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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2016年1月18日月曜日

2016年1月18日月曜日9:42
石野葉穂香です。

2016年1月1日。
松島湾の「初日の出 遙拝船」に乗ってまいりました。
松島海岸の観光桟橋を出港。
所要時間は約1時間30分でした
年末、別件で「松島島巡り観光船企業組合」を取材したとき、「初日の出を見る船を出すよ」と教えていただいたのでした。
そちらの記事に載せる写真も撮影したかったし、天気もよさそう。寒さもそれほどではないみたい・・・ということで、1月1日の朝5時、松島海岸へ出掛けました。

出航予定の1時間以上前から、待合室を兼ねる「松島レストハウス」はもう大勢の方でいっぱい。
やがて空は少しずつ明けはじめ、水平線に朝の兆しがにじんできました。
夜明け前の松島海岸。
ライトアップされた五大堂と「明けの明星」(金星)です。
(午前6時03分)
「初日の出クルーズは初めてです」
仙台からお越しのちょもこさん(右から2番目)と仲良し4人組
「今日は晴れてくれたし、出航前からもうワクワクしています!」
(午前6時13分)
午前6時10分。いよいよ出航です。
大小20隻近い遊覧船が一斉に港を離れ、浦戸諸島のさらに沖合を目指します。
この日乗船したのは組合の船でいちばん大きな「第三仁王丸」でした。
2階のグリーン船室後部の展望デッキから左舷前方の景色です。
刻々と変わっていく海と空の眺めがダイナミック
(午前6時29分)
沖へ進むほど、風はやや強くなって来ましたが、真冬の北風のような冷たさはなく、キャビン(船室)へは入らないで、ずっとデッキにいながら、空と海の光が演じる雄大な野外劇を見続けている人たちもたくさんいました。

また、船内では、湾内に浮かぶ島々や奇岩、見どころなどを紹介するガイド音声もいつも通り放送。
グリーン船室の最前部。
船内は温かく、ついウトウトしてしまう人も
(午前6時43分)
6時49分頃、水平線に低く立ちこめていた雲がぽっと朱色に染まりました。
雲の向こう側に、太陽が昇ったようです。
太陽が顔を出す直前。水平線が赤くにじみました
(午前6時49分)
そして間もなく、雲間から太陽の光がほとばしり、海に光の道を浮かび上がらせました。
2016年の初日の出です。
日の出は午前6時49分でしたが、雲間からすっかり姿を現したのはもう少し後でした
(午前7時01分)
デッキでは歓声が上がり・・・と書きたいところですが、皆さんは案外静かで、手袋を外してそっと手を合わせたり、写真を撮ったり。
それぞれの夢や希望、あるいは願いを年神様に祈っていました。
宮城県黒川郡からご乗船のねねさん(左)と まあささん。
「もう、すごくキレイで大感激!」とちょっと興奮気味。
「来年? はい! またぜひ乗船したいと思います!」
(午前7時04分)
「松島島巡り観光船企業組合」は、2011年3月11日の地震発生後、直ちに運航を中止して、スタッフの誘導のもと、観光客を全員避難させる一方、船を桟橋につなぎ止め、その後にやっと乗員全員も退避。

しかし、中央桟橋の南側に繋留していた小型遊覧船は20数艘が桟橋ごと流されたり沈んだりしました。未だ見つかっていない船もあります。
広場前の商店街には波や泥やガレキが打ち上げられ、雄島に架かる渡月橋は流失、福浦島へ渡る福浦橋も橋桁が傾きました。

瑞巌寺では地震による壁の亀裂、漆喰の崩落などが発生。海水は参道にまで押し寄せて樹齢数百年の老杉の並木も枯らしてしまいました。
組合の事務所も冠水。桟橋前の広場にはガレキや泥が堆積し、付近は惨憺たる有様でした。

それでも組合の皆さんは、運航再開を目指して翌日から復旧作業にかかります。
何から手を付けたらいいか分からないけれど、でも、まずはできることから・・・。

組合員や商店街の人たち、さらには避難していた観光客までもが、ガレキの撤去や施設の掃除に参加したそうです。
「2~3日後には仙台や東京などからのボランティアの人たちが駆けつけてくれました。特に若い人、高校生や大学生が泥だらけになって。何よりも元気がもらえました」
と、松島島巡り観光船企業組合の専務理事・眞野雅晴さんがお話しくださいました。
松島島巡り観光船企業組合 専務理事・眞野雅晴さん
そして同年GW直前の4月末、震災前7本あった定期航路のうち、湾内周遊航路(50分)と、不定期の湾内航路の3コース、そして丸文松島汽船の塩釜松島間航路も運航を再開しました。

「遊覧船が動いている!」
家族連れ、お孫さんと一緒に来たおばあちゃん、震災後の松島の景色を確かめたかった人、ニュースで再開を知って駆けつけてくれた人など、多くの人たちがやって来ました。

「『孫の笑顔を見て私も元気になれた』『再開できてよかったね』『また乗れてうれしい』・・・。そんな風におっしゃる方の声を聞いて、ああ、再開できてよかったと、私たちもうれしくなりました」(眞野さん)
港に戻ってきたらうっすらと積雪が・・・。
出航後、港では短い時間でしたが、急に降り出したのだそうです。
でも、これはこれで、冷たくも眩しいちょっとうれしいサプライズ
(午前7時42分)
「松島湾は、景勝地として大きな傷は受けませんでしたが、震災という出来事は伝えたい。震災について聞かれる機会も増えていったので、平成23年の11月からは『語り部クルーズ』という形で、希望に応じて船を出して、私たちの体験をお話ししています」
と話すのは、丸文松島汽船の専務取締役・佐藤守郎さんです。

「スタッフ7人ほどが、当時のこと、自分の見聞や体験を話しています。台本はありません。語り部によって内容も違います」
ご家族を亡くしたスタッフの方もいらっしゃいます。話しながらこみ上げ、お客さんも涙ぐんだり。

「忘れたいこともあります。でも風化もさせたくない。あったことはあったと伝え、何よりも、松島の景色をまた楽しんでほしいです。船に乗っていただくこと、来ていただくことで、私たちは勇気づけられるのです」(佐藤さん)
丸文松島汽船 専務取締役・佐藤守郎さん
観光業は地域の農林業や商業とも深く結びついて、復興や再生に大きな力を生み出す産業です。
沿岸市町の復興はまだ道半ばですが、松島という日本屈指の観光地の復興と元気回復は、宮城全体の復興にとっても大きな励みです。

やさしい光に包まれた松島町の1月1日。
気が早すぎますが、来年もまた「遙拝船」に乗ってみたいと思いました。

もちろん初日の出ばかりでなく、四季それぞれの海色、空色、あるいは夕陽・・・。
皆さんもぜひ、船の上から楽しんでみてください。
初仕事を終え、でっかい朝日を背にして松島海岸へ帰航中の遊覧船たち。
今年も安全で楽しい航海を!
(午前7時10分)
今年も多くの方が、宮城を訪れてくださいますように。
そして、たくさんの出会いや交流が生まれますように。

(取材日 平成28年1月1日 )