header

宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

ヘッダー写真説明文

写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年7月30日水曜日

2014年7月30日水曜日10:48
こんにちは エムです。

先日の新聞に、宮城・福島・岩手3県の仮設住宅での「孤独死」は、震災後から今年の4月末現在で112人に上る。という記事が掲載されていました。
県別では宮城県が最も多い51人です。
もしそばに、そっと寄り添い、話を聴いてくれる人がいたら、もしかしたら「孤独死」は防げたかもしれません。

人は語ることによって心が軽くなり、誰かに話を聴いてもらうことで気持ちが整理でき、自立的な判断ができるようになるとも言われています。

「NPO法人仙台傾聴の会」では、話を聴く「傾聴ボランティア」を通して、特に東日本大震災後は被災者の心のケアに積極的に取り組んできました。

「傾聴」は誰にでも出来るボランティアです

東日本大震災後、宮城県医師会から依頼を受けた「仙台傾聴の会(当時)は、発生から約2週間後の3月23日から4月15日にかけ、仙台市、名取市、岩沼市に設けられた避難所、10カ所に出向きました。延べ200人のスタッフが、合計で約550人の被災体験を聴きました。

しかし、想像を絶する体験や大きな苦しみや悲しみを持つ方々を前に、「私はいったい何ができるんだろう」と戸惑う気持ちがあったと「仙台傾聴の会」代表の森山英子さんは当時を振り返って言います。

「私たちにできるのは、ただただ寄り添うこと。その人の思いを受け止めて、同じ時間を共有すること。
それしかできないとしても、それは大切なことではないかと思いました。それも傾聴だから……と自分に言い聞かせて傾聴活動をしていました」


初めは声を掛けても何かの宗教かと疑われたり、「話を聴くボランティアはいらない」と断られたこともあったそうですが、「傾聴」の意味を丁寧に説明し、同じ避難所に同じスタッフが通うことで信頼が得られるようになり、少しづつ話してくれる人が増えたのだそうです。

現在は宮城県内の仮設住宅やみなし仮設住宅などで、毎月17回の「傾聴茶話会」を開催しています。また、仙台市、名取市、岩沼市では個別にじっくり話を聴く「傾聴サロン」の活動も行っています。

その他、定期的な高齢者福祉施設への訪問や、子育て支援の場や病院、個人宅など、希望に応じてボランティア派遣を行っています。


傾聴とは、相手の話をありのままに受け止め、否定せず、しかも自分の意見を押し付けたりせずに話に耳を傾け、『聞く』ではなく、心に寄り添い親身になって『聴く』こと。

人間には2つの耳と1つの口がありますがそれは「2つの耳でより多くを聴き、1つしかない口から出す言葉は少なくするべき」そう教えていると言われています。

『傾聴』は人間関係の基本です。人の話が聴ければ、家庭、学校、職場など、あらゆる場所で人間関係は変わってきます」

そう語るのは「NPO法人仙台傾聴の会」代表の森山英子さん。

「NPO法人仙台傾聴の会」代表、認定心理士の森山英子さん

「NPO法人仙台傾聴の会」は今年6月現在、会員数227人、賛助会員74人が在籍しています。
会員は、仙台北支部、仙台中支部、仙台南支部、名取支部、岩沼支部に分かれ、広く活動してしています。

森山さんが「仙台傾聴の会」(当時、以下「傾聴の会」)を立ち上げたのは今から6年前の平成20年4月でした。

子育てや家族のことが一段落した森山さんは、何か勉強を始めたくて、50歳を過ぎてから東北福祉大学の通信教育で福祉心理学を学びました。
4年で卒業後、世の中のために自分に何かできることがないかと模索していた時、「傾聴講座」に足を運んだのがきっかけとなり、「傾聴」がこれから社会に求められると森山さんは感じました。そして早速、そこに集まっていた数名の仲間とともに「傾聴の会」を立ち上げたのだそうです。

「傾聴」は、心につらさを抱える人や、高齢者の心のケアに有効なものであり、スキルを学べば誰にでもできるものとして、当時でも首都圏ではすでに認知されていたそうですが、仙台ではまだまだ浸透してない頃でした。
森山さんは高齢者の介護施設やデイケア施設などを回って説明し、受け入れてくれる先を開拓していきました。
そうした地道な働き掛けが奏し、また理解してくれる人も現れ、発足当初は4カ所で受け入れの許可を得ることができました。

「傾聴」をした施設のスタッフからは、「終わった後は入所している方の落ち着きが違う」などの感想が寄せられ、「傾聴」の重要性とともに「傾聴の会」は少しづつ認知され、その活動範囲を拡大してきました。


森山さんが「傾聴の会」を立ち上げたのには、もう1つのきっかけがありました。

「私は日本の自死の数に、ずっと心を痛めていました。平成24年までは毎年3万人を超えていたのです。
平成25年からはようやく3万人を割り、2万7千人に減りましたが、交通事故の実に7倍もの人が亡くなっている現状があります。

多くの人が『傾聴』を学び、相手のためになろうと考える人たちが増えていったならば、自死という選択から守れる命があるのではないかと考えています。

『傾聴』が普及することによって、普通の人たち同士、みんなで支えあう本当に良い社会が作れると思うのです」


「震災から3年が過ぎて、今までやってきた電話相談などをやめたり、ボランティアを縮小したりする団体もあるようですが、『仙台傾聴の会』は縮小はしません。
まだ仮設住宅に残っている人がいますし、その方々は “取り残され感” を持っています。そのような方がいる限り、私たちは今まで通りずっと活動し続けます」

大災害や事件、人間関係などで受けた心の傷は目に見えません。震災関連の自死や孤独死は社会的な問題になっています。
特に子どもたちの精神的苦痛は3年〜5年かかって出てくると言われています。子どもたちを救うには、まず親のメンタルヘルスを保つのが重要なのだそうです。
そういった視点からも「傾聴」はこれからますます必要とされる重要な支援活動になるでしょう。

絵手紙は全て奈良県在住 高井さんによるもの。
今まで1,000枚以上も送付してくださいました。
「正直に生きていると天が応援してくれる」
「流した涙の量くらい幸せつかんでくださいね」
など温かなメッセージの入った絵手紙は被災地の皆さんに手渡されています

しかし、森山さんがこの活動を通して1番良かったと思うのは、自分のためになったことだと言います。

「『傾聴』を学び、多くの人の話を聴くことは、いろんな人生を知り、いろんなものの捉え方、考え方を知ること。その先には[心の幅が広がる][自分が成長する][知らないことを学べる]などのメリットがあります」

それは今までの自分を見つめ直し、自分の考えや感情を分析して考えることができるようになることでもあります。そういうことができるようになって初めて “気付き” が得られ、 “気付き” があれば人生は変わり、1人の人間として成長でき、別の展開があるのだと教えられたそうです。

「前の私は何も知らなかった。もし傾聴を学んでいなければ、ずっとあのままだったんだな……と思います。知らないことを学ぶというのは、自分自身のためであり、自分の財産になっていきますね」

固定の場所(サロン)があって、いつでも、誰が来てもそこに行けば話ができる。
そんな場所が確保できたら良いな……と考えています

「仙台傾聴の会」では、傾聴ボランティアとして派遣できる正会員を育成するため、毎年2回(6・11月)「傾聴ボランティア養成講座」を開催しています。

その様子は7月4日の記事「心に寄りそう傾聴ボランティア」をご覧ください。
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/07/blog-post_4.html

東日本大震災をきっかに「誰かの役に立ちたい」と考える人は増えています。
この「傾聴ボランティア養成講座」も開催するたびに人気が高く、わずかな期間で定員になってしまうのだそうです。

「傾聴ボランティア養成講座」(撮影:平成26年6月15日)

しかし森山さんは、もっともっとたくさんの人にこのボランティアに参加してほしいと思っています。

なぜなら、大きな災害が起こると交通手段が限られるので、助けが必要な方のところには徒歩や自転車で行くしかありません。そのためには、近所に住む地元のボランティアが必要だと感じたからだそうです。
また、話を聴くうえでも、地元の地理を把握してしている人、地元の言葉を理解できる人の方が望ましいことも分かりました。

傾聴ボランティアは何歳になってもできるボランティアです。特に人生経験の豊富な中高年の方に参加していただきたいのです。

それは誰かのためというより、自分のためになることなのです。自分が誰かの役に立ってると思えることで自己肯定感が生まれて、生きる張り合いや力になり、認知症などの予防になると思います」

「傾聴ボランティア養成講座」(撮影:平成26年6月15日)

「仙台傾聴の会」には20代〜80代まで、幅広い年代の方が正会員となっています。
確かに、私が取材でお会いした方は皆さん、年齢をお聞きするとビックリするほどお元気で、魅力的な方ばかりでした。

これからますます必要とされる「傾聴ボランティア」。
そのスキルを身に付けることは、自分自身に感じている “心の限界” のようなものを広げるのではと、森山さんのお話を聴いて感じました。

「人のためというより自分の成長のために」。この言葉が強く印象に残った取材でした。

☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆

「NPO法人仙台傾聴の会」の活動
傾聴ボランティア派遣(個人宅、高齢者施設、仮設住宅等)
傾聴茶話会(予約不要)
  宮城県内の仮設住宅やみなし仮設住宅などで毎月17回開催
★ 傾聴茶話会・仙台市(予約不要/毎月第1月曜日10:30〜12:00)
  仙台市市民活動サポートセンター(仮設住宅、みなし仮設者、一般、どなたでも)
  ※ 都合により日時が変更になる場合があります。
傾聴サロン(対面相談:予約制) ※ お問い合わせ・申し込み先/090-6253-5640
  仙台市/第1土曜日・仙台市福祉プラザ
  名取市/第3日曜日・名取市市民活動支援センター
  岩沼市/第3水曜日・岩沼市役所総合福祉センター( i あいプラザ)

名取市市民活動支援センター(撮影:平成26年7月20日)
電話相談(毎週火・木・土 9:00〜17:00)
  080-3199-4481
傾聴ボランティア養成講座
  仙台市福祉プラザ(6月、11月:年2回開催/定員30名:要予約)
  ※ 山元町、七ヶ浜町、白石市、登米市、富谷町でも開催しています。
    養成講座についてのお問い合わせなど詳しくは下記のブログを参照ください。

☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆

★ 賛助会員のお願い
  この活動に共感、賛同していただける方のご支援をお願いいたします。(何口でも可)
 ・個人:一口2,000円/年
 ・団体:一口5,000円/年

奈良県在住 高井さん作プレート
振込先:
 七十七銀行 杜せきのした支店 普通 
 口座番号:9007172
 名義:NPO法人仙台傾聴の会

★ 正会員(養成講座を終了した方)
  会費:3,000円/年

お問い合わせなど、詳しくはブログを参照ください。
http://blog.canpan.info/morimori/

(取材日 平成26年6月25日)