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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年10月19日月曜日

2015年10月19日月曜日13:53
石野葉穂香です。

今回は、カタログや写真集などの美しい印刷物を製作・デザインする「大伸社(本社・東京都)」が、2012年から行っている「チャリティー・カレンダープロジェクト」をご紹介します。

2016年版を撮影される齋藤陽道(はるみち)さん
このプロジェクトは、大伸社の有志社員の皆さんが立ち上げた「みちのく応援団」が進めているもの。
東北の風景写真で綴られたカレンダーを販売し、その売上金を震災孤児の支援を行っている団体等に寄付するというプロジェクトです。

こちらの写真は2015年版から。
昨年は、女川町出身のフォトグラファー鈴木麻弓さんと、
柴田農林高校写真部出身で、日大芸術学部写真学科在籍中の安藤すみれさんが、
福島県と宮城県の風景を撮り下ろししました

2011年秋から始動し、これまでに2012年、2013年、2014年、2015年のカレンダーを制作してきました。
そして、プロジェクト5年目となる2016年版の撮影もスタートしています。
8月末、その取材クルーの皆さんにお会いして来ました。

取材クルーの皆さん。後ろ姿ですみません。
県内を車で巡りながら、ここは と思うポイントで
車を停めてロケします
2016年版の写真を撮影する写真家は、齋藤陽道さん31歳。齋藤さんは実は、生まれたときから耳が聞こえません。

中学校までは、地域の学校へ通っていましたが、補聴器を付けても周囲の声はかすかにしか聞き取れず、友だちと会話することもほとんどなかったそうです。
人と関わることが怖く、感情を閉じこめてきた孤独な少年時代を過ごしたのだとか。

2010年には、新人写真家の登竜門である「写真新世紀」コンテストで優秀賞を受賞。
その後も「ミスターチルドレン」のコンサート写真の撮影や、美術館での個展開催など、活動の場を広げています。

その齋藤さんが撮影を担当する「チャリティフォトカレンダー 2016」のテーマは「かなでる」です。

齋藤さんの写真集『宝箱』(ワタリウム美術館編/ぴあ株式会社)から
8月下旬、来県した撮影クルーに同行させていただきました。
斎藤さんとご一緒に東北へやって来たのは、(株)大伸社ディライトのクリエイティブディレクターである一色俊典さん、(株)大伸社コミュニケーションデザインのアートディレクター・黒木進次さんとデザイナーの高成田祐衣さんです。
今回のロケ旅は、2泊3日。岩手県と宮城県を訪ねました。

でも、雨が降ったり、霧が湧いたり・・・。
雨なら雨の、曇りなら曇りなりの表情を、きっと切り取られるのだろうな、と思いながらも、でも、やはり蒼空の光あふれる東北を見てほしかったなとも思いました。

記者が同行させていただいたのは、岩手県一関市の岩手サファリパーク、栗原市の伊豆沼、そして南三陸町の「八幡川かがり火祭り福興市」の3カ所でした。
岩手サファリパーク。
バスで園内を遊覧しました
齋藤さんは、岩手サファリパークには
以前も何度か訪れているそうです



トラ。これは記者が撮影しました










天気はもうひとつでしたが、齋藤さんは、精力的にシャッターを切ります。
しかも、デジカメではなく、ブローニーフィルム(通常のフィルム=35㎜よりも2.7倍も面積が大きいフィルム)を使った中判カメラ。

その特徴は、豊富な階調と美しい画像を創ることができ、大きく引き延ばしても仕上がりがシャープになることです。

フィルムを交換中の齋藤さん。
カメラマンさんのこんな仕草も、最近は見られなくなりました
伊豆沼で、ハスの花を観覧する舟に乗ったときのこと。
齋藤さんは、一度目は高成田さんと一緒でしたが、「もう一度乗りたい」とのことで、二度目は一人で乗船しました。
このハスはいつまで咲いているの? 齋藤さんも、お天気のことはちょっと残念だったご様子。



齋藤さんに伺いました。
--今回はどんな写真を撮りたいですか?
「今回に限らず光を意識した写真を撮っています。今回は雨なのでリベンジしたいと思います」

写真家としてのテーマ・・・伝えたいこと、見てほしいと思うことは?
「小さいもの、言葉を持たないもの・・・は、存在そのものが声を放っているな、と写真を撮っていくうちに、そう感じられるようになりました。
その、言葉ではない〝声〟を具現化したいという思いがあります」


一色さんも、
「齋藤さんは光が重要な写真家です。だから、本当は、晴れた日の東北を撮ってもらえたら・・・っていうのが正直なところです。今秋、きっともう一度来ます(笑)」

そして、齋藤さんと制作チームは、9月中旬、もう一度東北を訪れて、今度は好天のもと、撮影を完了させたそうです。

齋藤さんと、カレンダー制作チームの高成田さん。
ちなみに高成田さんは仙台市ご出身の方です
取材時、齋藤さんのこれまでの作品も見せていただきました。
そこには、たくさんの色や表情がとても濃密に詰まっているように感じました。
受け止めたくなる事柄が、画面の中にあふれています。

・・・これは私の勝手な想像ですが、光の中に浮かび上がった対象を、齋藤さんは、その周囲の空気ぐるみ、ぎゅっと抱きしめようとしているのかなと思いました。

光の世界の二度とない一瞬。
音という情報さえ、画面の中に封じ込めてしまうような・・・。
そんな心震わされるような濃密さでした。
南三陸町の「八幡川かがり火祭り福興市」にて
さて、
2016年のカレンダー。
齋藤さんは、私たちにどんな「一瞬」を届けてくださるのでしょうか。

テーマは「かなでる」。
例えば〝心と心が響き合う〟といった言葉は、被災地を支援するときも、ずっと大切に使われてきた言葉です。
でも、「かなでる」という言葉は、より能動的・積極的な言葉ではないでしょうか。

人と人とが触れあったり、違う個性がぶつかり合うことで、ときに小さな衝突や摩擦が起き、そして熱が生まれることもあります(もちろん悪い意味でなく)。

それが、ときには「情熱」となって、ますます心を熱くさせ、より強く、人と人とを結びつけたりもします。

メッセージをいただきました!
左から(株)大伸社コミュニケーションデザインのデザイナー・高成田祐衣さん、
アートディレクターの黒木進次さん。
そして齋藤さんと、(株)大伸社ディライトのクリエイティブディレクター・一色俊典さんです
そうしてぶつかって響き合っていた音や熱が、いつか調和する「調べ」に変わっていく・・・。

そのとき、被災地には、また新しい光彩が浮かんでくるのかな。そう思いました。

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「みちのく応援団」URL
http://www.daishinsha.co.jp/charity/index.html

「みちのく応援団」Twitter
https://twitter.com/michinokuoendan

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(取材日 平成27年8月29日)