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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年11月3日火曜日

2015年11月3日火曜日12:55
こんにちはエムです。

名取市閖上で142年間、子どもたちを見守り続けてきた名取市立閖上小学校は、東日本大震災の復興計画により、今年度中の解体が決まっています。

小学校に感謝を込めたお別れのイベントが催されたことは、先日お伝えしました。
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2015年10月23日 金曜日
ありがとう!閖上小学校~142年の歴史に幕(名取市)
http://kokoropress.blogspot.jp/2015/10/142.html
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この回では、おいしい食事や飲み物を提供する屋台を出してくれた団体や、素晴らしい催しを行って楽しませてくれた皆さんがいたことをお伝えしようと思います。

船は東を向き、子どもたちが1つの夢に向かっていけるようにとの願いが込められています。
自衛隊が船を運び、完成までは約600人もの人が関わったそうです
これは閖上小学校校庭の南東角にある遊具「ちびっこ丸」。
大震災の津波にも負けずに残りましたが、現在は遊ぶことはできません。
工事着手から1年後の昭和49年に完成し、以来、たくさんの子どもたちに愛されてきたことは一目瞭然でしょう。

この「ちびっこ丸」を、将来新設される閖上小学校に移設、もしくは新設しようとする計画があります。
お別れのイベントでは、そのための資金を寄付した人に5枚綴りの食券が渡され、屋台で好きな物の飲食ができるというシステムでした。

食べ物の屋台を出していたのは、「かながわイレブン」の皆さんや、地元閖上の「佐藤たこやき屋」さん。
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/09/blog-post_2.html

「かながわイレブン」はメンバーのほとんどが神奈川県で飲食店を営む皆さんです。
大震災後に名取市役所前で、自ら持ち込んだ食材で炊き出しをやったのが縁で、この日も実行委員会の呼び掛けに応じて駆けつけてくれました。
当時、「被災地に炊き出しに行こう」と話し合った時に11社が集まっていたことから「かながわイレブン」と命名されたのだそうです。

ホタテ焼きやサザエのつぼ焼き、女川産ムール貝などの海産物の料理の他、ピザ、麺類の提供もあり、屋台には行列ができるほどの盛況ぶりでした。

女川産ムール貝のクリームスープ煮

その場で焼きたてのピザを提供

もんじゃ横丁の横丁焼きそば

カツオのワラ焼きを作っています

大人気の焼き鳥

飲み物は「東京ピースライオンズクラブ」が提供していました

ふと見ると、何と焼酎の試飲をしている屋台があり、ちょっとミスマッチな気がして立ち止まりました。そこには「ゆりあげの風」というきれいなラベルの焼酎が置かれています。何か意味があるとにらんだ私は、早速お話を伺いました。
説明をしてくれたのは若潮酒造の池田信次さんです。

「この焼酎は、名取市の仮設住宅、箱塚桜団地に住んでいた子どもたち『げんきキッズ』と『かながわイレブン』が一緒に企画し、鹿児島県の酒造会社『若潮酒造株式会社』が製造した焼酎です」

ラベルを見ると、3種類の閖上の風景が美しいちぎり絵で描かれています。

「これは『げんきキッズ』の子どもたちに、ちぎり絵で作ってもらった作品をラベルに採用させてもらっています。
『あの時を忘れず、つながりも忘れず』……そんな思いを込め、『閖上の復興支援ボトル』として神奈川の飲食店から発信し、現在は全国で取り扱ってもらっています。売り上げの一部が『ちびっこ丸』の移設か新設のために寄付されます」

(詳しくはこちらを参照ください)
http://www.no-man.jp/SHOP/2929.html

(画面右)若潮酒造株式会社の池田信次さんと
LED照明を扱うベル・トップ・ジャパン株式会社の赤塚慎悟さん
「ゆりあげの風」は900ミリリットル、990円

「かながわイレブン」は名取市役所前で約1万食の炊き出しを2回実施してくれたのだそうですが、その後も、箱塚桜団地の春祭りや夏まつりに手伝いに来たり、地元横浜で全額寄付のイベントを行ったりと、姿形を変えながらも支援活動をしていました。

今回は実行委員会の格井さんたちのオファーを受け、約2年ぶりに名取市に集まり、お互いに会うのも久しぶりなのだそうですが、飲食店業の他、更に多くの業種の方が関わっているようでした。

代表の志村冬樹さんは神奈川県茅ヶ崎で沖縄料理など複数のお店を経営している方。
心境などをお聞きしました。

「今は道路もきれいだし、その当時と全然違う感じですね。
あの頃はその辺に船が転がってたり、高速道路もひび割れていたりしました。

実は今回はリベンジに来ました。
震災後、2011年4月頃には大型バスを借りて、まず名取市に来たんですが、当時はこういう事をやるのが初めてだったので、おいしい料理を作る事ができなかったんです。
料理人でプロですけど、僕らはいつも屋内で作っているので当然設備も違うし、プロパンの付け方すら分からなかった。しかも野外でやるっていうのは風で火が消えるとか、予想外のことも起こったりで、自信を持った料理を提供できませんでした。そんな自分がふがいなくて……。
でもあれから4年間、悔しかったので地元でも外でのイベントなどで一生懸命やってきました。今では自分も心から納得して、自信を持った料理を出せてると思います」

「かながわイレブン」有志の皆さん。(左から)齋藤哲英さん(IT関連会社/株式会社哲理)
正木裕久さん(株式会社守正)、志村冬樹さん(合同会社こころざし)
下澤敏也さん(有限会社たのし屋本舗)

志村さんが自信を持って提供していたソーキそば。
本当においしかったです!

「僕たちは他にも福島などに行ったりしたりもしてたんですが、名取市には顔見知りも増えたので、息が長くできると思い支援先はここだけにしようと決めたんです」

志村さんの言葉に、「出会い」と「再会」の温かな姿を見たような気がしました。

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他に、実行委員会の呼びかけで集まった、千葉県、神奈川県横浜市のよさこいチームや、関東近郊でライブ活動をしているバンドグループなどがすばらしい演舞や歌を披露してくれました。

ケーワンドリームによる迫力あるヨサコイ

うらやすヨサコイの演舞

長い間入院、通院をしていたという和久佳菜さんにとってこの日は
人生の再出発の記念日になったと語っていました
また、宮城県出身のピアニスト和久佳菜さんは、時間や場所を忘れるほど美しい演奏の後言いました。
「142年もの歴史を持つ閖上小学校とはお別れになりますが、新しい場所でも小さなお子さんたちが元気にすくすく育って、閖上の町がまた元気いっぱいになるよう、皆さんも過ごしていただければ……と思います」

小塚原すみれ会
そして地元の名取市からは、自力再建が進んでいる小塚原地区から、「小塚原すみれ会」による息の合ったレクダンス披露がありました。

このような協力者の皆さんの温かな気持ちや、力強い励ましを受け、閖上小学校とのお別れの会は、参加した皆さんの明るい笑顔や、楽しげな歓声だけが心に残りました。

閉会式が終わった後、志村さんによる「伊達の一本締め」で幕は閉じました

「この場所は無くなっても、これをきっかけにまたどこかで再会し、これからもつながりを作っていけるといいですね。そして地域の人同士のつながりにもなれば……と思います。
そして一緒の目的を持ってる者同士なので、今日のような場で新たな出会いがあることで、何かあった時に、協力してできる体制を作るきっかけになればとも考えています」

実行委員会の格井さんが言っていた言葉の通りのことが、この日に起こったのでは……と感じた1日でした。


(取材日 平成27年10月12日)