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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年6月21日土曜日

2014年6月21日土曜日10:47
石野葉穂香です。

東日本大震災による大津波が壊してしまったものは、家や施設や建物ばかりではありません。
昔から、そこにあったコミュニティ―――人々の繋がりをも破壊してしまいました

震災以前から、海辺の多くの町では、若年人口の流出、地域人口の減少、住民の高齢化といった問題にぶつかっていましたが、そこに、津波が追い打ちをかけました。

過疎化、少子高齢化・・・。集落を構成している人口の半数以上が65歳以上で、農作業や冠婚葬祭など、共同体の維持が困難となった「限界集落」も発生しています。


波板地区の前浜は「波板海水浴場」です。
今はまだ復活できていませんが、
いつかきっと、子どもたちの声が戻ってくるはず

石巻市雄勝町波板地区は、住民の方々も認める「限界集落」です。
震災前は21世帯が暮らしていた地区は、津波で17世帯が被災。難を逃れた方も河北町飯野川の仮設住宅に入居して、現在は4世帯しか残っていません。

近くに造成中の集団移転地には6世帯が入居の見込みですが、多くの方は60~70代とのことです。

「波板という地区を再生するためには、多くの人に来てもらうことが大事」
「交流人口を増やそう。いつも誰かが来てくれる、魅力ある地域を再生しよう」
地区の人たちは、そう考えました。


国の伝統工芸品指定・雄勝硯(波板地域交流センターの売店にて撮影)。
玄昌石(雄勝石)は硯のほか、
東京駅を屋根材に使われたことでも有名です

波板地区の皆さんが愛着を持っているものに、雄勝の特産である「雄勝硯」の原材料となる玄昌石という石があります。
その玄昌石と、波板の豊かな自然に魅せられた東北大学の学生や東京の有志たちは、昨夏、地区の長老たちとともに「ナミイタ・ラボ」という組織を立ち上げました。

そこは小さな限界集落。
でも山と海との豊かな自然に包まれた〝ふるさと〟。
そんな浦浜に、また新たな未来をつくって行く「ラボ=研究所」です。


波板地域交流センターの玄関に飾られた銘板

活動は、玄昌石を加工したり絵を描いたりする「波板アート」、山と海の自然を生かした子どもたちの体験学習など、新しい試みが次々に展開されています。
高齢者の孤立を防ぎ、高齢者と若者がふれあい、一緒になって、互いの知恵や力を出し合い、刺激し合う。それは、復興と創生への挑戦です。

そして、5月30日、波板地区の集落の入り口近く、緑陰に囲まれた高台に、会員制交流施設「波板地域交流センター」が完成。落成式が行われました。


波板地域交流センターの外観。
各種集会、研修などのほか、
工房、宿泊、休憩、冠婚葬祭などに利用できます

センターは、交流人口を増やしながらコミュニティーの維持と地域活性化を図ろうという地区の長老たちの願いを、具体的な形に変えていくための活動拠点施設。
「港の整備もあります。海水浴場も復活させたい。でも、それよりもなによりも、まず先に、交流の拠点となる施設が欲しかった」と話すのは、波板地区会の鈴木紀雄会長。
「積極的な体験学習を通じ、波板の魅力が広まっていき、交流人口が増えることを期待しています」


挨拶する鈴木紀雄地区会長。
背後の壁に掛けられた時計はあの地震が発生した
2時46分を指しています。
あの日、あのときを忘れないために・・・

施設は木造平屋建て。大広間やロフト、浴室、そして特産の波板石や木材で加工体験ができる工房、物販スペースなどを備えています。また、体験学習でやってきた人たちや、地区へ帰ってきた住民や家族たちの休憩や宿泊施設としても利用できます。

建設費は約5000万円。宮城県が兵庫県民からの義援金を活用して交付する「被災地域交流拠点施設整備事業」で賄われました。

施設を運営していくのは鈴木さんら「ナミイタ・ラボ」の皆さん。
また、施設の利用は会員制となっていて、住民などの「正会員」、センター開設に協力した「サポート会員」のほか、〝波板や雄勝を支援したい!〟という方々が入会できる「準サポート会員」を6月から募集しています。

波板地区の住民、伊藤武一さん(左)と波板地区会の会長・鈴木紀雄さん。
「もう一度来たい! という魅力をつくっていきたい。ここに来てくれる皆さんと一緒に」

「地域を維持していくためには外からの皆さんのお力添えが必要です。たくさんの方に楽しく集っていただいて、波板の魅力を感じてもらえたら」(鈴木さん)。

落成式には約70人の方々が集まり、式典後には「雄勝法印神楽」も披露され、新たな拠点の誕生を祝いました。

天井に採光窓がある、センターのメインホール・大広間。
地区の未来を明るい光が包みます

雄勝地区伝統の法印神楽。
演目は「荒神舞」です

波板は、人と人とのつながりを大切にしてきた地域です。
一度は壊されてしまった〝限界集落〟のコミュニティ。
でも、地区の人々は、地区を捨てず、あきらめず、また新しい未来を創りあげていこうと張り切っています。

牡鹿半島から雄勝へ、そして南三陸方面へと、ドライブなどでお出掛けの際には、波板地区の美しい森と海と、ステキな皆さんに会いに、ぜひ一度、訪ねてみてください。

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波板地域交流センター:
電話:090-5848-7090(鈴木紀雄さん)
e-mail:namiitalab@yahoo.com

※準サポート会員を募集中です。年会費は個人1000円、団体15000円。
※なお、ご利用内容によっては、別途費用がかかりますので、ご相談くださいとのことです。


(取材日 平成26年5月30日)