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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年10月23日木曜日

2014年10月23日木曜日8:00
石野葉穂香です。

9月29日の月曜日、東松島市鳴瀬地区にある鳴瀬桜華小学校で、3年生の「総合的な学習の時間」を利用した「落語の授業」がありました。

講師となってくださったのは、その前日、東松島市矢本の「蔵しっくぱーく」で行われた「蔵っぱ寄席 上方・江戸落語ききくらべ かい枝・兼好二人会」と、塩竃市の「海商の家 亀井邸」で開催された「第二回亀井邸寄席 錦秋落語会in塩竈」にも出演してくださった、上方落語の桂かい枝師匠、そして江戸落語の三遊亭兼好師匠です。

落語会について事前に告知させていただいた記事はこちらです。


2014年9月22日月曜日
『心から笑えるその日まで~「錦秋落語会in塩竈」のお知らせ』
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/09/blog-post_22.html

鳴瀬桜華小学校での「落語の授業」は、昨年に引き続き2回目。
かい枝師匠は、昨年も訪問してくださいました。

「どんなお噺が聞けるのかな? 子どもたちはワクワク、そわそわ
給食が終わった1時40分、3年生の子どもたち34人は、寄席の高座を設えた体育館前の仮設棟に移動。
これからどんな授業があるの? 落語って初めてだけど、どんなのだろう・・・?
だれもが想像できないふうに、そわそわ・・・。

ところが――。
「授業」が始まると、子どもたちはもう大爆笑の連続。
「これって授業なの?」というぐらい、楽しい時間を過ごしたのでした。

トップバッターは桂かい枝師匠。
「演目は、高座に上がってから、子どもたちの顔を見てから決めます」とおっしゃっていた師匠が選んだのは「初天神」。

「おとっつぁん、今日はオイラあれ買ってくれーこれ買ってくれーって、おねだりしないでいい子でしょ?」
「ん? ああ、いい子だよ」
「ねっ、いい子でしょ。ごほうびに何か買っておくれよ!」
天満宮へのお参りに出掛けた父子。子どもに振り回されるおとっつぁん。

テンポのいい父子のやりとりの様子に、こどもたちはあっという間に〝落語の世界〟に引き込まれてしまったのでした。

桂かい枝師匠の熱演。
もしかしたら、初めて生の関西弁を聞いたという子も
いたかもしれません
続いては三遊亭兼好師匠。
兼好師匠は会津若松のご出身です。宮城の子どもたちは、もう弟や妹みたいなもの。
まず、うどん、お蕎麦、ラーメンの食べ方の違いや、歩く、走る、さらには男性、女性、おじいさん、おばあさん、子どもなどの仕草の違いなど、落語についての解説をしてくださいました。

そして演目は「つる」。

「唐土(もろこし)から飛んできた鳥。オスが『つー』っと、雌が『るー』っと飛んできたから『つる』になったんだ」と、ご隠居から聞かされた男。さっそくその話を友人に披露したのですが「オスが『つるー』と飛んできて、メスは・・・」と行き詰まって失敗。
もう一度、ご隠居に聞き直し、再度、友人に話すのですが、今度は「オスが『つー』っと飛んできて松の枝に『る』っと止まった。メスは・・・」と言ってしまい、またまた失敗するというお話です。

「つー」「るー」と演じる師匠の仕草もおかしくて、子どもたちは文字通り転げ回って大笑い。

三遊亭兼好師匠。
ひとりで何役も、さまざまな場面を演じてみせてくれて
子どもたちも「すげー」と納得
再びかい枝師匠が高座に上がり、てぬぐいや扇子の使い方を教えてくださり、続いて『平林(ひらばやし)』というお話しを披露。

そして落語体験の時間。
手を挙げて指名され、高座に上がった子に、ふたりの師匠が〝手紙を書く、鼻をかむ、うどんを食べる・・・〟といった、さまざまな仕草を教えてくれたのでした。






子どもたちを高座に招いての落語指南。
落語は想像力です。どんなふうに演じれば
どんなふうに伝わるか、分かってもらえるか
面白がってもらえるか・・・
コミュニケーションの力を学ぶこともできます






落語ももちろん面白かったのですが、子どもたちが笑い転げている姿が面白くておかしくて、取材していた記者は、彼ら以上に笑ってしまいました。

鳴瀬桜華小学校での〝落語の授業〟を企画・実行してくださったのは神奈川県の古橋直子さんです。

「震災後、何かできないかなと宮城に赴き、偶然ご縁ができたのが東松島の介護施設「すみちゃんの家」でした。でも、その後、体調を崩し、ボランティアどころか自分のこともままならず後ろ向きな日々を過ごしていた時、なんとなく行ってみた落語会が本当に楽しくて(笑)、もっと聞きたいと出掛けて行っては笑い、すっかり落語の虜になったのです」(古橋さん)

学校での落語の授業だけでなく、塩竈市、東松島市内での落語会も、もちろん古橋さんの企画です。

「笑うと免疫力が上がり、体にいいと後で知りました。この楽しい時間を東北にも届けられたら…。東北ではなじみが薄いようですが、必ず楽しんでもらえるはずと思い、昨年「すみちゃんの家」の方に相談したのが始まりです。
『楽しかった』『また来てほしい』とのお声を頂き、今年は第2回目。
ご来場・ご協力いただいた皆様、師匠方のおかげで今回も大好評でした」(古橋さん)

古橋さんが東松島で知り合ったNPO法人「のんび~り すみちゃんの家」の
伊藤寿美子さん(右から2人目)と、ご主人で所長の伊藤幸男さん
--笑うって、すごく大事なことかも。

「落語会では老若男女すべての人が一緒に楽しい時間を共有できます。
師匠方は、さまざまな場の雰囲気を直に掴み取って、100を超える持ちネタの中から、即座に最適な話を選び、熱演くださいました。
前回、先生方は「子どもに伝統芸能? 難しすぎて寝てしまうかも・・・?」と心配されたようですが、私の姪も落語が大好きなので、私は子どもたちにこそ、ぜひ落語を、と思っていました。
すると、やっぱり子どもたちは全身で大笑い。今年は先生方もノリノリで、子どもたちと一緒に落語を楽しみました。子どもたちの明るい声はみんなを幸せな気分にしてくれます」

--これからもまた?

「笑う門には福来る。今後も東北に福を運べたら、と思います」

鳴瀬桜華小学校3年生35人の皆さん。たくさん笑って、もっともとっと楽しい子ども時代を過ごしてください
--かい枝師匠は、2度目の落語会、どんなふうに感じられたでしょうか?

「去年はまだ〝笑わないと落語家さんに悪いかな〟みたいな感じで、皆さんちょっと無理をされてたふうにも思いました。でも、今年は、心底楽しんでいただいている。そう感じられました。皆さんが心から笑える日まで、落語会は続けていきたいと思っています」

--学校での「落語の授業」はどうでしたか?

「子どもたちが、みんな素直で、ええ子ばっかしでした」(かい枝師匠)
「すごく笑ってくれたので、やっていて気持ちよかったです」(兼好師匠)
「ネタの中で『ほれ、あれ見てみい』とか言うと、皆がほんとにそっち見たり(笑)」(かい枝師匠)
「笑うところが大人とちょっと違ったりして。でも、そういう反応も楽しいですね」(兼好師匠)

三遊亭兼好師匠(左)と桂かい枝師匠。
楽しい時間をありがとうございました
かい枝師匠に「素直で元気で明るい!」と言ってもらえた鳴瀬桜華小学校の子どもたち。
子どもたちの元気な声、笑った顔・・・は、大人たちをも勇気づけてくれるんですよね。
だから、もっともっと元気になってほしいなって思いました。

床の上を笑い転げって大喜びだった子どもたちの様子を見て、こちらまで明るくうれしい気持ちになれた取材でした。

落語って、スゴイ!

(取材日 平成26年9月29日)