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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年6月19日木曜日

2014年6月19日木曜日17:28
石野葉穂香です。

水産業が元気を取り戻しつつある宮城県の海辺で、今、街と地域の未来を見据え、新しい浜の暮らしを創り出そうと頑張っている若き漁師たちを紹介するシリーズ。

今回は第2回目。南三陸町歌津泊浜の漁家・高橋直哉さんを紹介します。

なおPart1はこちらです。

豊かな森と海を守る、浜の日本男児(南三陸町伊里前)
2014年5月19日 月曜日
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/05/blog-post_5197.html

高橋直哉さん。背後の砂浜は長須賀海岸です

直哉さんのご自宅と作業場は、歌津の長須賀海岸のすぐそばにあります。
「歌津」という地名の発祥由来は、アイヌ語で〝白い砂浜がある場所〟という「オタエツ」が語源という説と、そして霊峰・田束山から見て東南(卯辰=うたつ)の方角に開けた集落だから、という二説が有力です。

〝白い砂浜がある場所〟とは、まさに全町約2㎞にわたって砂浜が続く長須賀海岸のことです。でも、東日本大震災では護岸などが傷つけられ、さらに地盤沈下もあって、砂浜の相当部分が失われてしまいました。
でも、昨夏、地元の子どもたちや大人たち、そして世界中から訪れてくださったボランティアの皆さんが「長須賀海水浴場復活大作戦!」という清掃と復旧活動を展開。長さ約150mほどの砂浜が海水浴場として復活したのでした。

「子ども海広場OPEN! そしてさらなる〝つながり〟の予感」
http://kokoropress.blogspot.jp/2013/07/blog-post_23.html


直哉さんは、泊浜漁港をホームとして、ホタテとカキとワカメを養殖、販売しています。
「ワカメは8割ぐらい復活しました。カキは5割、ホタテは2~3割ぐらいかな。ホタテは垂下式といって、長いロープに吊して海に沈めます。深さが必要。それに水温が低くないとダメ。20度以下の水で育つんです」

直哉さんは、まだ仮設だという作業場で、家業について話してくださいました。
その頭上を、作業場内の蛍光灯の笠に営巣したツバメが飛び交います。
ツバメが巣を作る家は繁栄する、とも言われています。

直哉さんのところでは、通年でホタテを、2月~5月はワカメを、12月~1月はカキを育て、出荷していました。
カキは今、歌津である程度大きく育てたあと、北海道へ送り、北海道産として出荷されているのだとか。
「でも、ホタテについては、今年から直販で出せるようになりました。殻付きです。鮮度を活かして出荷してます」


ワカメの品質等級は地区に対して与えられます。
歌津地区は震災前からずーっと「第一等」。
つまり、収穫された時点で、歌津産ワカメは第一等として扱われ、
市場で取引されるのです

ホタテは出荷の前に、ホタテカッターという機械で磨いたあと、もう一度、海に戻します。そうして元気を回復させたホタテを、朝、鮮度バツグンの状態で出荷させるのです。

「昔は午前1時に海に出て水揚げしてから磨いていたけれど、今は出荷10分の水揚げでOK。時間が短縮できる上に、思い切り鮮度のいいものが出せるんです」


3.11のあの日、直哉さんは、午前中は浜で仕事をして、午後は息子さんの3カ月検診のため登米市の病院へ出掛けました。その帰路、志津川のコンビニで地震に遭遇。直哉さんは歌津の自宅へ。奥さんと息子さんは志津川中学校の下のあたりにあったご実家へ帰ります。

渋滞の国道45号を駆け抜けて長須賀に着くと、もう、すぐに津波が襲ってきました。
「消防団の服に着替えていたら波が来て・・・。すぐ高台へ駆け上がったけれど車は流されてしまいました」
また、奥さんのご実家のご家族も車で避難したのですが、2台後ろの車は波にのまれてしまったのだそうです。
「ほんとうにギリギリでした」

一時、流されてしまった愛船の『金比羅丸』は何とか無事でした。でも、すぐに海の仕事を再開することはできませんでした。


愛船「第十八金比羅丸」。
津波に流されはしたけれど損傷はわずか。
今も直哉さんの大切な〝相棒〟です

直哉さんはガレキ撤去や警備員、ダンプカーの運転手などのアルバイトへ。
2011年11月、まずご両親が養殖業を再開し、直哉さんも2012年3月になって、ワカメの収穫作業から海の仕事に復帰しました。

「そのとき、多くのボランティアさんが来てくれたんですが、皆さんが歌津のワカメやホタテを食べたとき、『何これ!』『おいしいっ!』って喜んでくれて(笑)。ほんとうに歓声が上がったんです」



多くのボランティアさんを驚かせたおいしいワカメ!

直哉さんにとっては〝あたりまえ〟で、珍しいものでもなんでもなかった歌津の海産物の味でしたが、
「その〝あたりまえ〟が新鮮な感動なんだって、ボランティアさんたちに教えてもらった。ふるさとのよさに気づかされたんですよね。『そうか、この海って最高なんだ』と」

海の恵みの味に自信を持った直哉さん。今では海産物をネット販売するかたわら、「手ぶらでフィッシング」「漁業体験」という観光協会とタイアップした企画もスタートしています。


「手ぶらでフィッシング」
釣りももちろん楽しいけれど、
海に浮かんで風に吹かれる心地よさも楽しみ


「『手ぶらでフィッシング』は〝本格的初心者向け〟のメニュー(笑)。子どもでも女性でも気軽に海釣り体験ができます。乗っていただく船はもちろん『金比羅丸』です」


獲物はアナゴ?
「金比羅丸」のブル-ツーリズム体験は、道具なしで誰でも気軽に申し込める気軽さが人気です

直哉さんは、これからは、南三陸の良さを発信していきたい、と言います。
「バイト中は海にはもう戻れないのかな・・・なんて考えて寂しかった。でも、再開後は、多くの人たちやボランティアさんたちの応援や支援をもらって、楽しんでやってこられたと思ってます」

「やっぱり海で生きていくんだと決めた。歌津の海の豊かさ。そのあたりまえを、町の友だちと一緒になって、楽しみながら発信していけたらいいなって」


海の怖さも、楽しさも、おいしさも知っている仲間たちと一緒に、歌津の海のよさを伝えていきたい、と直哉さん。

「いろんな人たちと連携し〝繋がっている感〟が楽しいです。ボランティアさんも、『楽しいから来るんだ』と言ってくれます。自分ひとりじゃない。皆で創っていく浜の未来。それが自分の仕事の楽しさにもなっている。だから〝やっぱり海はいい! おもしろい!(笑)〟」


「海の怖さも知った。でも海の楽しさやおもしろさも、
またたくさんの人たちに知ってほしいです」

その楽しさに、私たちもつながりたいです。
おいしくて楽しい海を、また教えてくださいね。

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南三陸ブルーツーリズム 金比羅丸

電話/080-8210-6262
URL/http://konpiramaru.main.jp


「手ぶらでフィッシング」
所要時間/2時間30分
料金/1人~3人は6000円、4人~7人は4500円、8人以上は4000円(各威1名あたりの料金)
※エサ、竿、長靴、防寒具付き

「漁業体験」
ワカメ収穫、ホタテ収穫、養殖イカダ見学など(時期と料金は要確認)

「南三陸 活ホタテ(大)」販売
12枚入り3500円(送料、税込み)
※むきヘラ、むき方解説、レシピ付き

「三陸最高級わかめ」販売
200g×2袋 1000円(送料別、税込み)

(取材日 平成26年5月24日)