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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年5月21日木曜日

2015年5月21日木曜日15:30
石野葉穂香です。

5月9日、仙台市青葉区の、仙台シルバーセンター交流ホールで、『負けたらあかんで がんばろう ~第一回仮設住宅住民交流会』が開催されました。

オープニングは高橋樺子さんの『がんばれ援歌』
仙台市内の8つの仮設住宅団地の方々と、仮設住宅を出て新しい住居に移った方々が、いわば「同窓会」的に集まって、歌や踊りを楽しみながら、これまでの苦労を分かち合い、これからも続く絆を確かめ合おうというものです。

会を主催したのは大阪のNPO法人アジアフレンドシップウェイブ。東日本大震災発生直後から『相身互い』をキーワードに復興支援に取り組んでいます。
これは阪神大震災の折り、遠隔に地から差し伸べられた支援に対しての返礼が動機。今回の催しは仮設住宅から転居していった被災者の孤立を防ぐための取り組みの一つです。

仙台でも、仮設住宅の住民たちの応援支援を続け、大阪を拠点に活動を続ける歌手の高橋樺子(はなこ)さんの仮設訪問やコンサートなどを、もう30回近く開催してきました。

樺子さん、愛称「カバ(樺)ちゃん」は、作詞家の荒木とよひさ先生、もず唱平先生、作曲家の岡千秋先生と三上敏先生の4人が、東日本大震災復興応援ソングとしてひと晩で作詞作曲した『がんばれ援歌』で、2011年6月にデビュー。
今では訪問先の仮設住宅に横断幕が掲げられるなど、すっかり仮設住宅の皆さんのアイドルに。

樺子さんのデビュー曲。
そして仮設住宅の皆さんにとっては「校歌」のような歌です。
作詞・作曲された4人の先生の印税は
すべて東日本大震災被災者支援のための義援金になります
「カバちゃんは娘のようなもの」
「仮設ごとにファンクラブがあんだよ」
「カバちゃんが仙台サ〝帰って〟来るのが楽しみ」

別名〝仮設の歌姫〟。
皆に愛され、かわいがられています。

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平成27年4月30日現在、宮城県下にある仮設住宅は2万1761戸。
そのうち、入居戸数は1万5128戸で、入居者数は3万2814人。
入居率は69.5%です。

震災から4年2カ月。新たに家を購入したり、建て直したり、あるいは災害公営住宅に入居するなどして、仮設住宅を出て行く方も増えています。
遅れ気味だった公営住宅の整備も進み、これからは、仮設住宅を〝卒業〟する方は、ますます増えていくでしょう。

そこで心配なのが「コミュニティ」という問題。

震災と津波は、地域コミュニティを根こそぎにし、さらに避難所で、二次避難所で、仮設住宅団地で・・・。コミュニティは何度もつくられ、壊されてきました。
結ばれては引きちぎられる人間関係。しかも自らの意志によらずに。

でも、多くの方が多くのものを失いながらも、それまで知らなかった同士が出会い、集まり、互いに助け合い、励まし合い、一緒に泣いたり笑ったりしながら、お互いさま、おかげさまという人の温かさや絆の確かさ、うれしさを知りました。
大切な4年間だった・・・と思う方も多いはず。

この人間関係を、これからも生きていく中で大切にしたい、まだまだ励まし合っていきたい。
4年間の「絆」を、ずっとずっと、これからも繋ぎ続けていきたい。

「そんな『絆』を確かめ合おう!」
仮設住宅住民交流会は、4年間で結ばれた絆をこれからも大切にしていくための「同窓会」なのです。

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アジアフレンドシップウェイブの理事長で、作詞家のもず唱平先生にお話を伺いました。

もず先生は大阪のご出身。八代亜紀、五木ひろし、川中美幸といった方々に詞を提供してきました。代表作は、1973年度レコード大賞ロングセラー賞受賞作品『花街の母』(唄/金田たつえ)など。
大衆音楽の活性化についてずっと取り組み、大阪芸術大学では教授として大衆音楽概論、音楽著作権についての講義を持っていたこともあります。

もず唱平先生
「4年もの長きにわたると、仮設住宅が〝ふるさと〟だと感じる子どもたちだっているはず。仮の暮らしとはいえ、皆が寄り添い、支え合い助け合って生きてきました。これらの思いは大事にしなければいけません。
今日は、これからも続いていってほしい交流機会づくりの第一歩。キッカケとなってもらえたらと思います」

第1部では、市域8つの仮設住宅団地の代表の方々が、それぞれの思いを語りながら樺子さんとトークを繰り広げました。

仮設住宅の代表の皆さんとのトークショー。
スライドにカバちゃんが仮設住宅で朝ご飯をいただいている写真が映し出されたると場内からは笑い声と拍手。
カバちゃんは1度宮城に来ると、2週間ぐらい滞在することもあるとか。
「仮設住宅に泊めさせていただいたり、朝ご飯をごちそうになったこともあります(笑)」
第2部は「復興支援カラオケ道場」。
仮設住宅の、のど自慢9人が舞台に立って歌い、その歌を、音楽評論家で日本レコード大賞の審査委員長も務めた小西良太郎先生、作曲家の三山敏先生、そしてもず先生という、日本音楽界の重鎮3人が審査する、贅沢で、ちょっとコワいステージです。

「言うことおまへん。あんたプロや」
「リハのときはただのおばちゃんや思うてたけど、衣装替えたら歌声まで別人やん」
「あと50歳も若かったらデビューできたかもしれへんナ」
「カラオケのお店に相当〝月謝〟を払っておられるんでしょうナぁ」といった講評に、場内は大爆笑でした。
「キーの設定を半音あげたら、低いところの不透明なところがクリアになります。
ちょっと上が苦しくなるけれど、絶対よくなる」
「歌詞を忘れたらもう1回、一番を歌う。それがプロですわ」といった実践的(?)な
アドバイスもいただきました

『乱れ髪』を歌い「審査員感動賞」を受賞された折立地区仮設住宅の我妻はつゑさん。
「お人柄とか、この頃の暮らし向きとか、ご苦労のあとがどう歌に出てるのかとか
歌っていうのは歌う人のいろんなところが出てる。今日はそこを審査しました。
甲乙付けがたかったけれど、我妻さんの歌声は仮設のおっかさんの代表」
と小西先生(右)
第3部はアトラクション。仮設住宅の皆さんがコーラスやダンスを披露。
大阪から駆けつけた府日本民踊協会・加盟団体の皆さんも「西馬音内盆踊り」を踊ってくださいました。

きゃりーぱみゅぱみゅの『つけまつける』に合わせてダンス

笑いと感動がいっぱいのステージの連続。会場は大盛り上がりでした
そして「高橋樺子オン・ステージ」。
戦後70年となる今年、樺子さんの音楽世界のテーマである「平和」を願う新曲『母さん生きて』が披露されたほか、『ドリナの橋』『サラエボの薔薇』『向こう岸』など7曲を熱唱。
最後はステージも会場も一緒になって『がんばれ援歌』の大合唱で大団円となりました。

仮設住宅の皆さんにいつも元気を届けてくださいます
「一緒にがんばろー!」
この日の司会は、文化放送『走れ!歌謡曲』(午前3時~5時)の
水曜日担当パーソナリティ・小池可奈さんでした

最後はもう一度『がんばれ援歌』
その後はシルバーセンター7階研修室に会場を移し、大阪のお菓子やお土産を争奪するビンゴ大会も開催され、約300人の来場者は最後まで楽しい時間を共有したのでした。

カバちゃんにもお話を伺いました。
「今回で29回目の訪問となりました。帰ってきたという気持ちですし、皆さんも温かく迎えてくださる。皆さんとの絆を、もっともっと広げていけたらって思いました。
初めて来た頃は、目を合わせていただけなかったこともありましたが、今では話し掛けていただけるし、ご自身のことを話される方もたくさんいます。来たときは『お帰り~』、帰るときは『行ってらっしゃい』(笑)。
私は和歌山生まれですが、和歌山へ帰るよりも宮城に来ることの方が多いです。もう、第二のふるさと。たくさんの方とステキな縁(えにし)が出来ています。もう家族です(泣笑)。大切にしてきたい」

みんなで歌う。ひとつになれる。
歌が繋いでくれるチカラは大きい
もず先生からもコメントをいただきました。
「僕は今日、大阪から来ましたが、絆というコンセプトは〝オールニッポン〟やなぁということを再確認しました。応援支援にはさまざまな立場がありますが、収斂すると、やっぱり人と人の絆が原資やなと。その原資が仙台に生きとるということが確認できたので、これからその絆がもっと太くなるように、お互いにがんばりたいなあ、がんばり甲斐があるなあと感じられました」

――今日はキッカケとおっしゃってましたね。
「これからは地元の方々で企画して、絆を結び合って、自己完結型で進めて行かれるのんが望ましいかなとは思います。でも、関わらせていただいている他郷の我々も応援していきたいし、お互い同じ立場やないか、と思ってます。」

――関西は20年前に阪神淡路大震災を経験した。そして東北は東日本大震災・・・。
「人間社会の繋がりは時空の問題やないと思います。心の波動ゆうのんは時空を超えるもんなんです。ネパールの地震もそう。地球規模で人々が感じ合わなあかん。
情報を共有するだけやなくて、痛みも喜びも共有することが『絆』の原点かなぁと。それを確かめられたということで、今日はとても豊かな気分です」

樺子さん、もず唱平先生、ありがとうございました
感じ合い、確かめ合い、お互いに元気を分かち合う。

そして歌のチカラ。
歌は、誰もが同じ言葉、同じ気持ちを共有できるもの。だから歌った瞬間に、すぐ一つになれるし、大きな力をつくり出すことができる。

そんなこともあらためて感じられた取材でした。

(取材日/平成27年5月9日)