちは小さな団体なので、自分たちでできることも限られています。行政や企業、大学とともに活動することで、諦めていたことができるようになったり、やりたいことが思わぬ形で実現できたりといったところが協働の一つの効果だと思っています。またそういう機関とのマッチングなど、ハブとしての役割も担っていきたいと思っています」

また協働するときに大事にしていることについて、
「自分たちがしたいこと(理念)、できること(強み)を行う、人とのつながりを大切にする、任せてみる、やってみて失敗しても責めない風土を作る、失敗からヒントをもらうことを大切にしています」
と話します。

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群馬県太田市でコミュニティビジネスの手法により高齢者のいきがい活動などを行っているのは「NPO法人よろずや余之助」

高校の同級生とともに平成14年に立ち上げてから今年で14年。
「おとなの溜まり場」を基本コンセプトに、だれでも気軽に安心して過ごせ、気兼ねなく何でも相談できる場所として、コミュニティカフェ「余之助茶屋」を運営。経済産業省より市民活動活性化モデル事業の認定を受けています。

「余之助茶屋」では、歌声喫茶やフォーク喫茶、キネマ倶楽部などの定期イベントのほか、おやじの学校、おもしろ健康講座、いじわる法律講座などを開催。男性視点のユニークなイベントは余之助ならではの特徴です。

さらには、困りごと無料相談事業として専門家のアドバイスが無料で受けられる「困りごと引き受け屋」、建築・リフォーム工事や風呂・トイレの改修などを行う「よろず仕事引き受け屋」など、その名の通り、活動は多岐に渡ります。

「弁護士や税理士、建築、不動産、金融などメンバーの職業はみんなバラバラ。異業種専門家集団なんです。だから仲間だけでほとんど解決できるんですよ。これ以外で他のプロが必要なときには、各分野の専門家や企業を紹介する仕組みになっています」
と、桑原会長。


「重要なのは“連携力”。たとえ自分たちの力が弱くてもNPO同士や市民グループ、行政、企業・メディアなどとネットワークを組んでうまく連携していけば相当な力を発揮できるんです。
仲間の中にはまだ現役で仕事をしている人も多い。多忙な中ですが、地元の誰かがやらなければならないことを、行政とは違う市民活動独自の手法で、気負わず焦らず楽しみながら続けています。余之助の活動の基本は、楽しく面白いことなら何でもやる。面白いことをやれば必ず人はついてくるんです」
と、桑原会長は話します。

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最後は神奈川県横浜市戸塚区役所地域振興課長の髙嶋賢一氏
これまで市民協働推進条例の制定、横浜市協働推進の基本指針策定、横浜市活動支援センター運営などに携わってきました。

戦後爆発的に人口が急増した横浜市。
インフラ整備が急務となり、一般的な行政サービスがまったく追い付かない状態でした。
そんなとき寸断してしまった地域コミュニティを支えてくれたのは、自治会町内会や市民活動だったと話します。

「こういった背景から行政も市民や区民と一緒に地域を作っていこうという風土が伝統的にある都市なんです」
と、髙嶋さん。

その後はバブル経済の崩壊により計画の見直しが行われ、平成8年から本格的な協働とコミュニティづくりが始まりました。

その活動の中で見えてきた課題とは?

ちなみに、右下のキャラクターは戸塚区マスコットキャラクター「ウナシー」です!

<見えてきた「協働」の課題>

 1.小地域を組織化することの必要性
 2.資金の確保
 3.地域を担う若い人たちへの眼差し
 4.顔の見える関係づくり


こういった課題から見えてきたもの。それが「むすび倶楽部」や「余之助茶屋」のような、地域活動の拠点となるコミュニティカフェの必要性でした。

横浜市全体でコミュニティカフェは約40カ所。
そのコミュニティカフェ同士がつながり、学び合えるネットワークを作ろうと2014年には『横浜コミュニティカフェネットワーク(YCCN)』を結成。横浜市民活動支援センター自主事業として、「カフェ型中間支援機能の創出・強化・普及」事業を、横浜市市民局と協働で取り組んでいます。

コミュニティカフェの意義とは?
・地域と社会につながる居場所(拠点)の居場所(役割)は必要
・緩やかにつながる、無理をしないこと、楽しいこと、楽しむことが大切
・小さく始めて、ゆっくり大きく育てていく
・聞いてくれる人やおせっかいな人は貴重
・居場所に集う人はサービスの受け手と同時に担い手(当事者)に
・可視化を進めると信頼や事業性、ファン度がアップ(ファンになっていただける度合いがアップする)

「特に“可視化”はこれからキーワードになっていくと思います。可視化するとファン度も上がる。そうすると地域の人からも受け入れてもらえるし、そこに情報や人が集まってくるんです。そのためには、地域の人から認められる信頼があることも大切」
だと、髙嶋さんは話します。

▼神奈川県横浜市戸塚区役所
http://www.city.yokohama.lg.jp/totsuka/
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戦後、横浜市が抱えた課題。
“インフラ整備が急務となり、一般的な行政サービスがまったく追い付かない状態”。

東日本大震災直後の被災地も同様でした。そして時間が経つにつれて膨らんでくるコミュニティ形成の問題。さまざまな地域からさまざまな人が集まる復興公営住宅は特に複雑化しています。

だからこそ、行政や企業と市民をつなぐハブの機能をもつコミュニティカフェが果たす役割は大きい。

3氏の活動を参考にぜひ皆さんも実践していただければと思います。

(取材日 平成28年1月27日)