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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年12月10日水曜日

2014年12月10日水曜日10:11
kaiiです。
地元の新聞が「気仙沼市では歯周病患者の数が多く、歯科受診した人の90%近くが治療の
必要な『要医療』と判定されている」と伝えていました。

私たちは歯周病や虫歯についてその治療の重要性をどのくらい認識しているでしょうか。

歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる疾患です。進行すると歯と歯ぐきの境目が深くなり、歯を失う危険性があります。

東日本大震災以来、医療ボランティアとして気仙沼市で活動し、後に気仙沼市に移住して気仙沼市立本吉病院などで診療活動を続けている歯科医師、一瀬浩隆(いっせひろたか)先生に、「災害と口腔ケア」について伺いました。

「キレイな口は命を救う」と口腔ケアの重要性について話す
気仙沼市在住の歯科医師 一瀬浩隆さん


東日本大震災後、口腔ケアの重要性について話される機会が増えました。口腔ケアが大切なのはなぜですか?

東日本大震災後、飲料水の確保も難しい状況が続きました。
そんな環境の中で歯磨きをする水を節約したり、歯磨きできる環境が整うまでに時間がかかりしました。
この間、口腔内は不潔になりました。高齢者の3分の1が唾液の誤嚥をしているというデータもあります。不潔になった口腔内で細菌に汚染された唾液や食物を誤嚥することで、肺炎などの感染症を起こす患者が増えました。
歯磨きや舌磨きなどの口腔ケアを行うことで口腔内の細菌を減少させ、感染症に罹るリスクを抑制することが大切です。



口腔内の不潔と食事のバランスには関係性がありますか?

東日本大震災の際、避難所などでの食事はどんなものが中心だったか覚えていますか?
おむすびやパンといった「炭水化物」が中心の食事ではなかったでしょうか?
緊急事態で仕方なかったことですが、栄養のバランスが炭水化物に偏り、ビタミンやミネラルなどが極度に不足しました。
更に、被せ物や義歯の使用などにより口腔内の環境も複雑化しています。
そのため、炭水化物などの糖質中心の食事で口腔内が酸性に傾くと、自分の健康な歯の周辺の粘膜にも感染症を起こすケースがあります。
「歯」の健康にとっても栄養のバランスは大切です。
東日本大震災から2カ月後に、医療、福祉など多職種で「気仙沼・南三陸食べる取り組み研究会」を立ち上げ、研鑽を積んでいます。
厚生労働省のヒアリング調査でも、「気仙沼市は口腔ケアへの取り組みの先進地域」とされています。


口腔ケアという視点で「避難所で高齢者が特に注意しなければならないこと」はどんなことですか?

東日本大震災後の気仙沼市のデータですが、高齢者の肺炎感染のリスクが高まりました
これは先ほども述べたように、「歯磨きに使う水がもったいない」とハミガキをしなかったり、栄養状況の悪化、生活環境の悪化などが原因で、口腔内が不潔になり高齢者に、特に誤嚥などを一因とする肺炎患者が増加しました。東日本大震災後の70日ほどについて言えば、気仙沼市立病院を受診した225人が肺炎に罹患しており、うち52名が亡くなりました。肺炎罹患者の約4分の1が亡くなったということになります。
この数字からも分かるように、口腔内の生活への教育と災害時の「水の大切さのとらえ方」について日常から考える必要があると思います。


歯科医師として日常から大切にしたいと考える「口腔ケア」はどんなことですか?

私たちはふだん、「口の中」について考えることがあまりありませんよね?
でも、考えてみてください。「口」は食べ物が体に入る入り口であり、呼吸のための大切な器官です。口腔内を清潔にすることは大切です。
定期的な歯科受診を心掛け、「虫歯」や「歯周病」などの口腔内の検査や治療を行う必要があります。日常から安定した口腔内環境を整えておくことで細菌感染のリスクを抑制することができます。

歯磨きの仕方については、家の掃除をするのと一緒でどうすればきれいになるかという意識をもつことが必要です。
このことを高齢の方に理解していただくことは難しいのですが、高齢の方には、特にこの意識をしていただきたいと思っています


口腔内のケアについてお話を伺いましたが、簡潔に「口腔ケア」が必要なのはどうしてでしょうか?

「生きることは食べること」だからです。生きることに必要最低限必要なのが「食べること」です。
それは東日本大震災の時に日本国中の人たちが感じたことではないでしょうか。
生きるためには「食べなければなりません」その食べ物の入り口が「口」です。
「口腔内の健康」はおいしく食事ができる第一歩だということです。


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人間の「欲」の一つに「食欲」という欲があります。生きるためには必要な「欲」です。
健康な時にはなかなか意識しない「食べること」も病気になって食事ができないときには「自分の口で食事がしたい」と望みます。
「生きることは食べること」
一瀬先生のお話を聞きながら、震災の時、避難所から帰宅して一番初めにしたことが、着替えと洗髪、歯磨きだったことを思い出しました。
口腔内の清潔や健康について私たちはもっと意識することが大切だと感じました。

(取材日 平成26年10月22日)