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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年3月19日木曜日

2015年3月19日木曜日10:43
こんにちはエムです。

ピアニストの庄司美知子さんの思いに賛同して集まった数人のメンバーにより平成23年6月9日に発足した「被災地へピアノをとどける会」の活動は、4年目の現在も続いています。
そしてこれまでに、合計427台のピアノを届けてきました。


前回の記事
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平成27年3月9日 月曜日
被災地へピアノをとどける会〜その1[発足編](仙台市)
http://kokoropress.blogspot.jp/2015/03/1.html
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有志の音楽家が作ってくれた
「ピアノをとどける会」のシンボルマーク

メンバーは、実行委員長を務める庄司さんと副委員長を務める作曲家であり宮城教育大学教授の吉川和夫さんを中心に、ヴァイオリニストで元仙台フィルコンサートマスターの渋谷由美子さん(副委員長)。事務全体を取り仕切る仙台中央音楽センターの郷古由理さんと鈴木由利子さん。調律師の阿部隆さん。ピアノの一時保管と搬送を引き受けている仙台ピアノサービス。当初からボランティアで参加している宮城教育大学の学生の協力もあり、「ピアノをとどける会」は少しづつ体制を整えてきました。

平成25年3月11日、宮城県の個人宅に届けたアップライトピアノ
(画像提供:ピアノをとどける会)

まず大事にしていることは、提供されるピアノが修復可能なものなのかという点だと言います。
ピアノは、あまり古くなったものでは修理も何もできない場合があるということで、状態を見てから引き取ることにしたのだそうです。

目安はおおよそ30年前に製造されたものまで。
製造年月日はピアノに付いている製造番号で分かるのだそうですが、そのため引き取るピアノのメーカーをカワイ(株式会社河合楽器製作所)とヤマハ(ヤマハ株式会社)に限定しています。

「ピアノをとどける会」ではカワイの調律師である阿部隆さんにメンテナンスをお願いしています。阿部さんはまた、日本ピアノ調律師協会に働きかけて、全国どこの場所にも調律師が行けるように体制を作ってくれました。

「メンテナンスするという事を、提供者に理解していただくのに時間がかかる場合があります。
ご自分で使い続けるのには問題ないですし、普通は年1回とか2回とかの調律で済むのですが、差し上げた先でこの先何年も使い続けていけるようにするためには、どうしても丁寧なメンテナンスが必要なのです」

平成23年12月16日、松島町立松島第一小学校へ
愛知県から寄贈されたグランドピアノ。
渋谷由美子さんと庄司美知子さんによるお披露目演奏会が催されました
(画像提供:ピアノをとどける会)

庄司さんは他にも難しさを感じる場面がありました。
それは提供してくれる方が納得する送り先を見つけること。

提供者によっては「津波で壊滅した被災地に」、「学校に」と限定する場合がありますが、ピアノを希望する被災者が、宮城県の他の地域や県外に移転している場合などもあり、送り先の範囲は大きく広がっています。
提供者に理解してもらえるように説明したり、送り先を納得してもらってから届けるなど、細心の注意で力を尽くしてきたのです。

平成25年6月11日。石巻市大川地区にある仮設住宅集会所へ届けた
電子ピアノ。プロの音楽家佐々木克仁さんによる歌の集いが
定期的に開かれていました(画像提供:ピアノをとどける会)

それにしても大きなピアノを運び、修復・調律などをするにはそれなりの費用がかかるはずです。その問題はどうやってクリアしているのでしょうか。

吉川教授が説明してくれました。
「幸いなことに……奇跡的にと言いますか、この活動は全て寄付金で成り立っています。

私たちは特定の企業や団体、組織等の後ろ盾を一切持っていません。
寄付してくださる方々は音楽愛好家や音楽家など、ほとんどが個人の方です。
他にもチャリティコンサート等の収益などから寄付していただく場合や、毎月定期的に送ってくださる方などがいらっしゃいますが、毎月残額をにらみながら次のお届け計画を考えているのが実状です。」

1台のピアノをご提供者の元から運搬し、調整して希望者までお届けするためには15万円前後の経費が必要なのだそうですが、寄付金のみでまかなえているということはつまり、音楽を愛する人は多く、この実状を黙って見てはいられない人がたくさんいるということ。
( ※ ピアノ提供者からは運搬費の一部3万円を併せて提供していただいています)

九州でのピアノの搬出の様子
平成24年2月24日(画像提供:ピアノをとどける会)

こうしてたくさんの方々の協力で集まった寄付金は経費に使われているのみで、庄司さん始めスタッフの皆さんは無報酬で活動しています。
そこまで人を動かし、求められるピアノという楽器。皆さんにとって一体どんな存在なのでしょうか。

吉川教授:
「この活動を通して、すごくいろんな場所にピアノがあることが分かりました。
個人の家とか学校にあるのは想像がつくのですが、それ以外にもお店や集会所などにもピアノはあって、そこにみんなが集まって、弾いたり聴いたり歌を歌ったりしていたのです。
ところが今まで普通に身近にあったものが無くなっちゃって、みんな寂しい思いをしているんですね

庄司さん:
「出す側も、家族の中で……大きな古時計ではないけれど、そこの家の歴史を見ている存在だったと思うんです。
娘が生まれた時に買ったとか、お嫁に来る時に両親が働いて買ってくれたとか、そういう思い出を持った提供者の方々がピアノを出す時に思いにふけって、お手紙を書いてくださる方もいます。
『いざ運び出される時に涙がでたけれど、また次の場所で生きていくでしょう』とか。
いろんな思いを持ったピアノです。
中には行く先を見届けたいと、実際に見にいらした方もいました」

吉川教授:
「しかし、震災から4年が過ぎて、活動資金となる寄付金はめっきり減ってきました。
一方で、ようやく再建できた保育所や、住居を確保できた方からの要望は今も続いています。

その望みをかなえるために、どうか引き続き活動資金の寄付をお願いします」

震災から4年。今でも、いえ、これからもますます

音楽の力が必要です!

前列左から)吉川和夫さん、庄司美知子さん、郷古由理さん、鈴木由利子さん

ピアノを寄贈する人、無くしてしまったピアノを再び弾ける日を待ち望む人、それぞれに長い時間の中で紡がれている物語があり、ピアノはいつもそこにいてそっと寄り添っている。
そんな風景が見えるような取材でした。


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第3回では、ピアノを受け取った方々からの感謝のお手紙をご紹介します。

2015年3月21日 土曜日
被災地へピアノをとどける会~その3[手紙編](仙台市、県外)
http://kokoropress.blogspot.jp/2015/03/3.html

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☆ーーピアノを希望する方の申し込みについてーー☆ーーー☆ーーー☆

・東日本大震災の被害に遭いピアノが使えなくなった学校、保育所、施設、個人の方
・集会所や公共スペース
・これからもピアノを学ぼうとしている個人

まずは電話でご相談ください。
「被災地へピアノをとどける会」(仙台中央音楽センター内)
電話:022-264-1846
FAX:022-398-6623


☆ーー活動の支援方法についてーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆

支援を考えている方は下記のような方法があります。
・寄付金による支援
・所有するピアノの寄贈
・「ピアノをとどける会」に義援金の寄付をいただく予定のチャリティイベントの開催

[寄付の振込先]
〈郵便振替〉
番号 02280-5-110142
加入者名 被災地へピアノをとどける会

〈銀行振込〉
◆ゆうちょ銀行 
 二二九支店 当座 口座番号/0110142 名義/被災地へピアノをとどける会
◆三井住友銀行 
 仙台支店 普通 口座番号/1753200 名義/被災地へピアノをとどける会
◆七十七銀行 
 南町通支店 口座番号/5477701 名義/被災地へピアノをとどける会


★ピアノの寄贈を希望する方はホームページ内の「寄贈をする」の内容を参照ください。
被災地へピアノをとどける会
http://www.piano-donation.org/

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チャリティコンサートの予定

「明日への音色〜東日本大震災 復興応援コンサート〜」
日時:平成27年3月27日(金) 開場/18:00 開演/18:30
会場:三鷹市芸術文化センター 星のホール
入場料金:前売り券/1000円  当日券/1500円
主演:音楽大学生を中心とした学生
主催:テオブロマ・カカオ
http://atvxqmk325.wix.com/tohokucharity


★その他のイベントや詳しい内容は下記を参照ください。

「被災地へピアノをとどける会」
仙台市青葉区中央4-4-4(仙台中央音楽センター内)
電話:022-264-1846
FAX:022-398-6623

(取材日 平成27年2月13日)