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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年3月27日金曜日

2015年3月27日金曜日16:49
東日本大震災から4年が過ぎ、震災前に比べて「生きにくい」と感じている人の話しを聞く機会が増えています。

kaiiは東日本大震災後、「利他意識」をもつ人が増えたと感じる一方で、人間関係がギスギスしていると感じることがあります。
復興を進める過程の中で、震災によって分断されたコミュニティの再生にも取り組んでいかなければなりません。

平成22年4月に宮崎県南部地方を中心に発生した口蹄疫の後、分断されたコミュニティの再生にむけて「ふれあい」を大切にした「居場所」を運営する「たわわハートねっと」代表の青木智美さんに、口蹄疫から5年目の宮崎県の様子をうかがいました。

たわわハートねっと:http://tawawa810.blog.fc2.com/

青木さんは、東日本大震災後、カツオ漁などでご縁のある気仙沼市の人たちと積極的な交流を続けています。

宮崎県都農町の皆さんから気仙沼市に贈られた
千羽鶴を講演会の後預かりました
(平成24年3月)
写真提供:青木智美さん
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質問)口蹄疫の時の宮崎県の様子を教えてください。

口蹄疫とは、口蹄疫ウイルスが原因で、偶蹄類の家畜(牛、豚、山羊、緬羊、水牛など)や野生動物(イノシシやシカなど)がかかる法定伝染病です。
口蹄疫にかかると、子牛や子豚では死亡することもありますが、成長した家畜では死亡率が数%程度といわれています。
しかし、偶蹄類動物に対するウイルスの伝播力が非常に強いので、他の偶蹄類動物へうつさないようにするための措置が必要です。

宮崎県では、口蹄疫発生以降、牛、豚、水牛など約30万頭が殺処分されました。推計の損失は、畜産関係が1400億円、関連損失が950億円など大きな被害が出ました。

口蹄疫の感染が広がった原因の一つとして、人や車が運んでいる可能性が指摘されました。
口蹄疫ウイルスは人の目には見えません。
そのため、「他の地域からウイルスが持ち込まれないだろうか」「我が家の家畜が感染していないだろうか」など、地域の中に大きな不安が広がり疑心暗鬼になりました。
ウイルスを拡散させないためという理由で、公共施設の利用の禁止、イベントや学校行事の中止などが長期間続き、子どもたちの生活にも大きな影響がありました。

宮崎県では、農業に関わる仕事をする人が多く、日常に会話にも気を遣いました。生活の中に息苦しさを感じることがありました。

商店街からも人が消えとてもさびしく暗い街になりました。
「このままではいけない」という思いで、行政をはじめ、自衛隊、県外から応援に来た獣医師の皆さんも事態の収束にむけて全力で働きました。

(質問)地域の中で「ふれあいの居場所」を運営しようと考えたのはなぜですか?

口蹄疫の発生で、それぞれの立場が違う人たち同士(感染家畜を出した農家と出さなかった農家、畜産農家と園芸農家、農家と一般市民)の人間関係がギスギスしたものになり、コミュニティの中の人のつながりが分断されてしまいました。
もう一度、コミュニティの中の「つながり」を取り戻したいと考えました。
「お互いを思いやれる優しい関係つくりの回復」が開設した目的です。

都農町のふれあいの居場所の餅つきの様子
(平成26年12月撮影)
写真提供:青木智美さん

(質問)「ふれあいの居場所」の運営を始めてから感じていることを教えてください。

開所当初、居場所を利用される人を「口蹄疫で被害を受けた農家の方」とイメージしていました。
居場所が「被害農家の皆さんの心の復興」に役立てていただければと考えていました。
しかし、実際に運営を始めてみると、「被害農家」の皆さんだけでなく、人とのふれあいを求めている方、「この地域のために何かしたい」という方が居場所を訪れるようになりました。

「ふれあいの居場所」は集まって来た皆さんの意見を皆で考え運営しています。
毎週火曜日と金曜日に利用者の方々が自発的に行っている昼食会には、20人ほどの人が集まっています。

昼食会で使う野菜も休耕地を利用して、居場所に来る方々が育てています。

私は、「ふれあいの居場所」の運営が、「活動に参加する人」「活動を運営する人」と分かれることがなく、それぞれができることを、できる人ができる時にすることで参加者同士の関係がうまく構築されていると感じています。

(質問)東日本大震災が発生して感じたことはどんなことですか?

平成23年3月に東日本大震災が発生して以降、これまでの価値観が大きく変化したと感じています。私たち自身の価値観も転換点にきていたのかもしれません。
私たちは、大きな代償を支払い、「どう生きるのか」「幸せとは何か」ということに気がつきました。
その気づきを真剣に考えな生きなければならないと思っています。

(質問)東日本大震災からと口蹄疫からの地域の復興の中で共通している問題を教えてください。

2つの災害の「復興の過程」で起こっている問題には共通点が多くあると感じています。
被害の内容は異なりますが、生活の術を失くしたり、生活環境が大きく変化したということには共通しています。
お金の問題、個々の生活の復旧の速度などの違いから起こるさまざまな問題も共通しています。


(質問)今後の防災について考えていることや思いを教えてください。

南海トラフ地震の発生が予測されています。ハード面の備えはもちろんですが、日ごろからの人と人のつながりが大切だと考えています。
いざという時に、助け合える人間関係を普段から構築しておくことが、「防災」につながると思います。

(質問)東北の被災地に思うことはどんなことですか。

言葉にすればするほど、空虚な感じがするかもしれませんが、私は、東北の人たちと「これからも一緒に」と思っています。

これからも一緒に。
青木智美さん
(平成27年3月14日撮影)


青木さんのパートナー、青木淳一さんは宮崎県都農町で開業獣医師と働いています。平成22年4月9日に口蹄疫に感染した疑いのある和牛を診察し、宮崎県に報告しました。
その後、口蹄疫の症状を発症する家畜が発生し、宮崎県南部地方を中心に口蹄疫の被害が拡大しました。


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青木さんと私の出会いは、東日本大震災後、支援物資に貼られていた、都農町の子どもたちからのメッセージにお礼の手紙を書いたことがきっかけでした。
宮崎県では数回お会いしました。今回は青木さんがご家族で気仙沼を訪れたことから、3年ぶりに再会することができました。



復旧工事の様子を見ながら、青木さんは「この風景を見て、自然の大きな力を感じます。大変だったでしょうね。想像もできません」と話していました。

宮崎県都農町から気仙沼市を訪れた青木智美さん・淳一さんご一家
岩手県陸前高田市の復興の様子を見学に行きました
(平成27年3月14日撮影)
災害によって分断された地域の復興には、時間とお互いを尊重し合い、話し合える環境が必要だと感じました。

(取材日 平成27年3月14日)