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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年4月25日土曜日

2015年4月25日土曜日9:31
石野葉穂香です。

名取市閖上地区にある日和山の周囲で、チューリップの花が満開です。
花壇の世話をしているのは「名取復興支援協会」の皆さん。

3月に取材に伺ったとき、まだ芽を出したばかりのチューリップでしたが、春の日射しをたっぷり浴びて、付近の明るい光を踊らせています。

昨秋植えられた約8000個の球根が花を咲かせました!
白い玉砂利で描かれた日本列島を花たちが取り囲んでいます

今年は2月後半から暖かさを感じる日がぐっと増え、春の訪れも早かったように感じられます。
でも、震災から4年目となる3月11日の前後は、ちょっと寒さが戻り、当日は、あの日と同じように小雪が舞う寒い日となりました。

3月11日の前後、いくつかの沿岸の市町を訪ねました。
どの町でも、重機が動きまわり、トラックが往き来し、砂埃が風に舞い上げられていました。
だけど、この景色はもう4年間も変わっていない眺めでもあります。

機械が動いている、ということは、復興が進められていることには違いありません。
震災直後、被災地にはたくさんの機械と人材が投入され、さらに多くのボランティアの方、そして地元の人たちのパワーによって、約2000万トンもあったガレキはあっという間に取り除かれてしまいました。

けれども4年が過ぎたのに、まだ仮設住宅での暮らしが続いている方も多くいらっしゃいます。
道や水道や電気・・・商店や住宅地など、新しいインフラが整っている様子は感じられません。
津波によって傷つけられた面積は、あまりにも広大です。
以前と同じような暮らしの風景が戻ることは、なかなか難しいのだと実感させられます。

日和山の山頂から北側を撮影(2015年3月8日)
遠くには仙台市中心部のビルも見えます。
「ここに来る人たちは『閖上は、ちっとも変わらないね』って、いつも言います」

名取市閖上地区にある日和山の山頂で、そうお話しくださったのは「名取復興支援協会」の理事・太田幸男さん。
同協会は、主に名取市閖上地区で、地域コミュニティの再生・再構築活動や、今も閖上にやってくるボランティアと地元ニーズとのマッチングなどを行っています。

名取復興支援協会と、閖上で活動をされている皆さん。
左端が同協会の理事長・川崎正男さん
前列右端が理事の太田幸男さん

「『変わらない』『まるで荒野だね』なんて、そんな風に言われたら、以前、閖上地区に住んでいた人たちだって、ここに帰ってきたいとは思いません。だから、私たちは、少しでも復興の兆しが見えるように、まちの未来を感じてもらえるようにと、小さなことでいいからと、日和山の整備や周辺での花壇づくりなどの活動を開始したのです」(太田さん)

日和山というのは、閖上地区の真ん中にある海抜6.3mの小山です。
今は鎮魂の場として手を合わせに来る方がたくさんいらっしゃいます。

3.11の津波は、この山の全容を飲み込み、山頂にあった神社も流失。
わずかに残った樹木からは、山頂より2.1mも上方にまで津波が到達した痕跡が見つかりました。

山頂から見晴らせば、まだまだ土色ばかり。
そして、今年もまた、ただ雑草に埋もれていってしまうのでしょうか・・・。




震災は、古くからのコミュニティを壊してしまいました。
そして避難所や仮設住宅で作られたコミュニティは、復興住宅が完成したとき、また壊れてしまいます。
人々の関係を何度も引き裂いてしまう。それもまた震災の残酷さです。

「閖上に心を繋いでいる人たちの想いをどうするかが、これからの活動の大きなテーマです」と語るのは「名取復興支援協会」の理事長・川崎正男さんです。
「被災者の住まいが広範囲になり、バラバラになって、ボランティアなどの外からの申し出が必要先に届くまでの道がどんどん細くなっています。
 閖上に戻りたい、戻ってきてよかったと言ってもらえる地域をつくっていきたいですね。だから『閖上を忘れないで』と発信し続けていくことが大切」(川崎さん)

「でも、一方では『忘れたい』という人もいる。そんな『忘れたい人』を支えている人たもちもいる・・・ということも伝えていかなければいけないと思います。
今も閖上に住んでいる人もいます。その人たちを励ましたい。できれば若い人たちに戻ってきてもらい、新しいコミュニティが生まれたら、それを強くしていきたいと考えます」(太田さん)

3月8日撮影。
チューリップは芽を出したばかりでした
日和山の麓では、今年も協会の皆さんが花を育てています。
花壇のある風景には、人の手が加えられたぬくもりがあります。
そこに咲いているのは「思い」――。

今はまだ、雑草に負けてしまいそうな閖上地区ですが、人々の思いが行き交う限り、そこが「荒野」になってしまうことはありません。

花色あふれる季節です。
閖上に、ぜひお出掛けください。

花の沖に日和山が浮かんでいます
(取材日 平成27年3月8日)