header

宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

ヘッダー写真説明文

写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年1月19日月曜日

2015年1月19日月曜日8:00
皆さんは「生きにくい」と感じたことはありませんか。
kaiiは東日本大震災以来、「生きにくい」と感じています。そして、「生きにくさ」の原因を知りたいと思っています。

東日本大震災では、被害の状況は違いますがたくさんの人が被災しました。
物的な被害は目に見える被害です。
しかし、心に負った被害は目で見ることも、何かで計ることもできない被害です。
震災後、被災地で暮らす人たちから、「私より大変な被害を受けた人が居るから、私は大変だと言ってはいけないと考え『自分も大変です』と話すことを控えて我慢してきた」と、よく聞きます。
個々が受けた被害の「大変さ」は誰にも比べることはできません。
その人が感じている「大変さ」は、否定されるものではないと私は考えます。

私は、生きにくいと感じるようになってから「怒り感情」が湧きやすくなりました。
生きにくさと「怒り感情」の関係、私の心の中の「怒り感情」の発生メカニズムについて、さまざまな場面を検証し考えました。
私の「怒り感情」は、自分の「生き方」や「考え方」を否定されると爆発的に大きくなります。
私は、自分の中の「怒り感情」が人間関係などに不都合を生じさせる原因ではないかと仮説を立てました。
そして、「怒り感情」と上手に付き合う方法として「アンガ-マネージメント」を学び始めました。
===========
「怒り感情」と上手く付き合う手法のひとつ「アンガーマネージメント」の研究者で、「思春期・青年期版 アンガーコントロールトレーニング」(星和書店)の著者でもある野津春枝さんに、震災後の「怒り感情」と「アンガーマネージメント」について伺いました。
===============
野津さんは、塩竈市の精神科病院に看護師として勤務しています。
看護師として入院してくる患者さんと関わる間に、多くの患者さんが「怒り感情」の制御が困難になっていることに気がつきました。
「怒り感情」が原因で、家族や大切な人との関係が悪くなっていることも多いといいます。
野津さんは、「怒り感情」の制御が困難な入院患者さん及び外来患者さんに具体的支援が必要だと感じ、7年前から「アンガーマネージメント」を学び始めました。


「怒りを整理して生きやすく」と話す野津春枝さん


現在は、病院の理解もあり、音楽療法士、作業療法士などとチームを組み「怒り感情」と上手に付き合うことの難しい患者さんのために「アンガーマネージメント」を療法として、医療現場に取り入れる活動をしています。
野津さんは、病院に勤務する傍ら、全国で「アンガ-マネージメント」についての講演活動や精神看護学会などで「アンガーマネージメント」の実践についての発表もしています。

===============

質問)
東日本大震災後、「怒り感情」が原因で生活に不具合が生じるなど、困っている人に出会う機会は増えましたか。「怒り感情」はどのようなことから生じていますか。

東日本大震災後、「怒り感情」を抱えて困っている人に出会う機会は増えました。
「怒り感情」は、他者(外的)に向かうものと、自身(内的)に向かうものに分かれます。
男性の方が外的な怒りへ移行し、女性が内的な怒りに移行する傾向があります。
これは、日本の文化に起因する「信念」から生じる反応だと私は察しています。
わかりやすく説明すると、「男は男らしく強くあるべきだ」、「女は女らしく従順であるべきよ」というような考え方です。このような考え方が「信念」に影響を与えると考えられます。
「信念」は個人が成長過程で、環境や学びなどから作り上げた、その人が固く信じている考えです。
個人の「信念」が「怒り感情」に影響を与えます。

質問)
「怒り感情」は伝播しますか。「怒り感情」はどのような人に向けられますか。

誰かに八つ当たりされて、不愉快な経験をしたことが皆さんにもあると思います。
「怒り」は伝播します。
自分で収めることのできない「怒り感情」を、自身や身近な他者に向けてしまいます。
自分で「怒り感情」を終息しようと意識しない限り、「怒り」は終息しません。「怒り感情」は伝播し続けます。


質問)
「怒り感情」を大きくする要因はありますか。

「怒り感情」は個人の「信念」が要因で増幅されます。
「自分は正しい」「相手が間違っている」という思いが強くなると、そのエネルギーが大きくなり、「怒り感情」として他者に向けられます。
「怒り感情」は、自分の目線で物事を考えている時に大きくなります。
自分が強く言えば(暴力を振るえば)自分寄りになってくれそうな、自分より弱い相手に向けられやすい傾向があります。

質問)
「怒り感情」と上手に付き合うことはできますか。

「怒り感情」と向き合うコツは、自分の「信念」をよく見つめることです。
例えば、何らかの事情で働く場所を失った人に、「働かなければならない」「社会に参加しなければならない」という「信念」をもっている私が「働くこと」を求めたとします。
「怠けているわけではない」「働く場所がない」「人間関係がうまくいかない」「以前はできたことができなくなった」など、問題を抱えて困っている人には、私の「信念」に基づく求めは辛さを与えます。
理解されない自分に対し「怒り」、処理することが難しい「怒り感情」を他者に向けます。

私たちは、自分の作り上げた考え方を、一般の社会的反応(社会の見方)と思い込み、物事を推し量り、気がつかない間に自分の「信念」に基づいて、自分や他人に物事を求めます。
求めた事が、自分の思い通りにならないと「怒り感情」を抱きます。
自分の「信念」を目の前で打ち壊された時の「怒り感情」は破壊力が大きくなります。

人の歩く速度や歩幅は、皆違います。
「皆、違って皆良い」と許せると、自分の「信念」は他人に危害を加えなくなっていきます。
一人一人、「信念」が違うことに気がつくことも、「怒り感情」とうまく付き合うコツです。

========================
質問)
「怒る」ことはいけないことですか

アンガーマネージメントは、全ての出来事に「怒るな」と教えていません。
必要と判断される場合は、自身の「怒り感情」(爆発的な感情)をコントロールした後で、相手に自分の意見を伝えることができると教えています。
「怒り感情」に任せて「怒る」ことは、相手が受け止めることが難しい場合「心の傷」になることがあります。
=========================
質問)
「生きにくさ」を抱える人たちにアドバイスはありますか

アンガーコントロールトレーニングは、自分を認知することから始めます。
自分の「信念」「行動」「感情」などに気づき、整理して新しい行動に変えていく手法です。

震災後、「生きにくい」と感じている人たちの話しを聞くと、「周囲との関係が上手くいかない」「周囲の人の行動が理解できない」などと話す人がいます。

そんな人たちに、私は「自分の感情の認知」を薦めています。

「信念」は自分の「座右の銘」に似ています。
自分の「座右の銘」は自分を磨くためには有効です。しかし、他人に押し付けても、他人が良くなることはありません。
「皆違って皆良い」と認知することで、「怒り感情」は制御できるようになると思います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「私たちは、東日本大震災という未曾有の災害を経験し、自分が大切にしている人や環境を失いました。
震災は天災だと私たちは理解しています。
『神様(見えない第三者)に悪態をついても何も変わらない』とわかっています。
しかし、喪失感など、行き場のない複雑な感情を、震災から4年が過ぎた今も処理しきれずにいます。
この喪失体験とそれに伴う感情の処理には長い時間が必要だと私は考えます」と野津さんは話します。

=================
質問)
野津さんが、「生きにくさ」を抱え、困っている人に気がついてほしいと思うことはありますか。

私は、「震災」が原因で人間が憎み合う必要はないと考えます。
震災後、「生きにくい」と感じている皆さんが、無駄な「怒り感情」を処理し、本来の自分らしさを取り戻し、心豊かな時間を過ごせることを願っています。

===========
野津さんと話して、
物事を比較対照ではなく「皆違って皆いい」。
感じ方は千差万別。
自分の信念で測らず、肯定的に相手を受け入れることが大切だと感じました。

(取材日 平成26年12月10日)