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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2016年2月1日月曜日

2016年2月1日月曜日10:07
こんにちはエムです。

昨年12月2日に、「第2回 新 東北みやげコンテスト」の最終審査と授賞式が行われました。
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2016年1月4日 月曜日
ビジネスで東北を活性化!「新 東北みやげコンテスト」(仙台市)
http://kokoropress.blogspot.jp/2016/01/blog-post_43.html
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このコンテストの食品部門で見事、“最優秀賞”“外国人みやげ賞”をダブル受賞した、株式会社 ささ圭「みやぎの雫」はもう召し上がりましたか?

ずんだ・北限の柚子・仙台雪菜・ごぼう
完熟赤ピーマン・かぼちゃの6種類入り

丸くて小さくてかわいいのはもちろん、宮城県産の野菜を練り込んだ6種類のかまぼこは、色も味もバリエーションがあって楽しめます。しかも中にはクリーミーなチーズ入り!
さらにうれしいのはソルビン酸などの合成保存料や合成着色料は一切使わず、ミネラル豊富な天日塩を使っている「体にも心にも優しいかまぼこ」なのです。

華やかな賞を受賞し、売り上げもこれからどんどん伸びると予想される「ささ圭」ですが、以前は東日本大震災で甚大な被害を受けた名取市閖上にあった、笹かまぼこの会社です。

実はこのココロプレスでは過去に「ささ圭」を取材しており、新工場設立までのご苦労を紹介しています。
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2012年10月30日 水曜日
全壊消失から再生へ/笹かま「ささ圭」が新工場で本格稼働(名取市)
http://kokoropress.blogspot.jp/2012/10/blog-post_4167.html
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合成保存料無添加・天然の調味料だけを使った「手わざ笹蒲鉾“ふくゆり”」

昭和41年創業の「ささ圭」は、大震災の大津波で3つの工場と本社店舗、社長の自宅など全てが流されてしまいました。
名取市増田にあった売店だけは唯一残りましたが、それまで少しづつ改良を重ねて作ってきた、たくさんの種類のかまぼこなどの製品のレシピも全て失い、一時は廃業を覚悟した「ささ圭」。
そんな時、希望の光をもたらしたのは先代社長で現在93歳の佐々木圭司さんがずっと守ってきた50年以上も前からの作り方、全ての工程を人の手で行う笹かまぼこだったのです。

震災直後から2012年10月に新工場ができるまでの経緯は、前回の記事で紹介していますが、あれから3年が経過した現在も、現会長の圭司さん(この2月で94歳)と妻のあつさん(87歳)は週に3回、増田の売店(現在は手造りかまぼこ工房)で笹かま作りを続けています。

圭司さんは小学校卒業の頃から家の手伝いで笹かまぼこを焼いていました。
「1時間10銭の小遣いをもらっていた。3時間やって30銭だったよ」

焼きたての笹かまぼこはふっくら香ばしく、幸せな味でした

「10年以上前から毎年、会長と母と私の3人で閖上小学校に出向き、『かまぼこ作り体験授業』をしていました。閖上小学校では3年生と保護者に笹かま作りを体験してもらっていたので、そのおかげで手作りの技術は守られてきました。会長は『かまぼこ名人』と子どもたちから言われていたんですよ」

そう教えてくださったのは“ささ圭の女将さん”と慕われている佐々木靖子さんです。

しかし、それまで工場でやってきて“すり身”に触ることすらなかった社員にとっては、全てが初めての体験。
石臼で練る・成形・焼くなどの行程を経てやっと笹かまぼこができるのですが、最初は慣れない作業でみんな火傷だらけだったのだそうです。

「手造りかまぼこ工房」はJR東北本線・名取駅近くにあります

石臼では1度に最大30キログラム(約600枚分)を練ることができますが、練り上げるのに1時間半〜2時間を要します。その後成形をし焼き上がるのは1時間に300枚、練っては焼き練っては焼きを繰り返しても1日に3000枚しか焼けなかったのだそうです。
ちなみに工場では1時間に4500〜5000枚の笹かまぼこができていたのと比べると、手作業がいかに大変かが分かりますね。

「でもその成果もあり、当初集まった11人全員が何でもできるようになりました。売店担当は特に作らず、作ってる人も販売する体制で行っていました。今でも、販売に立っている社員も作ることができるんですよ」
「本当は元々いた社員をみんな呼び寄せたかったんですが、狭いので限られた人数で始めました。当時、会長も母も現役から引退していましたが、みんなに教えるために復帰してくれたんです」
靖子さんは誇らしげに言いました。

売店を改装し、2011年7月1日に手造り工房としてオープンした時のメンバー
(手前左から:靖子さん、社長の圭亮さん、会長の圭司さん、あつさん)

2012年9月に新工場が完成した後も、苦労は続きました。
当時のことを教えてくださったのは、大震災の2年前に入社し、現在は統括部長と製造部長を兼任する赤川善昭さんです。

「なかなか言葉では伝えづらいですけど……何も無いんですよ。
レシピも無い、工場も無い……ただ、無くなったものは大きかったんですけど、震災前のおつきあいと会長の手技、形の無いものは無くなりませんでした。
その時にいろいろな人に助けられ、応援していただき、支えられてスタートしたって感じですね。

新工場は、機械は最初1台だったので作っていたのは笹かまぼこだけでした。
でもささ圭の信頼はあっても新しい工場は建ったばかりで信頼はまだ無いわけなんです。“機械はあるけど注文が無い”そういう状態から始めました。本当にゼロからです。

しかも新しく良い機械が入ったので、逆に機械の癖から機能から、全部1から覚えなきゃいけないということで、当時は本当に大変でしたね……」

震災前の味を「復元」「再現」することに試行錯誤を繰り返して約1カ月、やっと納得できる製品が出来、実際に発送できたのは10月になってからだったそうです。

赤川善昭さん

その時の商品は、基本的な笹かまぼことミニ笹かまぼこの5、6種類だけだったそうですが、その後も震災前に製造していたたくさんの製品を「復元」「再現」に務めながら、新商品にも挑戦していきました。

「2012年、2013年は元あった製品の再現を目指しながら、もっと手を加えるなどの試行錯誤で費やしました。中にチーズが入った丸いかまぼこ『まるっチーズ』は唯一、新しい工場でできた新商品でした」

生だった「ミニ笹かまぼこ」が焼かれて出てきました!
ずっと見ていたくなってしまう・・・

その新商品は思った以上に反響があり売り上げも好調だったことから、「みやぎの雫」が生まれるきっかけにつながりました。

そして2014年、宮城県の「食材王国みやぎ商品ブラッシュアップ専門家派遣事業」と「平成26年度食材王国みやぎ選ばれる商品づくり支援事業」の2つに「みやぎの雫が」認可されました。これらの事業は、被災した食品製造業者の失った販路回復を目指し、県が商品開発や改良を手助けする専門家を無料で派遣するなどの支援をするものです。

ブラッシュアップとは「磨き上げる」「さらに良くする」という意味がありますが、「ささ圭」にとっては初めての体験。試食会やプレゼンテーションを重ね、アンケートを取って意見を求めました。
そうした努力の結果、「みやぎの雫」は各方面で注目されるようになり、今回の受賞につながりました。

靖子さんは言いました。
「震災後今までは『ささ圭さんの元のかまぼこの味と違うね』と言われないようにと、復元・再現することに一生懸命になってやってきました。
でもこのブラッシュアップ事業の体験をしたことで、再現したものが本当に今の皆さんの好みに合っているのか……など考えて、社内でも今までの製品をより磨きをかけていこうという流れが生まれました」

「海鮮かまぼこ」はそうして改良された製品の1つです。
見た目も華やかな、まるでお寿司のような「海鮮かまぼこ」は、以前は「海鮮揚げ」という名の揚げかまぼこでした。

「揚げてしまうと上に乗ってるカニやエビが固くなってしまうことから、『今後は揚げないで蒸したらどうか』『パッケージも変えてみたら』と社内で検討し、試行錯誤の結果、このような製品に生まれ変わりました」

「おせち」に入っていたらうれしいだろうな〜とつい考えちゃいました

社員は現在約45名。
そのうち3分の1が震災前からの社員です。中には高校生の時に「ささ圭」でアルバイトをして就職した社員もいるのだとか。
お聞きすると、“閖上では学生のアルバイトといえばかまぼこ屋さん”という時代もあったということ。
「ささ圭」では現在も高校生が研修し、毎年何名かの卒業生が入社する流れを作っているのだそうです。

「手造りかまぼこ工場」で販売をしている社員の皆さんも
「手わざ笹かまぼこ」を作ることもできる強者ぞろいです。
右から2人目が佐々木靖子さん

震災後に入社した笹かまぼこ未経験だった社員も、今ではベテランです


「この5年間の間にはいろいろな大変な時期がありましたが、今ようやく1歩踏み出して、今までの製品をあらためて見直したり、新たな商品の開発もできるところまで来たと感じています。
これからも魅力ある製品を1品でも増やしていけるよう、努力をしていこうと思います」

「ささ圭」は今、会社そのものが活気付き、社員のやる気が満ちていました。
地元の企業である「ささ圭」の成功は、閖上の復興に大事なものになっているようでした。

◆株式会社 ささ圭
[本社・工場]
名取市植松字入生48-1
電話:022-784-1239 FAX:022-784-1250
http://www.sasakei.co.jp/

(取材日 平成28年1月9日)