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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年11月12日水曜日

2014年11月12日水曜日8:00
石野葉穂香です。

10月20日、津波をかぶってしまった農地の復旧工事が進められている東松島市の野蒜(のびる)地区で、今夏、播種されたソバの収穫が行われました。

花が枯れたあとに、濃茶色に実ったソバの実
コンバインの音が、荒野になってしまった野蒜の大地に力強くとどろきます
同地区では「営農再開実証プロジェクト」が着々と進行中。
塩害が農作物の生育に及ぼす影響などを調査して、農地復旧工事と、そして平成28年春の再開を期す同地区の営農に役立てようというものです。



ソバの播種は、8月22日に行われたものでした。
その時の模様は、「ココロプレス」にリンクしている
「『宮城から感謝を込めて 2014』 ~東松島市 営農再開実証プロジェクト~」
を、ぜひご覧ください。
https://sites.google.com/site/kanshamiyagi2/home/higashimatsushima

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東松島市の南西域。今は運休していますが、JR仙石線の東名(とうな)駅や、野蒜駅の南側に、宮戸島へ向かって広がる小さな平野状の半島があります。
ここが野蒜地区です。

藩政時代には塩田も開かれていた海抜0m地帯でしたが、昭和30年代半ば、国の干拓事業によって大きな農地が拓かれました。
東日本大震災の前には、海明かりに実りの色が映え渡る美しい農地でした。

しかし、大津波が、農地、家屋、鉄路・・・。何もかもをのみ込んでしまい、ガレキや漂着物を取り去ったあとも、水位約1mほどの海水が、ここに残り続けたのでした。

地区には、宮戸干拓野蒜生産組合、長浜耕地組合、東浦耕地組合、州崎亀岡耕地組合という4つの生産者組合があり、約200名の方が加入されています。

8月22日に行われたソバ播種のときのスナップです
田畑は変わり果ててしまいました。さらには、農具も自宅も失った・・・という方も少なくありませんでしたが、
「なに、もともとここは塩田だったんだ。オレたちはそこを拓いてきたんだ」
「おお、もう一度、ここサ田んぼも畑もつくってやっぺ!」
代替わりしている方も少なくありませんでしたが、父祖たちから受け継がれた開拓者魂に火が付いたのでした。

「もう一度、実り豊かな大地へ――」
こうして、県と市とJA、そして農家の挑戦がスタートしたのでした。

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今春、「奥松島地域 営農再開実施プロジェクト」は、2カ所の農地をここに仮整備。除塩回数を違えた圃場で、6月下旬に水稲を、8月22日に、ソバと小松菜を作付けしました。

こちらも8月22日撮影の水稲。
ヒトメボレです。
稲刈りは10月上旬に行われ、収量も作柄も良好でした
その8月22日、宮戸干拓野蒜生産組合の菅野蕃(しげる)さんは、出穂したばかりの青稲を群れを眺めながら
「試験とはいえ3年以上も海水に浸かっていた土地で田植機のエンジン音を聞いた時は、本当に感動的でした」とお話しくださいました。


そして10月20日、再び菅野さんにお会いしました。

菅野蕃さん。
野蒜で農業を続けて50年超です。
「この農地が復活したら、あとはもう若い連中に任せて、
自分は〝縁の下の力持ち〟に徹します(笑)」
――ソバの出来はどうでしょうか?
「思っていたよりはいいと思いますよ。でも、やっぱり除塩0回、1回、2回・・・の3区画で、やっぱり違うもんだね」(菅野さん)

除塩0回のところはほぼ全滅でした。


でも、1回のところは3分、2回のところは7分ほどの出来でした。




そして、コンバインで収穫後の袋を持たせていただきましたが・・・。
除塩1回の区画の収量はざっと10㎏、除塩2回の区画は約50㎏でした(正確に計ったわけではありませんが)。
除塩0回の畑は刈り入れを行いませんでした。

ソバを作付けしたのは3区画、約37アールでした。
ソバはだいたい10アールで60㎏~70㎏と言われているので、除塩2回の区画での収量はまあまあでしょうか?

「9月に収穫した小松菜は美味しかったよ(笑)。稲刈りは10月の初めにやって、まだ味見はしてないけど、でも出来はよかった。今日のソバも乾燥させて、挽いて・・・、来月後半頃には米、ソバ、野菜、宮戸の試験田のイモとか牡蠣とか、野蒜のうまいもン集めて〝報告会〟やりたいっちゃね(笑)」(菅野さん)

JAいしのまき、宮城県東部振興事務所の皆さんも
この日の刈り入れを見届けました
記者は、土のことなんて、よく分かりません。
でも、この日来られていた宮城県東部振興事務所の皆さん、JAいしのまきのスタッフの方々、そして菅野さんたちの笑顔を見ていて、「きっと大丈夫なんだー」。
――そう思いました。

収穫されたソバの実。
このあと乾燥し、〝収穫報告会〟で
皆さんに振る舞われる予定です
この日は刈り入れ後のソバ畑の隣に大麦を播種しました。収穫は来春です。
この試験田では、来年は麦、ソバとともに転作奨励作物となっている大豆も試すそうです。

再来年、2016年春には、いよいよ本格的な営農が再開されます。

黄金色の稲穂や麦穂、真っ白なソバの花、濃緑の大豆の葉影――.。
作物はもちろん、農地復旧に携わる皆さんの努力も、寄せていただいた全国の皆さんの応援や支援も・・・・・・。

野蒜の南、宮戸地区にある「大高森」から見た奥松島西側の眺め
(8月22日撮影)

たくさんの〝実りの色〟が、奥松島の風に揺すれて輝き渡る日まで、もう少しです。

(取材日 平成26年10月20日)