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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年11月26日木曜日

2015年11月26日木曜日9:51
こんにちは、にゃんこです。

10月10日、仙台市の日立システムズホール仙台(青年文化センター)にて開催された講演会
「被災地の今~南三陸町歌津~」


その1では会を主催した「東北互援紡ぎ」の活動紹介、その2では、歌津にある仮設商店街「伊里前福幸商店街」で衣料品店「マルエー」を営む千葉教行さんの講演の模様をお伝えしてきました。

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2015年10月27日
必要とされなくなるまで応援!(その1)
http://kokoropress.blogspot.jp/2015/10/1.html
2015年11月9日
商店街の新たな未来のために(その2)
http://kokoropress.blogspot.jp/2015/11/2.html
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最後となる今日は、2011年12月に歌津地区に移住し現在は復興応援隊として活動する坂下邦彦さんの活動をご紹介したいと思います。

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その前に一つ、皆さんに質問です。

「“活性化”とはどのような状態なのか? にぎわい=活性化だと思いますか?」

これは坂下さんが講演の中で、参加者の方に問いかけた質問です。
皆さんはどう思いますか??


これについて考えながら読み進めていただければと思います。

・坂下さんの支援活動の始まり
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坂下さんのご出身は富山県。震災当時は東京でITエンジニアとして働いていました。
東北に縁もゆかりもない坂下さんが歌津でボランティアをすることになったきっかけ。
それは、震災直後に歌津町出身の友人から地元に物資を届けたいから一緒に手伝ってほしいという依頼でした。

実はこの歌津町出身の友人というのが、マルエーのご主人千葉さんの娘さんなんだそう!

物資を車に積んで千葉さんの娘さんとともに初めて歌津を訪れたのは2011年4月。
その日から坂下さんの歌津での活動の日々が始まりました。

訪れたその日に早速立ち上げたのは、「南三陸町歌津中学校(避難所)ホームページ」。


「中学校の校長先生に容認していただきHPを立ち上げました。避難所での出来事や不足している物資など、地域の方に携帯電話で情報を送ってもらい生の声を発信してきました。これによって全国の方々からたくさんの物資が届くようになったり、こういう支援をしたいんだけど迷惑になりませんか?と問い合わせていただいたり。情報発信がいかにすごいかを教えてくれたHPでした」
と坂下さん。

・世界で一つだけ!?の商店街
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ところで以前ココロプレスで、伊里前福幸商店街にはためくスポーツフラッグについてご紹介した記事をご存じでしょうか。

▼2013年4月23日
「“絆”が見える商店街」ギネスブックに挑戦!
http://kokoropress.blogspot.jp/2013/04/blog-post_4027.html

実はこれも坂下さんが呼び掛けた活動の一つ。

(写真提供:伊里前福幸商店街ブログより)
以前の記事では、ギネスブックに「ひとつの商店街に掲げられているスポーツフラッグのチーム数」として登録を申請したところまでご紹介しています。

その後の結果…気になりますよね!?

結果はダメでした…。
でもこれはとてもすごいことの証明になったんです!

ギネスブックからの返答は、
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伊里前福幸商店街と競える場所が他にありません。
ギネスは記録を塗り替えられる可能性があるものでなければならない。
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つまり、ギネスも認めるほかのどこにもない“オンリーワンの商店街”という言うことなんです!

この企画がスタートしてから丸3年がたつ今も、毎月のように全国各地から届くというスポーツフラッグ。
9月にも1日最大約20名のサポーターが商店街に届けにきてくれたんだそう。

・伊里前福幸商店街のキセキ!
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「ところでこのフラッグ、効果はあるの?」
ある日坂下さんが問いかけられた言葉です。

「ホームページの整理をしていたときに、2012年初夏から寄贈していただいたという報告が100ページを超えていることに気づいたんです。年間53週のうち、最低でも33週の週末に商店街に来ていただいているという計算になる。これってすごいことなんですよ!

サポーターの方が商店街に来て買い物をしてくれる。固定客が増えたのと同じ効果があるんです。リピーターを増やす作業が実はできていた。支援の在り方の一つだと再確認することができました。サポーターや地域の子どもたちがとても喜んでくれています。きっかけは小さくてもここまですばらしい企画になったことに驚いています。私はこれを“伊里前福幸商店街のキセキ”と呼んでいます!」

・質問の答えとは?
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冒頭で皆さんに問いかけた質問「にぎわい=活性化だと思いますか?」
坂下さんにこの質問を投げかけられたとき、私も手を挙げた一人でした。

ある参加者は、
「にぎわいは瞬間的な活性化にはなるが、継続的なものではない」

そして坂下さん、
「そう、にぎわいと活性化はイコールではないんです。地域の活性化は人がたくさん来ることではなく、地元の人が生活できる状態になること。これを勘違いしている人が多いんです。ちなみにお祭りは活性化とは関係がありません。お祭りは地域の方の楽しみです。

じゃあどうすれば地元の人が生活できるようになるのか。それは商店街に限って言えば、リピーターが増えることです。活性化は人数ではありません。一人でもいいから歌津のファンを増やすこと。ファンが一人生まれれば大成功なんですよ。フラッグを届けてくれるサポーターはリピーターなんです。そういう一人ひとりが積み重なってフラッグの企画が大成功していたことに気づかされたんです」


坂下さんからの質問はさらに続きます。
「では、お客さんが商店街に求めることとは?」

(参加者)「おもしろいことがあってまた行きたくなるものがある」

(坂下さん)「また行きたくなるものって?」

(参加者)「接客、人」

「そうです!歌津の魅力はそこに住んでいる人、それを知ってほしいんです!歌津地区の商店街の方はとても人懐こくて接客も最高です!マルエーさんにも毎年通ってくるファンがいらっしゃいます。年寄りだろうが若かろうが魅力のある人が街を作っていけば活気ある街になります。たとえ人口が増えなくても魅力のある人を増やす。これは可能ですよね。活性化ってそういうもんだと思うんです」

「私のすべての支援活動は地元の人の一言から始まっているんです。その声をいかに拾えるかが自分の仕事。その声が発生したときに、お手伝いします!とすぐに行動できる体制がほしいんです。資金がないからあきらめたというプロジェクトはいくつもあります。これが小さなグループの限界なんですね。

阪神淡路大震災でも復興は10年かかると言われていました。でも未だに精神的なケアが必要な方もいらっしゃると聞いています。東日本大震災はそれ以上。あと何年、何十年かかるか分からない状態です。そういうときに一人でも協力してくださる方がいらっしゃれば、現場で活動している私たちはいろんな仕掛けができます。歌津町の地域活性化のために皆さんにもぜひお手伝いいただきたいです」

・歌津町の未来
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「2011年6月に『南三陸ショッピングモール』というサイトを立ち上げました。今は『伊里前福幸商店街ブログ』になっています。このサイトを立ち上げたときに夢見たことが今現実になりそうなんです。

それは、個人商店がバラバラになるのではなく、一つの商店街として運営ができるようにすることでした。今年6月まちづくり会社『株式会社南三陸まちづくり未来』ができました。新たな伊里前福幸商店街は平成28年度中の開業予定で工事が進められています。

これが伊里前の未来です。そのときに商店街にどれだけリピーターを増やせるか、それが私たちサポーターの目標です。魅力ある人はここにいます。さらに魅力ある商店街ができれば活性化できますよね。各商店街がきちっと生活できるような環境になること。僕はそのためにできることを継続していきたいと思います」

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最後に、元々縁もゆかりもない歌津町のためになぜここまで頑張れるのか坂下さんに思い切って聞いてみました。

「当時は仲間がいたからです。歌津に移住した人は私を含めて3人。事情があって今は私一人になりました。手掛けた仕事がどうなっているのかを見る楽しみも一つですが、途中でやめてその後どうなったかを無視できますか?

当時は復興までに10年はかかるなと覚悟を決めていました。今その通りになっています。4年7カ月経っても商店街はスタートラインにも立てていないんです。スタートラインの前の状態。他の商店街と競争すらできないんです。その状況で『はい、さよなら』って言えませんよね。

自分に何ができるわけじゃないけど、ちょっとでも力になれることがあればお手伝いをしてスタートラインに立つのを見たい。それが私の間近の目標です」

今年の夏に行われた2015歌津復興夏まつり」の様子
(ココロプレス過去記事より)

坂下さんのブログはこちら↓
象さんのパオーン通信
http://studio-elephant.com/welcome/welcome.cgi?

嵩上げの工事の進捗状況など、伊里前地区の“今”を知ることができます。

2015年11月8日に撮影された新しい仮設商店街の工事の様子。
右奥のフラッグが多数立つのが現在の伊里前福幸商店街
(写真提供:象さんのパオーン通信より)
(取材日 平成27年10月10日)