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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年7月25日金曜日

2014年7月25日金曜日10:24
kaiiです。
気仙沼市東中才で、配食サービスをする会社「気仙沼給食センター」を経営する生駒和彦さんは、東日本大震災発生直後から避難所に「いのちのおむすび」を届けていました。


2014年7月23日 水曜日
困っている人がいれば行動するのが当たり前[前編](気仙沼市)
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/07/blog-post_23.html


生駒さんご自身も、東日本大震災の津波火災で自宅を失いました。
震災後数日して自宅の跡へ行ってみると、何も残っていませんでした。その光景に奥さんと立ち尽くし、もう二度とこの場所には来ないと決めました。
生駒さんは震災後、難を逃れた工場の事務所で寝起きしながら、約40日の間、奥さんと家族、近所の人、知人、友人、避難していた人たち、ボランティアの協力を得ながら、地域の住民や避難所に避難している人たちのために炊き出しを続けました。

震災後、停電と断水が続いたため、地域の人たちが「給食センターで炊き出しをしているよ」と聞きつけ、生駒さんの工場の前に長い行列をつくりました。




震災後、炊き出しが行われた駐車場

生駒さんは多くの人たちの手助けを得ながら、冷蔵庫の中の備蓄品や友人、知人などが届けてくれる食材を使って炊き出しを続けました。

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震災から40日ほどが過ぎた4月中旬ごろ。
工場の近くのお寺「浄念寺」に俳優の渡辺謙さんと奥さんの南果歩さんが、被災者の慰問に訪れました。
「渡辺謙さんがお寺に来ているよ」という声に促されて、生駒さんもお寺まで渡辺さんに会いに行きました。
しばらく、被災者に声をかけて廻る渡辺謙さんの姿を眺めていました。渡辺謙さんが傍に近づいて来て生駒さんにも声を掛けてくれました。
その瞬間、震災の日から心に秘めてきた思いが溢れ、生駒さんは渡辺謙さんに抱きついて大きな声で泣きました。
生駒さんは「その時、自分もしんどいのに頑張ってきたことに気がついた」と話します。
渡辺謙さんに会えたことで心に秘めてきた思いを発散し「前に進むこと」ができたと感謝しています。

「渡辺謙さんに会った時のことは忘れられない。いまでもあの時、渡辺謙さんに会えてよかったと思っているし、またいつか会えたらあの日のお礼を言いたいと思っています」と生駒さんは写真を見ながら話していました。

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生駒さんは平成23年4月末からみなし仮設で家族との生活を始めました。

時を同じくして生駒さんの経営する「気仙沼給食センター」も仮設住宅などの工事現場への配食の注文が増えました。
しかし、震災からまだ2カ月ほどしか経っていない状況で、食材も容器もなかなか揃いませんでした。
地元の多くの同業者が被災し、配食ができない状況でした。
生駒さんは、震災後、一時、休んでもらっていたパート従業員に工場に戻ってもらいました。そしてさまざまな工夫をしてできるだけ注文に応じ、お客さんにお弁当を届けました。
平成23年秋ごろになると、復旧した地元の工場などから少しずつ注文再開の連絡が入るようになりました。それでも地元の会社からの注文数は震災前とは比べられないほど減ったといいます。

震災後、困っている人たちのために一生懸命炊き出しをしてきた生駒和彦さん
「ウマい!お弁当」を配達しています
(写真提供:生駒和彦さん)


「今は、気仙沼に来て工事現場で働いている人たちからの注文が主です。この現状も今はしかたないと思っています」
「自分自身の仕事を通じて『気仙沼の復旧と復興の一助になっていると感じています』」

「震災後に新たに需要が増えているのが、高齢の親に毎日お弁当を届けてほしいという、気仙沼を離れ遠方に住む子どもからの注文です。配達の際に親の安否確認もしてもらえると、注文が増えています」

ごはんは宮城県産「ひとめぼれ」!
気仙沼給食センター!イチオシの「日替わり弁当」
(写真提供:生駒和彦さん)

また、イベントの時や仮設住宅から引き合いが多いのが,気仙沼の食材を中心に作っている「おもてなしのこころ弁当(おもころ弁当)」です。

生駒さんがたくさんの人の支援に感謝の気持ちをこめて考案した。
人気のおもてなしのこころ弁当.
多くの引き合いのある人気商品です
(写真提供:生駒和彦さん)

仮設住宅に住む高齢者などに重宝されています。

「人手不足でなかなかたいへんですが、注文にはできるだけ応えるようにしています。実際、配達時に高齢者の不調を担当者が見つけたケースもあり、ご家族に感謝されました。これから高齢者の単身世帯や老人だけの家庭も増えると思います。そのような人たちのためになる仕事をしていきたいと考えています」と生駒さんは話します。

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「さまざまなニーズに応えていくために、なんとか人手不足を解消したいです。求人を出しても人が集まらず、いただいた注文を断らなくてはならないケースがあります。午前中の短い時間の仕事ですが、お料理が好きな人に是非働きに来てほしい」と話します。

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震災後、辛い中で誰かのために一生懸命働いていた人も、多くの場合が被災者です。
私たちは、つい自分を中心に物事を考えてしまいますが、私たちは本当に多くの人の支援の「おかげさま」で今日まで生きてきました。

「辛い」「疲れた」そんな思いを話せる相手が必要な人もまだまだ多くいます。
生駒さんの「辛い」「疲れた」。その気持ちを受け止めてくれた渡辺謙さん。
渡辺謙さんに自分の気持ちを話してまた前に進むことができた生駒さん。
人の出会いは不思議だと感じます。
生駒さんは「家族の支えや自分の周りの多くの人の支えがなかったら、長い間、炊き出しを続けることはできなかった」とその時を振り返ります。

たくさんの人に「生きる勇気といのちのおむすび」を届けてくれた生駒さんが、渡辺謙さんと再会できる日を心から願っています。


(取材日 平成26年6月23日)