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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年7月10日金曜日

2015年7月10日金曜日10:46
石野葉穂香です。

今から7年前に起きた「岩手宮城内陸地震」。
もちろん記憶されている方は多いと思います。

2008(平成20)年6月15日、午前8時43分、岩手県一関市祭畤温泉付近の地下約8000m付近で発生した、マグニチュード7.2もの巨大地震です。

栗原市が進める「栗駒山麓ジオパーク構想」。
日本ジオパークネットワークへの加盟を目指して、
現在、多彩な活動を展開中です
最大震度は、栗原市と岩手県奥州市で観測した震度6強。
瞬間的には、奥州市石淵ダム付近で震度7を記録したとも伝えられています。

一関市祭畤温泉付近で観測された最大加速度(地面がどれだけ強く揺れたかを表す数値)は、
4022gal(ガル)で、これは、日本国内での観測史上最大値。また、世界最大の加速度としてギネスブックにも掲載されています。
ちなみに、東日本大震災では約2900ガルで震度7、阪神淡路大震災では約800ガルで震度7でした。

荒砥沢ダム湖畔の「藍染湖公園」からは
今も残る地滑りの跡が見晴らせます
マグニチュードと震度、最大加速度、被害などを一概にまとめて語ることはできませんが、岩手宮城内陸地震の揺れは、世界史に残されるほどの強さだったのです。

「岩手宮城内陸地震」から7年と5日目となる6月20日、栗駒山の山懐を訪ねてみました。

この日は、栗原市立志波姫小学校の6年生たちの「栗駒山麓ジオパーク構想 栗原の大地の動きを感じよう」という学年行事が行われました。

荒砥沢ダム(手前)と、岩手宮城内陸地震で大きく崩れてしまった山肌
この地震で崩落した場所は、市域全体で3500カ所にもなります
(写真提供:林野庁東北森林管理局)
「ジオパーク」のジオとは地球のこと。
地形や地質、植生や生態系などをよく見て、知って、人々の暮らしも含めた人と大地と生態系の関わりを学び考える場所(パーク)です。

崩落してしまった栗駒山の山肌も、地震・震災の経験や記憶を伝える貴重な「遺産」であり「地域資源」です。
子どもたちの防災教育にも役立てながら、地域にある温泉や森や山岳の魅力、食文化、農村風景といった観光資源とも結びつけ、市全体の活性化を目指そうというもの。

「栗駒山麓ジオパーク構想」についてはこちらの過去記事をご覧ください。

2014年3月17日(月曜日)
「復興と再生のジオパークを目指して」
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/03/blog-post_17.html

なお、栗原市は今年4月、「JGN(日本ジオパークネットワーク)」に対して加盟申請書類を提出。
5月には、JGN新規申請地域プレゼンテーションを実施しました。
今年9月には、その結果が出ます。

この日の行事も、JGN加盟を目指しての活動の一部。
地元の子どもたちに、地元・栗原の大地の成り立ちや地質や地形、ふるさとの風や土の匂い、魅力を知ってほしい、知るきっかけになってほしい・・・。
そんな思いも込められています。

ジオガイドの話を聞きながら、崩落跡を見学しました
授業は、荒砥沢ダムの湖畔にある藍染湖公園からスタート。
志波姫小学校6年1組と2組の子どもたちと親御さんたち約100名は、朝、志波姫小学校を出発後、ここに来るまでの車内で、同乗したジオガイドさんから「なぜ栗駒山は地震で崩れてしまったのか?」「地滑りとは何か」そして「ジオパークとは?」といった事柄についての説明を受けました。

そして湖畔公園では、栗原市ジオパーク推進室のスタッフが用意した実験装置を使って、地滑りが起きる様子や火山が噴火したときの溶岩の流れ方などを学びました。

「地滑りシミュレーション・ユレオ」を使って地滑り現象を勉強。
栗原市ジオパーク推進室のスタッフ手作りの実験装置です

ある清涼系キャンディをコーラに入れると中身が噴き出します。
その現象を利用した火山噴火実験で、土砂の流れを再現
また、山麓にある岩を砕いて化石を探す体験も。
この荒砥沢ダムがある一帯は、大昔は、巨大なカルデラ湖の底だったところだそうです。
今でも木の葉や木の枝、昆虫などの化石が見つかるのだとか。

現地周辺の岩をハンマーで割って、化石を探す化石発掘体験
この日見つけたものではありませんが、
このように木の葉がくっきりと浮かぶ化石が発見されることもあります
それにしても、この山並みが、かつては湖底だったということに驚きです。
どれほど大きな湖がここにあったの? 大人も子どもも想像力が刺激されます。

次に、「冷沢(ひやしざわ)崩落地」に移動。
ここは、車道ごと大地が崩れ落ち、尾根上で軽トラックが横転し、間一髪のところで転落を免れた場所でもあります。

周囲を見渡せば、まるで天から振り下ろされた巨大なスコップでえぐられたような土色の山肌が、今も広大な面積で残されています。

冷沢崩落地。トラックが亀裂にはまって横転した、まさにその場所です

土色の大地。この時期だけは夏草に覆われます
最後は「行者滝」を訪ねました。
高さは約30m。山懐の大きな森がはき出す水は、年中枯れることがありません。
かつての山岳信仰の時代、行者(山伏)や参拝者はこの滝で身を清め、栗駒山の「御室」にある駒形根神社(駒の神)奥院に詣でたそうです。

水は、硬い溶岩や岩の上を滑り落ちていきます。
でも、滝は1年間に1㎜ほど後退しているのだとか。
1000年で1m、滝ができたとされる4万年前から数えると、約40mも後退しています。

行者滝。二迫川となって山を下り、やがて迫川に合流し、
旧豊里町付近で北上川と出合います
ジオガイドさんのそんな説明を聞きながら、子どもたちは、この広大な大自然の中で何を感じたのでしょう?

「自分たちの住むまちにこんな場所があるなんて知らなかった」
「自然がすごく大きいと思った。もっといろんな場所へも行ってみたいと思いました」
「頂上にも行ってみたいな」
「あ、あたし行ったことあるよ、お父さんと。すごく景色がよかった」
「学校行事じゃなくてもまた来てみたいな」
「うん、楽しかった」

ジオガイドの藤村哲雄さんにもお話しを伺いました。
「まず子どもたちにジオパークというものを知ってほしいです。そして普通の観光とは違う視点も交えて、自然の中を歩く楽しさや奥の深さを知ってもらえたら。
7年前の岩手宮城内陸地震は、何万年も続く地球の歴史では、ほんの一瞬のこと。そんな時間やスケールの大きさを教えてあげたい。それはガイドとしての楽しみでもあります」

ジオガイドの藤村哲雄さん。
元国立一関高専の先生でもあります
栗原市ジオパーク推進室の室長補佐兼係長の佐藤操さんは
「地震はいつどこで起きるか分からない。被災した場所を見て、自分の身は自分で守るんだという自己リスク管理にも結びつけてほしい。また、内陸地震や大震災で頂いた支援に対しての感謝を忘れないで、今度は私たちが恩返しをしていく番。そのためにも、栗原の人や大自然の懐の深さを、まずは子どもたちに知ってもらいたいですね」

地震から7年。

道路や崩落地の復旧工事はほぼ終了しました。
でも、福島第一原子力発電所の事故によって拡散した放射能汚染の風評被害が、栗原市で観光業や農業に携わる人たちを、今も苦しめています。


土石流に宿舎が呑み込まれて
7人の方が亡くなった駒ノ湯温泉。
宿舎があった跡地を見下ろす樹林の中に
慰霊碑が建てられています

栗原市では観光業の復興にも力を入れています。
写真は、栗原市の新しい名物「いわな丼」
耕英地区の5軒のお店が、それぞれのアレンジで
おいしい丼を提供しています。
こちらは「数又養魚場」の蒲焼きバージョンです
東日本大震災の記憶さえ風化しつつある・・・と、言われている昨今。
まして岩手宮城内陸地震の記憶は、東日本大震災の発生によって上書きされてしまった感もあり、発信されるニュースも少なくなっています。

世界谷地原生花園のニッコウキスゲ
6月20日に訪ねたときは、もう花の盛りは過ぎていました。
このあとはタテヤマリンドウ、キンコウカ、コケモモ、ミツガシワ、
ミズギク、イワショウブ、エゾオヤマリンドウなどが
夏の高原を彩ります

登山コースの入り口「いわかがみ平」。
駐車場にはまだ雪が残っていました。
ここから山頂へは、初心者向けの「中央コース」で1時間30分。
健脚向けの「東栗駒コース」で2時間ちょっとです。
 
もうすぐ夏山シーズン。

地球の大きさ、大自然の豊かさ、宮城の大地の懐深さを感じたい・・・と思い、
今夏、私も栗駒山へ登ってみるつもりです。

またレポートしたいと思います。

(取材日 平成27年6月20日)