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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年5月5日火曜日

2015年5月5日火曜日8:01
こんにちは、Chocoです。
ゴールデンウィーク真っ只中の5月3日、
石巻市十三浜の大室小室漁業共同作業場で、大室南部神楽保存会主催の「第2回きたかみ春まつり」が開催されました。
会場となった十三浜大室は、石巻の中心街から車で約1時間、石巻市北上町十三浜の中の1つの浜です。
十三浜は、名の通り13の浜の総称です。
(相川浜、追波浜、小滝浜、小泊浜、大指浜、小指浜、
白浜、立神浜、月浜、長塩屋浜、大室浜、小室浜、吉浜)
地元の大室南部神楽や白浜獅子舞、雄勝町の伊達の黒船太鼓、女川法印神楽、栗原市の中野神楽、岩手県一関市の下大籠神楽の演舞や、地元大室出身の演歌歌手 辰巳幸次郎さんや世界各地の被災地で支援を行っているチンドン楽団のソウル・フラワー・モノノケ・サミットのパフォーマンスもありました。
昨年の春まつりで再開した白浜獅子舞は、勢いのある獅子が会場を回り悪魔祓いをしました。
獅子に頭を噛んでもらうとその年は風邪をひかない、頭が良くなる、と言われています
中野神楽(栗原市)
大室南部神楽(十三浜)
伊達の黒船太鼓保存会(雄勝町)

舞台の外では、十三浜の浜の味や東京から駆けつけた生活クラブの露店などが並び、おいしい海の幸やつきたてのお餅などを食べることができ、丸一日楽しめる盛りだくさんなイベントでした。
露店もとてもにぎわっていました。

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午前9時半。
霧がかかり神秘的な中、「第2回きたかみ春まつり」が始まりました。

神楽幕が飾られた真新しい舞台は、日本財団と生活クラブ(東京)等からの援助で作られた移動式舞台です。
今回のまつりが、こけら落としとなりました。
舞台のお清めが終わり、第2回目となる「きたかみ春まつり」を開催しての想いを大室南部神楽保存会の佐藤利喜夫会長があいさつをしました。
「震災以来、地域の人々は散り散りになり暮らしております。
この催し物で、地域に帰ってくるきっかけになればという想いもあって、第2回目を開催いたしました。
神楽の後継者の子供たちも8人に増え、今回も3演目を披露してくれます。
『今日はここに来てよかった』と思える、楽しい1日であることを願っています」

佐藤会長が願った通り、会場は地元の美しい伝統芸能を堪能した人々の笑顔であふれていました。
中でも子どもたちの演目は、会場をパッと明るくしてくれました。
下は小学1年生から上は中学3年生までの8名が演舞しました。
舞台袖で静かに見守っていた保存会の方たちも、
子どもたちが堂々と舞う姿に感動していた様子でした
小学校高学年から中学生の女性4人の演舞は、
しなやかでとてもきれいでした

子どもの演目の時は、投げ銭の飛ぶ回数がドッと多くなっていました
神楽の若い後継人8名の子どもたちと最後の演目で一緒に演舞したのは、
北上町に魅了され神奈川から移住したという
杉原たかし(通称:マイケル)さん。
今回が初舞台です
観客の皆さんは温かな眼差しで子どもたちの晴れ舞台を見守っていました。
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「練習は30回くらいしました。家でもしていた・・・」
と語るのは、子どもたちの先陣を切って独り舞台に立った小学2年生の佐藤ゆうへいくんです。
立派な演舞を見せてくれたゆうへいくんと、
影で見守っていたゆうへいくんのお母さん
ゆうへいくんが演じた役(翁)は、大室南部神楽保存会史上最年少だったそうです。
長いセリフの祝詞をあげ、見事な舞を見せてくれました。
最後の見せ場、全身をのけぞらせる「車扇」を披露
「楽しかったです。これからも続けたい!」
と笑顔で話してくれました。
100年以上伝承されてきた大室南部神楽は、各々の漁が忙しくなり活動が途絶えてしまいましたが、それから15年後の2013年5月4日に復活することができました。
伝統芸能の継承と、震災で散り散りになった地元の人たちが集える機会をつくるためにと再び人々が動き、大室南部神楽は再び息を吹き返したのです。

ゆうへいくんは、去年の春まつりでお父さんや地元の人たちが演舞する神楽を観て、自分もやりたいと思ったそうです。
「お母さんは神楽やってないから、明日からお母さんも始めてね」
ゆうへいくんは、お母さんにも神楽を勧めていました。

伝統芸能を継承することで、普段離れて住んでいる地元の仲間のつながりや地元愛が深く強いものになります。
今回演舞した子どもたちが練習に磨きをかけ、来年この時期にまた披露してくれます。
そして、他の地域の神楽や太鼓、獅子舞なども見ることができるでしょう。

地元の誇りを見ることができるのもまた、郷土芸能の深い魅力です。
演舞する人も来場者もそれぞれが持つ地元愛が集まる「きたかみ春まつり」
来年の「第三回」が楽しみです!!


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大室南部神楽保存会
http://www3.hp-ez.com/hp/omurokagura/page1
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会場の受付場には、ネパール大地震緊急支援募金箱が置かれ、
アナウンスでも募金について話がありました。
石巻の大室に集まった人たちもネパール大地震で被災した人たちのことを想っています。

(取材日  平成27年5月3日)