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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年6月24日水曜日

2015年6月24日水曜日8:00
石野葉穂香です。

被災地では、職場を失った方への応援、あるいは新たな雇用創出の機会として、地元の方々の趣味や技術を生かした手づくり品の作製支援や販売のサポートなどが続けられています。

木工品、金属工芸品、縫製品、編み物・・・。
いずれも地元のお母さんたちの手業が光る逸品ばかり。
ショップで一目惚れして衝動買いし、新作をリピートするファンもいらっしゃいます。
ブランドバリューはありませんが、素朴で愛らしい品々ばかり。
そこに込められたお母さんたちの心が、私たちの心もほっと温めてくれます。

さらにクオリティの高い本格的な高級商品づくりに挑戦している皆さんもいます。

南三陸町のお母さんたちが主にイタリア製のテキスタイル(布地)を使って作る、高品質で本格的なチャーム(小物)「ミナ・タン チャーム(MINA-TAN CHARM)」が、それです。

志津川湾を背景にミナ・タン チャームの動物たちに集まってもらいました
ミナ・タン チャームは、ファッションデザイナーの芦田多恵さんが、「株式会社ジュン アシダ」による継続的な被災地復興支援を目的として発足させた高品質な小物製作プロジェクト。

芦田さんは、2013年、被災地へのミシン提供や手仕事活動を続けていたボランティア団体「MSRスマイルプロジェクト」を通じて、南三陸町のお母さんたちに声を掛けます。

そして、世界を舞台に活躍される芦田多恵さんと、南三陸町のお母さんたちがコラボ。
世界に発信できる高品質な作品を作り続けているのです。

6月1日、南三陸町「ホテル観洋」で行われたワークショップ。
新しいキャラクターを作るためのレクチャーです
チャームの意味は幅広く、お守りという意味もあります。
でも、ここでいうチャームは、バッグなどに付けるマスコット付きキーホルダーのこと。
高校生の女の子たちが通学バッグにぶら下げている小さなぬいぐるみなどもチャームです。

でも、ミナ・タン チャームは、大人も使えるチャーム。
ジュン アシダ社の服に使われるカシミアやアルパカといったイタリア製の高品質な布の端切れや、ボタンや金属類も高級なパーツを使用。ディテールまで丁寧に作り込まれたハイクオリティでラグジュアリーなチャームなのです。

モチーフは、かわいらしい動物たち。
完成品は、アシダブランドの技術者たちの厳しいチェックを経て、東京代官山、銀座、大阪御堂筋、パリなどにある芦田さんの直営店のほか、三越や伊勢丹をはじめとする全国有名百貨店の、主にポップアップショップ(常設ではなく期間限定の店)などで販売されています。

キュートなデザイン、ハイクオリティな質感、細やかで確かな縫製。
チャームとして、あるいは置物としても人気です。
ちなみにお値段は1万2000円~1万8000円ほど。
「まずできることから被災地を支援しよう」
芦田さんは震災直後、チャリティTシャツを製作し、売り上げを義援金として寄付しました。
「その後、私たちにできることで、ずっと被災地を応援し続けられる長期的な支援はなんだろう?  と考え続けていました」(芦田さん)

芦田さんは、ファッションデザイナーというご自身のお仕事とフィールドから、息の長い支援の方法を考えます。
でも、点のようなアイデアは浮かんでも、なかなか一つに繋がらない・・・。

ところが、初めての顔合わせで南三陸町訪問となる日の前夜のこと。
「それは突然でした。南三陸の人たちとチャームを作ろう! っていうアイデアが降ってきたのです(笑)。それまでの点々が、1本の線となって、すうっと結ばれていったんです」(芦田さん)

「布地にも順目、逆目があります」「綿を詰めすぎないように」「気持ち内側をカットして」
プロの指導を受けるお母さんたちの目は真剣そのもの。
「大切なのは、手作りだから表現できる、心のこもった商品を作ること」と芦田多恵さん(後方)
芦田さんは、早速、チャームづくりのためのプロジェクト「Support Tohoku Eternal Project」を立ち上げて、2013年7月、南三陸町で、ミナ・タン・チャームの制作を始めました。
最初の作品は「キリン」。デザインはもちろん芦田さん。
南三陸町でワークショップを開催し、芦田さんと、縫製のプロであるジュン アシダの技術者の皆さんが、町のお母さんたちに作り方をレクチャーしました。

「初めてでしたし、クオリティを求めたこともあって、皆さん、だいぶ苦戦してましたね。それでも、すごくがんばってくださって、半年でデビューできました」(芦田さん)

お母さんたちのデビュー作品となったキリン
これまでに、キリン、イヌ、ネコ、ライオン、ウマ、ヒツジ、ペガサス、クマの8種類が作られてきました。
製作個数は3000個を超え、販売個数は2560個以上にもなります。
そして、売上金の中から販売経費を除いた金額が、お母さんたちへ、ギャラ(工賃)として支払われます。

今月、6月2日には、第8回目のワークショップが「ホテル観洋」で開かれ、第9作目となる「モンキー」の作製レクチャーが行われました。
モンキーは来年の干支にちなむもの。

ミシンに向かっていると余計なことを考えなくてすみます。
昔から縫い物は大好き。集中できるし、楽しい。
いい仕事に出合えてうれしいです」
(梅澤松子さん)
細かいパーツの一つ一つに型紙があります
やり直しのできない工程がほとんど。
技術力と集中力が求められます
芦田さんは、
「チャリティではなく、お仕事です。私たちも、これをしっかり販売していきたい。売れるものでなければいけません。
お母さんたちが、ひと針、ひと針、心を込めて作っています。心を込める・・・。それはもの作りの原点。
ミナ・タン チャームがスタートした2013年は、くしくも『ジュン アシダ』のメゾン設立50周年でした。その年に、私たちの原点に立ち返れる出会いがあったことがすごくうれしく、幸せです」

ジュン アシダの商品企画部の千田瑞枝さんは
「チャームを作ってくださっているのは、私たちが『ミナタンのお母さん』と呼ぶ、延べ20名の皆さん。プロジェクトを進める仲間として、ずっと一緒に継続していきたい」と話しました。

「技術は手に残るもの。工賃をお支払いするという支援だけでなく、技も、そしてモノをつくる楽しさも共有できたらって思います」(千田さん)

お母さんたちが使うミシンは
「MSRスマイルプロジェクト」から送られたものもあります
「ミナ・タン」の名前は由来は・・・
「MINA」は、南三陸町のMINA、
「TAN」は、芦田多恵さんのイニシャルのTA、『TAE ASHIDA』ブランドのTA。
そして、千利休の孫、宗旦(そうたん)のTANです。

京都・正安寺の住職が、ある日、庭に咲いた白玉椿を宗旦に届けようと、小僧に持たせます。
でも、小僧は途中で転んでしまい、椿の花びらは散ってしまいました。

小僧は花びらを拾い集め、泣きそうになりながらも宗旦に届けました。
宗旦は小僧をねぎらったあと、花が散った椿の枝を床の間に活け、花びらをまき散らします。

花はなくても青々とした葉色を照らす椿の枝、そして散ってなお瑞々しい花の色・・・。
宗旦は、花を失った枝を、散り落ちた花びらを生かし、茶室を生かしました。
そして住職の心、小僧の真心、さらに自らの茶の道を生かしたのです。

美しかったものがあるとき価値を失っても、真心を吹き込むことで、再び輝きを取り戻すことがある。美しく甦らせ、関わるすべてのものを生かすことができる・・・。
「TAN」は、この宗旦の逸話に由来します。

ハート型の「M」。そしてハートに包まれて微笑むような「T」の文字。
「Our hearts are always together」・・・なんて読んでしまいそう・・・
ひと針に、心を込めて、作る。
手になる仕事という、もの作りの原初の哲理を踏みながら、端切れになってしまった・・・とはいえ、織職人が心を込めて織った布に、もう一度、新しい価値と輝きを与えます。

誰かが喜んでくれるなら。
幸せな気持ちになってくれるなら・・・。

芦田さんを中心に記念撮影。
「心をこめて 芦田多恵」
チャームには、もうひとつ「魅力」という意味もあります。

人の魅力は何よりも真心。そして心からあふれるような笑顔。

つくる人、持つ人、誰をもきっと笑顔にしてくれる、ステキなチャームです。

「ミナ・タン チャーム」公式サイト
http://mina-tan.com/

「MSR smile project」
http://minamisanriku311.hariko.com/


(取材日 平成27年6月2日)