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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2016年3月14日月曜日

2016年3月14日月曜日10:21
石野葉穂香です。

2016年の「3.11」は、決して暖かな日ではありませんでしたが、厳しい寒さになることなく、また晴天にも恵まれました。

でも、あの日のこと、これまで出会った人たちのことを思って、何だか気持ちが騒いでしまい、落ち着かない一日でした。

夜になって、星がぽつりぽつりと浮かんでくるのを見て、少し心がほっとしました。
この日が過ぎて、また明日に向かえる・・・。そんな気がしました。

そして、カメラを担いで海辺へ。
気仙沼市本吉から南三陸町方面へ「3.11の星空」を訪ねてみました。
南三陸町は、1960年の「チリ地震津波」がキッカケでチリ共和国と友好を結んでいます。
モアイは、イースター島の石を使い、イースター島の人たちが製作し
瞳をはめて眼にマナ(霊力)を宿して本物のモアイになるのだとか。
写真のモアイは震災後、チリ政府から贈られた「本物」です。
霊力を宿した眼が、まちの未来を見つめています
(写真は合成・加工しています)
震災の翌年から昨年までの「3.11」は、比較的雲の多い日ばかりでした。
いつか晴れたら、3月11日の星空をじっくりと見上げたい――。
実はずっとそう思っていました。

2011年3月11日、地上では、とんでもないことが起きてしまい、県内のほとんどの街が停電となって、真っ暗な夜がやって来ました。

地震が発生した頃に降っていた雪も、日が暮れる時間帯には止んで、月齢6.4という半月(上弦)一日前の月が、地上を淡く照らし出しました。

そして、深夜0時過ぎ、月が沈んでしまうと、私たちの頭の上には、それまで見たこともなかったような、美しい星空が現れたのでした。
南三陸町歌津にある「平成の森 仮設住宅」
南三陸町内でいちばん大きな仮設団地で246戸があります。
しかし退去する方が増えていて、今ではもうだいぶ空室が目立っています
避難所にいた方は、寒さに震え、家族や友人の安否さえ不確かで、情報も届かない不安な夜を過ごしていました。

星空どころではなかったはず。

それでも取材のときなどに、あの日のことや、それから数日間のことを尋ねると「真っ暗でサ、んでも星がキレイだったナ・・・」話す方は、案外多くいらっしゃいます。

あの日の夜を過ごした場所は違っても、見上げていた星空だけは一緒です。
沿岸の人にも、内陸の人にも、あの日に見えていた景色の中で共通していたのは「星空」です。

経済産業省が2011年9月10日に発表した資料によると・・・
3月11日、東北電力管内で停電した世帯は最大で466万戸。供給に支障をきたした電力は約790万kWで、地震の前に需要があった電力の約6割に達します。

停電地域は、青森県と岩手県と秋田県の全域、宮城県と山形県のほぼ全域でした(福島県は一部)。

そして、発災から3日目の3月14日には80%が、8日目の19日には94%にまで復旧しました。
標高512mの田束山(たつがねさん)は南三陸町の最高峰。
古くから山岳信仰の霊山として栄え、平泉の藤原秀衡も、深く信心し、
往時には伽藍が七堂あったほか、七十余房が造営されたと伝えられています
電信柱などが倒れてしまった沿岸部では、もっと長く、4月、5月まで停電が続いていた地域もあります。

怖さや不安や悲しさがいっぱいあふれていたあの頃。
それなのに圧倒的な美しさを見せてくれた星空。

皮肉で、そして残酷だとも思えたけれど、でも、せめてものやさしい光を降らせてくれたんだ・・・と、そう話す人もいます。

今年の3月は、2011年と曜日の配列が同じで、11日は金曜日でした。
月齢は2.4。あの日と同じ月齢6.4の月は15日です。
星の動きは・・・厳密に言うと、ほんの少しは違うのかもしれません
でも、星座の並びが変わるほど違ってはいません。
星空に突き上げられた二本の光柱(実は三本)は
「3月11日からのヒカリ」という気仙沼市で行われたイベントの光です
日付が変わるころには、オリオンはもう西の地平に近づいて、しし座が星空の真ん中を駆けていました。
北斗七星も北の空に高く昇り、ひしゃくの柄のカーブに沿って、そのまま目線を東南に辿れば、うしかい座のアルクトゥルス、おとめ座のスピカへと一等星を結ぶ「春の大曲線」も見えます。

5年前も、そして千年前に貞観地震が起きたときも、きっと同じ星たちが、同じところに光っていたはずです。
気仙沼市本吉の小泉地区に残されているJR気仙沼線の鉄橋。
写真の前方で橋は途切れてしまっています。
JR東日本は復旧を断念する意向を示しており、この橋の上を列車が走ることはもう無いかもしれません。
真ん中の明るい星は おおいぬ座のシリウス、右上はオリオンです
地球の年齢は約46億年だといわれています。
地球が誕生した瞬間を1月1日の午前0時00分00秒として、現在を12月31日の午後11時59分59秒だとしたとき、千年の時の流れなんて、わずか10秒程度です。

人類が農耕生活を始めたころでさえ、70秒ほど前のこと。

人の一生は1秒にも満たないのです。

それでも人は、懸命に生きて、時代をつくり、次代へ繋いでいこうとしています。
地球を包む星空は、世界中を等しく包み、世界中の人たちが、同じ星の上で同じ星空を見上げています。

一方、星々は、人類たちが地表で何を騒ごうと知らん顔。
1000年も昔から(きっと)変わらない「知ったことか」という顔ですが、でも、なんだか励まされたり、ほっとしたりもできます。

千年前の人たちが見ていた空も、千年先の子どもたちが見上げる空も、きっと変わっていないと思いました。
田束山から北の方角、気仙沼市方面です。
「3月11日からのヒカリ」は、みんなの目線を星空へと誘導する
ステキな光だと思いました
ときどき星空を見上げてみてください。
星は何も言ってくれないけれど、悲しさや辛さをそっと吸い上げてくれるはず。
そして、夢や希望について考えるチカラが湧いてきます。

6年、7年、10年、20年・・・。
私たちは、私たちの時代を一歩ずつ、でも力強く一緒に歩いてまいりましょう。

(取材日 平成28年3月11日)