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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年9月2日水曜日

2015年9月2日水曜日17:59
こんにちは、にゃんこです。

2015年9月11日、震災から4年6カ月を迎えます。
ココロプレスでも何度かお伝えしているように、宮城県内でも復興公営住宅の建設、入居が進み、仮設を「卒業」する方も増えてきました。

やっと終の棲家に移れたと安堵する方がいる一方で、移転先が決まらず仮設にとどまる方・残らざるをえない方もまだまだいらっしゃいます。

そこで仮設住宅の現状、そして復興公営住宅の生活について、元あすと長町仮設住宅自治会長の飯塚正広さん
お話を伺ってきました。

元あすと長町仮設住宅自治会長の飯塚さん
「皆様支援ありがとうございます。元気だぜ!仮設生活『顔晴って』います。
必ず全員で復興します。応援よろしくお願いいたします」
(撮影日:2012年8月)

あすと長町仮設住宅は233戸の住宅が建ち並ぶ仙台市内最大の仮設住宅です。
それまでの運営委員会から引き継ぐ形で自治会が設立したのは2012年3月11日。
今年(2015年)3月末に自治会が解散になるまで、飯塚さんは会長として奔走の日々を送ってきました。

あすと長町のこれまでの記事はこちら↓
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2011年12月5日
コワイモノなし!!
http://kokoropress.blogspot.jp/2011/12/blog-post_3953.html
2012年8月8日
あすとニュータウン
http://kokoropress.blogspot.jp/2012/08/blog-post_4288.html
2013年4月28日
花で豊かに楽しく「あすと長町仮設住宅」
http://kokoropress.blogspot.jp/2013/04/blog-post_9342.html#uds-search-results
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最大233戸の入居があった仮設は、2015年7月現在で約60戸まで減っていると言います。
転居の見通しが立たない理由とは―?

「まずは今、移転先団地に自宅を建築中の方です。土地の引き渡しが今年の3月から始まったので、皆さんそこから建て始めたようですね。早い人だともう完成した方もいらっしゃるようですが、ほとんどは今年の秋ぐらいになるようです。遅くとも年度内には皆さん仮設を出られるんじゃないかな。そういう方が約40世帯あります。あとは、復興公営住宅に入居資格はあるんですが、募集戸数が足りなくて入れないという方が約10世帯くらいいらっしゃいますね」

仙台市の復興公営住宅の申し込みは、優先入居、優先順位、コミュニティ入居、一般抽選と4つの区分に分かれ、それぞれに条件が設けられています。

詳細はこちら↓
http://www.city.sendai.jp/shinsai/seikatsushien/pdf/vol20/nyukyosyabosyuhoushin.pdf

「仙台市の指定する災害危険区域に自宅があった方が、優先入居として第一優先で抽選なく好きな復興公営住宅を選ぶことができました。その次の優先順位とコミュニティ入居というのが同時期に募集になったんです。このどちらを選ぶのかというのが分かれ道となったんです」

飯塚さんは、コミュニティ入居であすと長町地区の復興公営住宅に入ることができました。
同じようにコミュニティ入居であすと長町の仮設から同地区内の復興公営住宅に入れたのは約60世帯。他の申込区分で入居した方を含めて約80世帯の方が入ることができました。

「優先順位を選んだ方は、人気の高いところが抽選になってしまったんです。点数の高い方でも市への提出書類に不備があって点数が低いまま計算されてしまい抽選で落ちたということもありました。それが私は非常に悔やまれることです。そいう方は一般抽選に回ったのですがあすと長町は人気が高くもう枠がもうなかったんです」

コミュニティ入居の審査も厳しく、仮設住宅でどのようにコミュニティ(実績)を作ってきたか(例として夏祭りなどのイベントや復興公営住宅に入るための勉強会など)、復興公営住宅に入ったらどのような活動をしていくのかといったことが審査の対象となり、飯塚さんは代表として事細かに記し提出したと言います。

そういったことから飯塚さんは、

「仮設住宅でのコミュニティ活動を行う、参加するということはとても重要なことなんです。決して軽視してはいけない」
と強調します。

仙台市は来年(2016年)3月以降、仮設住宅への入居期限を原則延長しないとの方針を打ち出しています。あと残り半年。今後どういった対策やサポートが必要になってくるのでしょうか―?

「これから仮設から出ていく人はどんどん増えます。取り残された感というのはものすごく大きい。移転先が決まっていないという焦りやストレスを感じている方も多く、ものすごく怖いと思うんです。だからこそその方々にあった個別的な支援が必要で、通り一遍の支援では無理だと思います。中には復興公営住宅を希望している方もいらっしゃいます。そう考えると復興公営住宅の数はまだまだ足りない。私はそれが一番大きいと思います」

自治会長として、そして仮設に住む住民の一人として大切なこととは―?
「やっぱり住民の安心と安全。これに関わることは常に考え対応してきました」

自分の仕事も抱えながら仮設では自治会長として24時間体制で対応してきた飯塚さん。
トラブルは日常茶飯事、仮設の日常を伝えるブログには誹謗中傷の日々…精神的にもギリギリだったと言います。それでも続けてきた理由は、

「誰かはやらざるを得ない。もし自分が辞めたら誰がやるのか。自分はそれいいのか…」

自治会長に就任してから約3年、毎日が葛藤でした。

現在のあすと長町仮設住宅の様子。ポストには住民不在を知らせる
テープが貼られている住宅が多く、閑散とした雰囲気でした

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「ここでできた絆がまたバラバラにならないように、このあすと長町近辺に復興公営住宅を建設してもらい、まとまって入居したい」
以前取材でお伺いした際、こうお話をされていた飯塚さん。

その願いが叶い、あすと長町地区には3つの復興公営住宅が建設され、仮設からは約80世帯が3カ所に分かれて入居することができました。

復興公営住宅の入居者に配られた「郡山・長町周辺くらしのマップ」より

あすと長町復興公営住宅

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2015年7月6日
全町内会がバックアップします!あすと長町復興公営住宅交流会
http://kokoropress.blogspot.jp/2015/07/blog-post.html
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あすと長町第二復興公営住宅

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2015年7月18日
仲良くなるきっかけに!「あすと長町第二復興公営住宅交流会」
http://kokoropress.blogspot.jp/2015/07/blog-post_18.html
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「コミュニティ作りはまだまだこれからです。今少しずつ動きがでているところですね。
今後は3つの復興公営住宅がバラバラになるのではなくある程度連携を取っていけたらと思っています。まだ支援してくださる団体もいらっしゃいますので、復興公営住宅だけでなく仮設の方も一緒にできることを考えています」

今年1月、阪神・淡路大震災から20年を迎えた神戸を訪れ、復興公営住宅で暮らす方にお話を伺ってきたという飯塚さん。
「復興は終わりましたか?とお聞きしたとき、まだ終わっていない、復興道半ばだと大半の方がおっしゃっていたんです。阪神でこれなら東北は一体何年かかるのか…。5年、10年で終わるものではない。そのためには私たちの遺志を継いで次の担い手となる若い世代を育てていくことも大事だと思っています」

復興公営住宅に入ったら終わりではなく、入ってからが本当の復興の始まり。住まいが決まって終の棲家に入ってからが心の復興が始まるんです。阪神・淡路大震災では、復興公営住宅に入ってからの自死や孤独死が多かったと聞いています。それを東日本大震災では繰り返したくない。少しでもそういう方をなくしていきたい。本当の僕たちの取り組みはこれからです。これまでは後ろを振り向かずにがむしゃらに突っ走ってきましたが、今度は長距離を走るつもりで体制を作りあげていきたい」
と力強く締めてくださいました。

復興公営住宅に入ってからが本当の『心の復興』が始まる。
これからが正念場です。
飯塚さんの後ろに建つのはあすと長町第三復興公営住宅

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復興公営住宅に入って終わりではなく、これからが本番という飯塚さんの言葉。
他の復興公営住宅でも新たに自治会ができたり、町内会に入ったりといった動きもまだまだ多くはないと聞きます。
今後どう歩みを進めていくのか、ココロプレスでも引き続きお伝えしていきたいと思います。


(取材日 平成27年8月19日)