header

宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

ヘッダー写真説明文

写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年9月9日水曜日

2015年9月9日水曜日10:16
石野葉穂香です。

8月2日、南三陸町歌津の伊里前復幸商店街で、「2015歌津復興夏まつり」が開催されました。
7月末の「志津川湾夏まつり福興市」と並んで、夏休み期間中に行われる南三陸町のビッグイベントです。

軽トラに乗せられて「ポストくん」が入場。
子どもたちがエスコートします
3.11の大津波で流されてしまった歌津のコンビニエンスストア前の郵便ポストが、はるか2400㎞も離れた沖縄県の西表島で発見されたという縁もあって、毎年、この祭りには、石垣島出身の「BEGIN」のメンバーも駆けつけてくださっています。

BEGINの皆さんと「ポストくん」、そして歌津の皆さんとの交流については、過去記事をご覧ください。

2014年9月3日(水)
「〝ポストくん〟と、歌津復興夏まつり (南三陸町)」
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/09/blog-post_3.html

また、この祭りを昨年から支援してくださっているボランティアチームの皆さんが、今年も開催をがっちり支えてくださいました。

チームの名前は、「NPO法人 フェローズ・ウィル」。
震災直後から南三陸町入りし、「南三陸町災害ボランティアセンター」の協働団体として活躍を続けていて、今春、ボランティアセンターが解散した後も、志津川の入谷に拠点を構えて、入谷地区、歌津地区、馬場中山地区などで、農業や漁業、養殖業の作業のお手伝い、地元のお祭りやイベントなどの支援活動を行っています。

インタビューに応じてくださった「フェローズ・ウィル」の我妻慶里さん(中央)。
左はスタッフの藤原博幸さん。右は同じく松信瑠奈さん
この日は、南三陸町観光協会からの要請もあって、「復興夏まつり」の準備と運営に力を貸してくださいました。
「ボランティアの数が減って、祭りの運営もたいへんとのこと。今日は本部と『ポストくん』ブースの運営、そして販売のお手伝いに、32名のスタッフが、前日から歌津入りしています」

そう話してくださったのは「フェローズ・ウィル」の代表理事である我妻慶里さん。
我妻さんは、2011年4月、震災の直後から南三陸町でボランティア活動を始めて、同年9月には「バタフライ・エフェクト」という団体を設立しました。

この日、フェローズ・ウィルに参加していた大学生たち。
左から、15回目の参加だという明治大学3年生の谷口幸陽さん。
漫画家の卵である大阪芸術大学2回生の寺田弘晃さん。
田んぼが広がる東北の風景や自然が大好きという武蔵大学1年生の水㟢奈那さん
バタフライ・エフェクトとは「小さな蝶の羽ばたきのようなささやかなことが、少しずつ大きな現象へと変化していくことを表した言葉。
気象学者エドワード・ローレンツが『ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスでトルネードを引き起こすか』という講演のタイトルに由来しています。

つまり「小さな動きでも、時間の経過や繋がりや組み合わせによって、やがて大きな影響となって、どんな未来が訪れるかわからない」という意味です。

「私たちの活動も、小さな羽ばたきだったかもしれませんが、影響はあったと思っています。そして、昨年(2014年)春、名称を現在の『フェローズ・ウィル』に改めました。『フェロー』は仲間。10名の仲間が活動を継続しています。考え方としてはバージョンアップです」

伊里前中学校吹奏楽部と大学生で編成されたビッグバンドのコンサート
「フェローズ・ウィル」の活動は、多岐にわたっています。
主となるのは漁業と農業の支援。東京の物産展でワカメを販売したり、キクイモを作ってお茶やジャム、チップを作ったり。
また看護師による仮設住宅の訪問、写真家による写真展開催、カレンダーの製作など。
「6部門ほどあって、それぞれにリーダーがいます。ネットワークで声掛けして手伝ってくれる人を募集。これまでに延べ3500人ぐらいの人が、私たちの活動に関わってくれました」

入谷地区には「フェローズ・ウィル」の基地があります。
「借家ですが『南三陸シェアベース』という名前で、Iターンの若者2名が管理人として常駐しています。仮設住宅の看護支援などは、ここをベースに、社協と一緒に年間100日ぐらい活動しています」

「フェローズ・ウィル」だけでなく、まちを応援している団体さんも祭りに参加。
こちらは、50回以上も「南三陸入りしている「チームK」の皆さん。
書き損じハガキを換金し、その寄付金で花火を打ち上げるなどの活動を展開しています

関東学院大学の学生さんも応援に
沖縄ツーリストさんのテントにて。
毎年、南の島の風が感じられるのも「歌津復興夏まつり」の特徴です

 「震災直後、初めて来たときは『人がいない街ってこんなに静かなのか』と思いました。まだガレキがたくさんあって、その下に『命』が埋もれている・・・と、強く感じました。そして人として何をするべきか――。ずーっと考えていました」

4年を経て、我妻さんが感じられる「南三陸町の変化」はどんなふうでしょうか?

「歌津と志津川では『個性』が違います。南三陸として、もっと強くひとつになれるためのプラットフォームが必要ですね。
また、経済が入ってきていないな、ということを感じます。経済が立ち直らないと、やっぱり再生は難しい。個々の漁師さんは頑張っているけれど、まだまだ。
人間は、経済的動物です。傷ついた町が元に戻ることはないけれど、これから築かれていく町は、やっぱりやさしい町であってほしいし、若者が目標を持って生きていく町じゃないと。若者が外へ出て行ってしまえば税収も減ります。町が自立していくための術を一緒に考えていきたい」
フラガールも
いわき市から駆けつけてくれました

風船に興味津々

南三陸ではおなじみの「サンシンズJr」
過去記事は・・・
2014年12月31日(水)
「その歌声と笑顔には太陽もかなわない ~サンシンズジュニア」
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/12/blog-post_4.html



音楽に合わせてダンス!
夏の日射しあふれる一日でした


 「フェローズ・ウィル」の活動は、最低10年は続けたい、と我妻さんは言います。
「活動を引き継いでくれる若い人をつくっていきたい。人材って、人って大切ですよね。
私たちは来る人を拒みません。NPO法人としてこうあるべき、とも思っていません。中には『こっちに来るな』という団体もあるようですが、私たちはカベを作りたくありません」

そして、「忘れさせない」ということが大きなテーマだともおっしゃいます。
「日本中、いつまたどこで災害が起きるか・・・。だからこそ学ばなければいけないし、学んでほしいです。
でも、私たちの活動は基本的には『黒子』です。役者は地元の人。『忘れさせない』ということもブームじゃなく文化にしていかなければなりません。
ありがとう、という気持ちと笑顔は、日本中の人、世界中の人の文化としてあるべきものです。お互いさまというか、対価を求めるものではありませんよね?」

「BEGIN」と一緒に子どもたちもステージへ
力仕事や、日常の作業へのお手伝いを求める人たちも、まだ大勢います。
でも、被災地への関心は薄れつつあるのが現実かなと感じます。

「まち」がひとつ消えてしまっても、あるいは世界は何も変わらないのかもしれません。
だけど、そこに暮らす人たちにとって必要だからこそ「まち」は築かれてきたのであり、そして、再生されようとしています。

メッセージを結びつけた風船が夕空に放たれ、祭りは最高潮に!
これからの「まちづくり」までも一緒に考えよう、と言ってくれる「フェローズ・ウィル」。
背中を押してくれる人、横にいて手を繋いでくれる人、肩を組んでくれる人、仲間・・・。

Fellows-仲間
Will-意志。

支えて支え合う「仲間たち」の力は、新しい「まちづくり」の場面で、ますます大きな力になって行くはずです。

(取材日 平成27年8月2日)