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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年7月17日木曜日

2014年7月17日木曜日23:45
津波の被害が大きかった亘理町の沿岸部(写真提供:亘理町社会福祉協議会)
ザーリャです
震災から3年と5カ月。被災地では災害公営住宅の建設が進んでいます。

宮城県によれば、災害公営住宅の事業着手は11,173戸(21市町、178地区)、そのうち完了したものが
1,361戸(10市町、28地区)となっています。(平成26年5月末時点)

新しく生まれるまちに、新しく生まれるコミュニティ。それをいかにつくりあげていくのか。
被災地全体が抱える課題です。

宮城県社会福祉協議会では、亘理町と気仙沼市をモデル地域に、新しいコミュニティづくりの
支援を始めています。その取り組みについては、ココロプレスでも紹介しました。

『ともに助け合う風土』をつくればいい~宮城県社会福祉協議会~(仙台市、気仙沼市、亘理町)

今回はその続報をお伝えします。

6月に入り、モデル地域である亘理町では、移転受け入れ先の住民と関係機関による初めての「座談会」が開かれました。

本格的に動き出した、亘理町でのコミュニティ支援活動について、宮城県社会福祉協議会・震災復興支援局の大和田学・主任主査にお話をお伺いしました。

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宮城県の亘理町は、宮城県南部の太平洋沿岸、阿武隈川の河口に位置する人口約34,000人の町です。温暖な気候を利用した果樹や花卉栽培が盛んで、特に特産品のイチゴは「東北一の産地」として有名です。

[東北一のいちご産地」が本格復活」(ココロプレス 2014/5/5)]

しかしその亘理町も、津波によって町面積の約48%(35k㎡)が浸水・破壊され、死者行方不明者が306人に上る極めて
甚大な被害を受けました。
震災によって亘理町の100年分に相当する瓦礫が残された
2012年3月の様子(写真提供:亘理町社会福祉協議会)



「一歩を踏み出さなければ進むことはできません。でも一歩を踏み出せたのなら、二歩目も出せるかもしれない。その一歩目になったと感じています」

亘理町で初めて開かれた「座談会」の印象を、大和田さんはそう振り返ります。

宮城県社会福祉協議会(以下、県社協)がモデル地区を設定して行うコミュニティ支援事業。そのひとつである亘理町を担当するのが大和田さんです。大和田さんは震災翌年から2年間、亘理町社会福祉協議会(以下、亘理町社協)に派遣され、地元の社協の皆さんとともに、現地での社会福祉活動に従事してきました。

亘理ささえあいセンター「ほっと」ホームページ

「震災後に亘理町との関わりができたのは、その派遣がきっかけです。亘理町社協のスタッフのひとりとして仕事をしながら、またその一方で、県社協の職員として調整やコーディネートも行いました」

大和田さんはその現地での2年間に、復旧から復興へと向かう亘理町の姿を、みずからの目でつぶさに見てきました。平成26年度からは仙台の県社協への勤務に戻りましたが、引き続き亘理町の担当職員として、定例会議への出席や、相談事などで、頻繁に亘理町へ赴きます。

電話やメールではなく、「現地へ足を運び、現場の話を聞く」ように、大和田さんは心がけます。

受け入れ先での初めての座談会
今回の座談会はが開かれたのは、亘理町の荒浜地区。亘理町の最初の災害公営住宅として、100戸の集合住宅の建設が進んでいます。今年の9月に竣工し、一斉に入居が始まる予定です。

亘理町の災害公営住宅では、入居を希望する方々が、同じ行政区内の災害公営住宅に入居します。とはいえ、入居は応募・抽選という形を取るため、公営住宅にはまったく新しいコミュニティができることになります。また同じように、受け入れ先地域との関係づくりも、ゼロからのスタートです。

「住民の皆さんの不安を、ひとつひとつ解消していきたい」
そう語る大和田学さん

今回の座談会には、区長や民生委員、婦人会といった、受け入れ先を代表する方々が出席しました。

「まずは『スタート』に対する不安が多かったですね」
大和田さんは座談会を振り返って、そう話しました。

入居する皆さんと、受け入れ先の皆さんとは、お互いに、まだ顔を合わせたこともありません。それを支援する行政や社協にとっても初めてのケースです。大和田さんは「お互いが不安を持っているのは当然なこと」だと言います。

「その不安をひとつひとつを解消するために、どのようなステップが必要なのか。住民の皆さんと一緒にその方法を考えることが、話し合いの目的です」

話し合いは「ざっくばらんに」に行われましたと言います。受け入れ先の皆さんの今の心境は、どのようなものだったのでしょうか。

「住民の皆さんにとっては、まだ、『実感がない』というお話もありました。実際にはまだ建物も完成していませんし、入居する方々の『顔』も見えません。もう少し段階を踏まないと、具体的な問題も見えてこないかもしれません」
大和田さんは、そう話します。

建設が進む高層階の災害公営住宅
(仙台市通町復興公営住宅)

今回の座談会では、住民の皆さんからの要望も提案されました。それらの提案は検討課題として関係機関が持ち帰り、現在協議を重ねています。

大和田さんは「受け入れ先の皆さんには、ひとつでも不安が減る中で、入居者の方々を受け入れてほしい」と語ります。
座談会の終了後には、参加者から「町もいろいろな事を考えてくれているのがわかった」という感想が寄せられました。

「今後は入居する方々に対しても、このような座談会が開かれて行きます。『お互いに不安があるんだよ』という事を、お互いが認識してスタートできればと思っています」

「組織ができたら、それで終わり」ではない
震災後、被災地での県社協や地域社協の取り組みが、取り分けて注目されています。しかし、大和田さんは次のように話します。

「私たちが支援を行っているのは、それが『災害公営住宅の問題』だからではありません。亘理に住む町民の皆さんにとって、『誰もが住みやすい地域づくり』を形にするためなのです」

だから、「今回の支援は、特段のものではない」と大和田さんは言います。

「求められているのは『誰もが身近な地域で安心していきいきと暮らせる地域づくり』です。だから、災害公営住宅を取り巻く組織ができれば、『それで終わり』ではありません。その先を見据えることが大切です」
大和田さんはそう考えます。

「災害公営住宅の入居後には、その時々の課題が見えてくるでしょう。皆さんとともに歩きながら、私たちも何ができるのかを考え続けていきます」

本格的な支援が始まるのは、これからです。

「皆さんに、『社協と一緒にやれば大丈夫』という安心感を持っていいただける。そんな存在になれればと思っています」

大和田さんはそう言葉を結びました。


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大和田さんによれば、次回の座談会については現在日程と内容の検討をしているそうです。
宮城県社会福祉協議会の地域支援の取り組みについては、引き続きお伝えしていきます。

(取材日 平成26年6月25日)