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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年11月20日金曜日

2015年11月20日金曜日8:00
こんにちは、YMです。
東北福祉大学で「鉄道の復興」をテーマにした企画展が開催されました。
企画展で展示された常磐線の内陸移設線路のイメージ模型。
住民に分かりやすく伝えるために、JR職員たちが制作しました
これに関連して、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)の方3名を講師として招いた講演会がありました。3名とも、鉄道の安全な運行のために日々努め、その中でも重要な役割を担当している方々です。
それぞれ「震災当時の体験」、「自然災害への防災・安全対策」、そして「現在復旧工事中の常磐線」について、貴重な話を聞くことができ、なかなか内容の濃い講演会でした。
鉄道ファンや大学生などさまざまな人たちが集まり、約60名が参加しました。

東日本大震災の体験談

1人目は五十嵐一博さん。震災当時は総務部安全企画室長を務めており、乗客の安全を最優先に被災状況の把握、早期復旧に全力を傾けてきた方です。
五十嵐さんは、安全企画室長として体験したこと…大地震発生後から何が起きたのか、社員がどう行動したのか、そしてそれを忘れないために語ってくれました。

■大地震発生時
当時は運行していた27本の列車が運転停止。そのうち5本の列車が津波により流出しました。
ほかにも駅構内の天井が崩れたり、盛土が崩れて線路が変形したり、貨物列車が脱線したりと、さまざまな被害が出ました。
そんな状況だったにも関わらず、死傷者はゼロ。これは無線も通じない状況の中で、現場の社員が乗客の安全確保のために臨機応変に対応してくれたからでした。

自然災害と鉄道の防災・安全対策

2人目は現在、安全企画部安全戦略グループの課長を務める丸山哲夫さん。
鉄道の安全レベルの向上に貢献している方です。震災発生時は、直ちに被災した各地に足を運び、状況把握と復旧の検討などに取り組み、鉄道の早期復旧に貢献しました。
講演ではJR東日本が取り組んでいる震災対策について、技術的な話をご紹介いただきました。

■新幹線の地震対策
関東大震災(1923年)、宮城県沖地震(1978年)、阪神・淡路大震災(1995年)、三陸南地震(2003年)、新潟県中越地震(2004年)と、鉄道にも大きな被害を与えた大地震がこれまでにもありました。

新幹線を例に挙げると、これらの地震を教訓に、以下の3本柱で「地震対策」が進められています。
(1)壊れないようにする(耐震補強)
『崩落しないように高架橋の耐震補強を進める』
これが進んでいたおかげで、東日本大震災では高架橋の破損被害は最小限に免れました。

(2)早く止める(列車緊急停止の仕組み作り)
『地震を感知した場合、非常ブレーキを作動させ、最も大きい揺れが到達するまでに、高速で走る新幹線の速度を出来る限り落とす』
これがリスクを下げるための重要なポイントになります。

(3)万が一脱線しても、被害を最小に(列車を線路から逸脱させない)
『脱線しても列車が線路から大きく逸脱しないようにする「L型ガイド」という部品を列車に装着。さらにレールも転倒したり、移動したりしないように補強』
東日本大震災の発生時には、東京駅から新青森駅の区間を27本の新幹線が運行中でしたが、お客さまの死傷はありませんでした。

■新幹線の復旧日数
これまでの大地震で新幹線が復旧までにかかった日数は、阪神・淡路大震災は81日、新潟県中越地震は66日、東日本大震災は49日でした。
観測史上日本最大のマグニチュードを記録した東日本大震災でしたが、上記の地震対策が進められていたことと、深刻な被害がなかったこともあり、これだけの日数で復旧することができました。

丸山さんも最初に講演した五十嵐さんも、運転再開した時に、地域の方からメッセージをもらったり、再開を待ちわびていた人たちが列車に向かって手を振ってくれるのを見ると、
「日々地域の人たちに期待されているんだな。」
と、当時を思い出すと、鉄道員(ぽっぽや)として胸が熱くなると話していました。
4年ぶりに仙石線が全線開通した日。列車に向かって手を振る地元のみなさん(撮影日: 2015年5月30日)

常磐線復旧工事について

3人目は常磐復旧工事部区長の石川文雄さん。現在進んでいる常磐線復旧工事の責任者であります。これまでにもさまざまな改良工事や、近年の大地震発生時には復旧工事などを担当してきた方です。さらに常磐線とは縁があり、10年程前には常磐線沿線のプロジェクトを担当していたこともあるそうです。
講演では常磐線の工事概要と今まで取り組んできた内容について話しました。

■復旧計画から工事着手まで
常磐線周辺は、地震・津波・原発事故と3重の被害を受けた地域です。常磐線の復旧は「地域の復旧」に繋がる重要な事業として、早期復旧への期待と使命がかかっています。
現在、亘理町の浜吉田駅から福島県の駒ケ嶺駅までの区間が工事中です。その内の山下駅、坂元駅、新地駅を沿岸部から内陸側に移設することになりました。
しかし今回の移設工事区間は、全長約14.6km。JR東日本としても会社発足以降、これほどの大規模な修復工事は初めてだそうです。
まず2011年から2013年までにルート設定・調査・設計などを行い、2014年から工事を実施。2017年には運転再開予定となっています。
【11/27追記】工事が順調に進んでいるということで、運転再開日が2016年末に前倒しになると発表されました。

■「チーム常磐!」
このプロジェクトの一番の使命は「常磐線の早期運転再開」。それに向けて、1日約1000人の作業員が活動しています。「チーム常磐」という合言葉のもと、作業員が一丸となり、1人1人が「早く常磐線を復旧させよう」という意志で今日も工事が進められています。


常磐線復旧工事の様子は、山元町と新地町のホームページで、最新の進行状況が公開されていますので、こちらもご覧ください。

■宮城県山元町ホームページ「つなげよう、常磐線!」
http://www.town.yamamoto.miyagi.jp/soshiki/7/1959.html

■福島県新地町ホームページ「JR復旧状況」
http://www.shinchi-town.jp/hukkou/833.html

(取材日 平成27年10月10日)