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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年5月8日金曜日

2015年5月8日金曜日6:22
石野葉穂香です。

4月20日~26日の1週間、大崎市岩出山にある「旧有備館」で、震災からの復旧工事終了に併せて、内覧会が行われました。

復旧工事が完了した旧有備館の主屋。
再び時を刻みはじめました
「旧有備館」は、延宝5年(1677)年頃、岩出山伊達家の二代・宗敏公(政宗公の四男である泰宗公の長男)の隠居所として建てられたと言われている木造平屋建て寄棟茅葺の建物です。

その後は下屋敷や隠居所として使われたほか、岩出山伊達家の家臣や子弟たちの学問所ともなりました。

主屋を取り囲む庭園の美しさも有名です。
岩出山城の断崖を借景にした池が広がり、池には4つの島が配されていて、四方を囲む老杉、老松、竹林などの緑陰の下、四季の花々の可憐な光が風を誘っています。
昭和8年(1933)には、「旧有備館及び庭園」として国の史跡・名勝に指定され、また昭和45年(1970)には、岩出山伊達家から旧岩出山町に移管されて一般公開されてきました。

竹林を手前に、奥には岩出山城の断崖
ところが、平成20年(2008)6月14日、岩手県内陸南部を震源とするマグニチュード7.4もの巨大な地震――「岩手宮城内陸地震」が発生し、旧岩出山町を含む大崎市では震度6弱という強い揺れに襲われたのでした。

この地震で、旧有備館の主屋と附属屋は、柱が割れたり、壁面に亀裂が生じるなどの被害を受け、建物への入館はできなくなりました。
大崎市では、保存整備事業を、平成23年(2011)4月から実施する予定でした。

しかし、その直前の3月11日、今度はマグニチュード9.0という「東日本大震災」が発生。震度6強という強震は、主屋を倒壊させ、附属屋や伝廊下は建物が歪み、壁も崩落。
さらに庭園も、護岸の沈下、園路の地割れといった甚大な被害を受けたのでした。

露骨な言い方ですが・・・主屋は、茅葺き屋根に押しつぶされて「ぺしゃんこ」になってしまいました。
「あの旧有備館も・・・やられてしまったの?」
映像を見て、ショックを受けた人も多かったと思います。

大崎市では新たな災害復旧事業を計画し、震災から9カ月後の12月から主屋の解体、附属屋および伝廊下の半解体、庭園の復旧工事を行ってきました。

復旧工事の経過をパネルで紹介していました
そして今年3月、主屋、附属屋、伝廊下の復旧工事が完了。4月20日からの内覧会開催となったのでした。

「完成の日を、首を長くして待っていました。そして、待っていた甲斐がある出来映えです。このあと、今年度事業として、正門の復旧工事や、常設展示の準備などを経て、平成28年春以降に再び一般公開される予定です。本格的な公開は一年ほど先になりそうですが、多くの人に見ていただきたいと思います」
と話してくださったのは、管理人の佐々木広行さん。

管理人の佐々木広行さん。
「75%もの古材を使いつつ、きれいに復旧され、感無量です」
「復興へ向かう宮城の、そして東北中の人たちの、励みになれたらうれしいですね」

工事の概略は以下の通り。

主屋、附属屋、伝廊下は、建造物として文化財指定は受けていませんが、旧有備館の景観においてなくてはならない建物です。

市は、倒壊前の姿をよみがえらせるために、折れてしまったり欠損してしまった部材を埋木や継木などで繕い、構造上支障のない範囲でかつての部材を再利用しました。

左側の梁は古材、右側は新規材
欄間は補修のうえ、一部は再利用














「そうして再利用できた古材の割合は75%にもなります。館内を見ると、古材と新規部材が隣り合っていたりするところも見られます」(佐々木さん)

さらに耐震補強工事も施され、来館者の目に触れない箇所には鉄筋コンクリートの布基礎や鉄筋フレームも設置されました。
普段、公開されない部屋には、耐震補強のための鉄骨フレームを見ることもできました。

書院の窓から見た池
主屋の真ん中を支える鉄骨フレーム













「今度はお客様がいらっしゃる時に、東日本大震災と同程度の震度6強の揺れが来ても倒壊することはありません」(佐々木さん)

屋根は倒壊前と同様の茅葺きですが、以前使っていた山茅ではなく、石巻市河北町の北上川の葦を使いました。
葺きたての屋根は、春の日射しの中、金色に輝いて、青空の中に眩しく光っています。
池の対岸から見ると、京都の金閣(鹿苑寺の舎利殿)を思わせるような風格と美しさ・・・。

茅葺き屋根が光って見えます
さて。
内覧会は行われましたが、内部の一般公開は、またしばらくお休みとなります。
先にも書いたとおり、再び一般公開が開始されるのは平成28年春以降です。

「でも、庭園は公開しております。建物には入れませんが、建物がきれいによみがえった旧有備館の佇まいは無料公開でご覧いただけます。
『伊達な小京都・岩出山』のシンボルとなる建物と庭園です。かつての江戸時代の時間を感じていただけたらと思います」(佐々木さん)

庭園の四季彩を楽しみにお出掛けください
季節は、これから新緑から深緑へと向かいます。
明るい緑とたくさんの草花が、夏雲の影を待ちわびて、きらきら輝いています。
雨降る庭園の詩情もステキです。
セミの声に包まれる夏、綾錦が彩る秋、新雪と蒼空の光が凛と冷たく美しい冬・・・。

宮城が誇る「廻遊式池泉庭園」の四季を訪ねてみてください。

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■旧有備館及び庭園

所在地 宮城県大崎市岩出山字上川原町6
開園時間 9:00~16:00(最終入園15:30)
休業日 年末年始(工事に伴う臨時休館あり)

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(取材日 平成27年4月23日)