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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2015年1月13日火曜日

2015年1月13日火曜日8:00
こんにちはエムです。

東日本大震災が起こるまでは、県内でも有数のイチゴの産地だった山元町には129軒のいちご農家がありました。いちご農家は沿岸部に集中していたため、実に124軒が津波に流されてしまうという甚大な被害に遭ったのです。

農業基盤を全て流され、残ったのは辺り一帯のガレキの山。
想像を絶する失意の中、被災した農家約3軒が集まり、いち早くいちご作りに着手した人たちがいました。
平成23年6月に設立された「山元いちご農園株式会社」です。


前回の記事
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平成27年1月4日 日曜日
ようこそ「いちごのカフェへ」〜山元いちご農園〜その1
http://kokoropress.blogspot.jp/2015/01/1_4.html
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「山元いちご農園」代表取締役の岩佐隆さんは、この状況を何とかしたい、ガレキの山になってしまったこの地域を何とか元に戻したい、という思いで立ち上がったのだと言います。

「この地域の復興を考えたときに、それは『自立』することだと思いました。自立するためには以前から自分がやっていた事をやるのが一番の近道なんです」

いちご農園に欠かせない陰の主役ミツバチ
当初は苗の入手やハウスの再建など困難は山積みでしたが、東日本大震災農業生産対策交付金事業などからの補助を受け、平成23年10月には2,160平方メートル規模のハウス8棟が完成。
次の年の3月にはイチゴの出荷ができたのだそうです。

その後山元町では、国の震災復興交付金などで「いちご団地」の整備事業が進み、52軒の農家が再建しています。
先駆けてやってきた「山元いちご農園」の姿は、山元町の皆さんの大きな力になったに違いありません。

しかし復興への道のりはまだまだ遠いと感じる地元のために、岩佐社長はいちご農園の経営を通してもっと貢献したいと考えています。

「山元町は震災で鉄道が無くなったことで、若い人たちがどんどん離れています。震災前と比べると約5千人は人口が減っています。
だからここに若い人たちが定住できるような働く場所を作りたいと思いました。
やはり地元の人を雇用する地元の会社があることが大事だと考えているし、農業が好きな人はいっぱいいるはずです。
これから何をやったら良いのか町全体でもっと考え、それが地元の人たちが皆で関わるようなものであれば、復興の大きな起爆剤になると思います」

現在約40人の従業員が働く「山元いちご農園」には、若い人の姿も多く見かけました。

10月中旬から6月末まで、毎日選別、箱詰めをしています

「地元の雇用の創出」の他、復興へのもう1つの取り組みとして岩佐社長が考えているのは「交流人口を増やす」ことです。

先日ご紹介した、いちご農園の中にできたカフェ「ベリーベリーラボ」もその目的で造ったものです。
いちごの直売所でもあるカフェでは、イチゴを使った魅力的なお菓子や食事を提供し、イチゴが出荷できない季節でも、四季を問わず訪れることができる場所になっています。
さらに、ストロベリーワインなどの新しい商品の開発も手掛ける岩佐社長の企画力、手腕には、復興に向けての力強い前向きな姿勢を感じます。

とちおとめ・もういっこ・紅ほっぺ
イチゴの種類により大きさや味も違います
さらに同じ目的で、現在でもボランティアの受け入れを行っています。

「もう3年9カ月たったんだから、もう復興しているんだろう。と考えられている傾向が強いと思う。
同じ宮城県でも被害を受けた人と受けなかった人の差があるし、県外に出ればもっともっと温度差が出てきている。
マスメディアも取り上げないし、どんどん忘れ去られようとしている。

しかしそんな中でも、また訪れたい、被災地の復興の様子を見たいという人があるならば、そういう人を呼び寄せて交流人口につなげたり、被災地の現状を語る事によって、我々が経験した事を受け継いで、その人たちの地域の中で生かしてもらうことができる。
我々にとっても、その人たちがリピーターとして帰って来てもらえることはありがたいことです。

震災当時はたくさんのボランティアが来て、本当に助けてもらった。その中には『また来ます』と言って今でも寄ってくれる人がいます。
そういう人を皆で増やしていく事も、復興の中でも大きな努力だと思う」

4個のイチゴパックが入る箱。これだけの数を組み立てるのも大変そうです

こちらは2パック用の手提げ箱

「夏は大型ハウスの中での苗の作業、冬はイチゴ摘みや箱詰めなど、うちの農園だといろいろな作業があるので、ボランティアに来てくれた方の仕事はたくさんあります。
そうして何か体験してもらうことで、被災地の現状や山元町の魅力を伝えてもらえますし、それがさらに人を呼び寄せることにつながると考えています。
来てくれる人がいる限り、受け入れていきますよ」

ケーキ用に出荷されるイチゴ

さらに自然エネルギーによる「再生可能エネルギー」を利用した農業を考え、震災当時から「NPO法人水・環境ネット東北」などの協力で「太陽熱温水器」を設置し、環境に配慮した農業経営を行っています。

太陽熱温水器

「太陽熱温水器」とは、電気もガスもきていなくても太陽と水でお湯(40〜60度)が作れる設備のこと。「山元いちご農園」ではこのお湯を利用したイチゴ栽培を行っています。

太陽熱温水器とボイラー併用で温められたお湯が温湯管を流れる
大型ハウスの中は、心地よい音楽とミツバチが飛び交い、まさに春!

「これからの農業は環境を守ったり、自然エネルギーを考えることが大事だと思います。しかし私も震災が無ければここまで考えなかった」

山元町を地元からも他の地域からも注目されるような魅力溢れる町にするため、アイディアをたくさん持っている岩佐社長の、これからを見据えた真剣な眼差しには確かな力強さがありました。

いちごと共に復興・発展。つねに前向きに
「いちご作りは見た目よりは大変だけど、自分が好きな事は続けられる」と語る岩佐隆社長

ところで「山元いちご農園」の箱ですが、この鳥には深い意味と思いが込められているようです。
鳥は山元町の鳥「ツバメ」。
モーリス・メーテルリンク作「青い鳥」にあやかり、幸せの青い鳥がイチゴを全国の皆さんに運んでいくというメッセージなのだそうです。
幸せと復興の思いを、きっとどこまでも運んでくれることでしょう。



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山元いちご農園株式会社&ベリーベリーラボ


☆イチゴ狩り情報(1月2日〜6月中旬)
■営業時間/1〜2月 10:00〜15:00
      3〜5月 10:00〜16:00
■定休日/無休
■料金/30分食べ放題
1〜3月 小学生以上:1500円
    3〜6歳 :700円 
    3歳未満:無料
4〜6月 小学生以上:1300円
    3〜6歳 :500円 
    3歳未満:無料

■所在地/宮城県亘理郡山元町山寺字稲実60
TEL:0223-37-4356
FAX:0223-29-4958
メール:info@ichigo-nouen.com
http://berryverylabo.com/

(取材日 平成26年12月13日)