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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年12月22日月曜日

2014年12月22日月曜日6:37
誕生日を祝う歌声は、贈られた絵本たちに響きました
ザーリャです。
塩竈港に近い海岸通りの一角に、「うみべの文庫」はあります。
息を弾ませて訪れる子どもたち。迎えるのは、部屋いっぱいに並ぶ2000冊の絵本です。
子どもたちに絵本の読み聞かせを行うのは、この「うみべの文庫」を運営する長谷川ゆきさん。津波で全壊した自宅を再建し、2012年に長年の夢であった絵本の図書館を開きました。


津波によって、30年をかけて集めた数百冊の絵本を失った長谷川さん。
手元に残ったのは、読み聞かせのために携えていた、2冊の絵本だけだったと言います。

「皆さんに支えていただいて、こんなに幸せな日を迎えられました」
うみべの文庫を開いた、長谷川ゆきさん

「1冊でいい。塩竈市の長谷川さんに絵本を送ろう」。
長谷川さんの話を聞いた東京在住の絵本作家くさかみなこさんは、インターネットを通じて、長谷川さんへ絵本を贈ることを呼び掛けました。

宮城県出身であるくさかさんは、東北から遠く離れた場所で、自分にできることを考え続けていたと言います。
「呼び掛けることしかできないけれど、それなら東京にいる自分にもできる」

「たくさんの思いが詰まったのがうみべの文庫なんです」
呼び掛けを始めた、絵本作家のくさかみなこさん

やがて、塩竈の長谷川さんの元に、1冊また1冊と、絵本が届き始めました。呼び掛けから3カ月で800冊が、そして今日までに2000冊の絵本が贈られました。

届いた多くの本には、送り主のメッセージが添えられていました。
「絵本の図書館が、少しでも早く開けるように願っています」。
「一人でも多くの子どもたちに、この絵本を読んでもらえるように」。

どこの国なのか、長谷川さんにも分からない言葉の絵本も届きました。
その絵本の一冊一冊には、日本中の、そして世界中の方々の優しさがいっぱいに詰まっていました。

こうして生まれた「うみべの文庫」が、11月に2周年を迎えました。


先月11月22日の穏やかな港の午後。
絵本でつながる皆さんが集まって、「うみべの文庫二才のお誕生日会」が開かれていました。

お祝いに駆けつけた、絵本作家の大塚健太さん
絵本の主人公と同じコスチュームで、集まった子どもたちに読み聞かせを行いました。
読み聞かせの後、ケーキが「はんぶんこ」になるクリスマスカード作りに挑戦。

思い思いのクリスマスケーキを、自由に描く子どもたち
「出来上がったカードは、大切な人にあげてくださいね」。子どもたちに語りかけるくさかさん

うみべの文庫に届けられたのは、絵本だけではありません。

アメリカのジュニアハイスクール(中学校)の皆さんからは、募金で購入したという本棚や椅子が届きました。
夏休みには、そのアメリカの生徒さんが、うみべの文庫を訪れたそうです。


誰もが自由に利用できるうみべの文庫。貸し出しには130人もの人が登録しているそうです。長谷川さんは、まだ利用が少ない小学校高学年の子どもたちにも、ぜひ来てほしいと考えています。


ワークショップの後は、集まった方々に歌のプレゼントがありました。
神奈川県湘南市から訪れたのは、アコースティックデュオ「ヤマモトダ」のお2人。

「たくさんの優しさや、思いやりに溢れる素敵な文庫の誕生日。一緒にお祝いできることに感謝しています」
曲作りを担当する、ガットギターの山田りょうたさん
「今日はどんな雰囲気になるのだろう?」そう考えながらやって来たという
ウクレレの山元ひろみさん
「皆さんの歌声が、本たちに響き渡りますように」
曲の最後は、「Happy Birthday to You」。歌と共に、バースデーケーキが。
子どもたちの絵が描かれた、プレゼントも

実は、12月から病気の治療のため入院する長谷川さん。
そのため、うみべの文庫は長谷川さんが復帰される春まで、しばらくの間お休みになります。

「地元の皆さん、そして遠くから来ていただいた皆さん、今日は本当にありがとうございました。最初から最後まで、本当に幸せで、泣きっぱなしでした。とても残念ですが私が入院するために、今年は皆さんと一緒にクリスマスを祝えません。だから今日は少し早いクリスマスプレゼントを用意してきました。来る年が、皆さんにとって優しくて良い年でありますように、お祈りしています」

一人ひとりに、長谷川さんはプレゼンを手渡しました。


「津波で何もかもが無くなった当時は、まさか今日のような幸せな日が来るとは、想像もしていませんでした」

誕生会の感想をお聞きした私に、長谷川さんは微笑んで答えました。

「私たちが今日という日を迎えられたのは、たくさんの皆さんから温かなお気持ちをいただけたからです。そうして生まれた『うみべの文庫』は、まだ2歳になったばかり。今日は皆さんにお祝いしていただいて、『3年目も頑張ろう!』と、あらためて心に誓いました。桜の花が咲くころには、私もまたここに必ず帰ってきます。その日が心から待ち遠しいです。皆さん、今日は本当にありがとう」

幸せな気持ちに満たされながら、私は「うみべの文庫」を後にしました。

絵本で結ばれた人々は、誰もが心から笑っていました。

桜の花が咲き、塩竈の街にツバメが訪れる来年の春。
再開したうみべの文庫を、また再びご紹介する予定です。


(取材日 平成26年11月22日)