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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年5月6日水曜日

2015年5月6日水曜日8:00
こんにちは。kaiiです。
東日本大震災から8カ月後の平成23年11月に初めて南三陸町へ行った時の衝撃は今も忘れることができません。
震災から1500日。町は大きく変化しています。
町内に自生するツバキを軸にしたまちづくり「南三陸椿ものがたり」の活動を続ける工藤真弓さんに、震災から1500日を振り返って感じていることを伺いました。


南三陸町に自生するツバキの花


質問1)東日本大震災が発生してから1500日がたちました。南三陸町や登米市の仮設で感じてきたことはどんなことですか。

狭い仮設住宅で暮らすというマイナスイメージの報道が多い中、長屋式の仮設住宅の様式が、昔ながらの「つながり」や「助け合い」を生みだしているという、もうひとつの側面を多くの仮設住宅で感じます。
ご飯やお惣菜をお福分けしたり、菜園の野菜の出来を楽しみに仮設内を散歩したり。その風景には震災前の暮らしの片鱗が垣間見えます。
阪神・淡路大震災を経験した方に「仮設住宅とはいえ、今を生きる町である」と教わっていましたが、その通りだと思います。
仮設住宅での生活は、いままでの暮らしを見直す機会にもなりました。
「暮らしの原点」に立ち返る意味で、仮設住宅での生活は、私たちに、たくさんの「気づき」を与えています。

質問2)1500日を経て変化したと感じることはどんなことですか。

1.行政と住民の対話の質に変化を感じます。

この1500日の積み重ねのなかで、震災以前には構築されていなかった官民の連携がようやく軌道に乗り始めているように思います。
震災前のリーディング・プロジェクトであった、「協働のまちづくり」が、実現に向かう機運が高まっています。

*リーディング・プロジェクト=事業全体を進める上で核となり,先導的な役割を果たすプロジェクトのこと

2.町並みの変化を感じます。

歴史的なラインが消え、新しい町並みのラインに戸惑う住民も多いようです。

3.自分自身の果たすべき役割の明確化

震災後、自分自身の果たす役割について考え行動しています。
前記のように、復興の過程で消えてしまう可能性のある南三陸町の歴史や文化の香りを、「未来への橋掛かり」として後世に残す活動をすることです。
震災後1500日間の活動を通じて、たくさんの人たちと意見交換しました。
活動する中で、「なつかしい未来」をつくらなければならないという自覚にたどりつきました。

質問3)工藤さんが取り組む「南三陸椿ものがたり」について教えてください。

南三陸町に住む高齢の女性の一言をきっかけに、平成25年から活動を始めました。
「塩害に強いツバキをまんなかに置いた、種から始める、ものがたり復興」です。
大津波にも負けなかったツバキの根の強さに生き方をならおうというものです。


「小さなタネをゆっくりゆっくり育てています」
南三陸椿ものがたり復興
工藤真弓さん

「南三陸椿ものがたり」は、ツバキの避難路をつくることを大きな目標を軸にしています。
防災教育、地域おこし、防災観光、生涯学習などの切り口で、南三陸町に昔から自生している「ツバキ」でできそうな「まちづくり」をしています。
まず、構想を紙に描き、季節に合わせて、ツバキのお茶会、ツバキの種拾い、紙芝居、ポット苗つくり、テーマ曲、グッズ販売、ツバキのお花見バスツアー、ツバキ油の活用などに取り組んでいます。

ツバキのバスツアーの様子
写真提供:工藤真弓さん


折々に、町内外の子どもから高齢者までが参加しています。

「ものがたり復興」は、1ページ1ページ、物語を実現していく中で、活動に関わった人が登場人物になれるのが楽しいところです。
活動開始から3年目の今年の春には、2年分の絵巻物が完成しました。

「南三陸椿ものがたり」の事業主体は、「一般社団法人復興みなさん会」です。
助成金を活用して活動を継続しています。

質問4)南三陸椿物語の展望を教えてください。

ツバキの避難路をつくるためのツバキの苗木代を捻出するために、「椿の切り絵はがき」「椿のブローチ5色」「椿油(限定)」を販売しています。


仮設住宅に住む女性たちの手作りの「椿のブローチ」
500円で販売されています。
外国人観光客にも人気です
写真提供:工藤真弓さん

ツバキのはがきとブローチは、南三陸町外に暮らしている40代から70代の女性10人が集会所に毎週1、2回集まって製作しています。


ツバキの苗木代を捻出するため
「椿の切り絵はがき」(4種類4色)を120円で販売されています
写真提供:工藤真弓さん


今後は、20代30代の女性にも、ツバキグッズの製作を通じて「南三陸椿ものがたり」を広めてゆきたいと思っています。
未来を担う子どもたちとは「椿の紙芝居」を通じて、三陸沿岸の女性たちとは、「ご縁ツバキの避難路つくり」を物語の中で展開していければと思っています。

「南三陸椿ものがたり」は、ツバキの避難路をつくることを大きな目標にしています
塩害に強いツバキの苗を大切に育てています
写真提供:工藤真弓さん

質問5)南三陸町がどんな町に復興してほしいですか。

なつかしい場所が町並みの中に刻まれているような町に復興してほしいです。
自然、歴史、地名、文化をもう一度見直し、学び、意識して活かしてゆくことで実現すると思っています。

質問6)東日本大震災から1500日。東北の被災地で生きる人たちに伝えたいメッセージをお願いします。

「自然の形に添うて生きゆかねばならないということ」を私は大震災で学びました。
しかし、復興は、人のために自然をかえるということを多くの場面でしています。
その矛盾を生めるよう、少しでも、それぞれが「自然の営みから学ぶ復興」を果たしてゆければいいです。

春にきれいな花を咲かせるツバキは
沿岸地域に多く自生しています


東北の大地に根ざしたような復興を。

質問7)工藤さんは登米市の仮設住宅で生活していますね。
仮設住宅で生活する人たちの抱える問題などについて伝えたいことがあれば教えてください。

町外に仮設住宅が建てられていることから、ふるさととの距離が、ふるさとに帰るという心を離れさせてしまっていることが残念です。
震災から4年の間に、南三陸町から3000人が登米市に移住しました。
「平地で便利で安心」という仮設住宅の環境の良さが「高台で新しく暮らし始める」という、ふるさとの暮らしのビジョンを消している現状です。

それぞれに思いがあるので一概には言えませんが、定期的に町と協働で正しい情報交換ができる場をもっと作りたいと思っています。

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工藤さんのお話を聞きながら、ツバキで沿岸各地の人たちの交流が進んでいくことを願いました。


(取材日 平成27年4月13日)