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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年6月16日月曜日

2014年6月16日月曜日11:44
前編では、特定非営利活動法人NPOみなとしほがま(以下、みなおしほがま)の
旧えびや旅館(松亀園)の保存活動をご紹介しました。


2014年6月9日 月曜日
解体の危機から、歴史的建造物を守る[前編](塩竈市) 
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/06/blog-post_6388.html

みなとしほがまが「買い取る」ことで、旧えびや旅館(松亀園(しょうきえん):以下、旧えびや旅館)は保存活用の道が開かれました。
中編では、その活用の取り組みをご紹介します。
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建物をよみがえらせる「お掃除会」
保存活用が決まった 旧えびや旅館 でしたが、震災以降は修繕や清掃が行われていなかったために、まずは大掛かりな修繕と清掃が必要でした。そこで始まったのが、市民の有志による「お掃除会」と「車座会議」の開催でした。
毎月行われている「お掃除会」
自由に参加し、建物を間近に見ることができます
(写真提供:NPOみなとしほがま)
「いや、もう初めのころは本当に大変だったのですよ。取り壊しが決まってから、家の中は人の手が入っていませんでした。
特に三階は長い間放置されていたために、部屋に入るのも大変なほどでした」

みなとしほがまの歴史的建造物保存活用部会で活動する大和田庄治さんは、当時をそう振り返りました。

「それで始まったのが、月に一度の『お掃除会』です。特に予約なども必要なく、気軽にどなたでも参加できます。次の開催で14回目。多くの皆さんのご協力で、少しずつですが建物本来の姿がよみがえってきています」

実際に歴史的建造物に入り、間近で観察する機会はなかなかありません。歴史や建築を学ぶ学生さんなど、参加を検討してみてはいかがでしょうか?(今後の予定については後編でご案内します。)
多くの地元業者の協力で、少しずつ復元修理が進む旧えびや旅館(松亀園)
(写真提供:NPOみなとしほがま)

アイデアを拾う「車座会議」
そして、その「お掃除会」の後に始まるのが「車座会議」です。
実は旧えびや旅館の活用を探る上で、重要な場になっていると大和田さんは話します。
さまざまな活用のアイデアも出る「車座会議」
(写真提供:NPOみなとしほがま)
「『車座会議』は、参加者がお茶を飲みながら意見交換をする場です。お掃除をしていて気が付いたことや、活用のアイデアなど、ざっくばらんにさまざまな話をしています」

実はこの車座会議、亀井邸の保存活用を進める際に、斎藤善之・東北学院大学教授からのアドバイスで始まったものだといいます。
亀井邸での第3回車座会議の様子
(写真提供:NPOみなとしほがま)
「『車座会議』という場は、実は女性市民の意見を取り入れるために始まった方法です。亀井邸の保存活用では、婦人会の
皆さんの参加など、女性の力がとても大きかったのです。女性の視点やアイデアには、新鮮で共感できるものがたくさんあります。それに、地元に精通していて、『横のつながり』もありますから、女性はとても実行力があるのですね」

保存活用の秘訣、それが「車座会議」のようです。

「車座会議の参加者から、『こんなことができたらいいね』という具合に、さまざまな企画も自然と出てきます。それをみんなで応援して形にしてゆく。『車座会議』は まちづくり の人材発掘の場にもなっているのです」

市民活動への入り口に
まちづくりを担う人材の不足は、塩竈市だけにとどまらない問題です。大和田さんは若い世代が市民活動に興味を持つきっかけとしても、旧えびや旅館が活用できると考えています。
塩竈を拠点とする「NPOHighーfive」の皆さん
(写真提供:NPOみなとしほがま)
「4月には『NPOHighーfive 』の畑中みゆきさんにお声掛けして、子どもたちに来てもらいました。そうすると、一緒に来た若いお母さんたちも興味を持ってくださるんですよね」
2階の広間を清掃する子どもたち。「米ぬか」を使って部材を磨きました
(写真提供:NPOみなとしほがま)
「30~40代の人たちが市民活動に参加できないのは、実は子育てに追われているからです。子どもたちが 旧えびや旅館 に来てくれることで、お母さん方にも私たちの活動を知ってもらえます。それが市民活動への入り口にもなればと思っています」
お掃除会の後の親子見学会の様子
(写真提供:NPOみなとしほがま)
旧えびや旅館 を「まちづくり」 の拠点に
「旧えびや旅館 が、少しずつきれいになることで、イベントも開けるようになりました。今年はほぼ毎月、旧えびや旅館 を会場にしたイベントが開かれました」と大和田さんはうれしそうに話しました。

お正月には、まちかど博物館として斎藤善之・東北学院大学教授の講演会に合わせてパネル展示、ミニカフェを開催しました。
斉藤善之教授によるお正月講演会
(写真提供:NPOみなとしほがま)
みなとしほがまが収蔵する絵図や古写真のパネル展示
(写真提供:NPOみなとしほがま)
鹽竈神社や御釜神社の参詣者の来場もあって、2日間で500人の入場者がありました。
ミニカフェには初詣客など多くの人が訪れました
(写真提供:NPOみなとしほがま)
イベントに並行して、お正月の旧えびや旅館周辺の人の流れや交通量の調査、活用保存に対する意識調査のアンケートなども行いました。これらは今後の活用計画案の作成に活かされます。
亀井邸と連携した「ひなめぐり」の会場にもなりました
(写真提供:NPOみなとしほがま)
また3月には亀井邸と連携した「塩竈deひなめぐり」の会場として、また4月には鹽竈神社の花祭りに合わせて、ミニカフェとフリーマーケットを開催しました。車座会議に参加していた女性の企画で、ゴールデンウィークにも開催し、多くの人が訪れました。
地元のお菓子でのおもてなしも好評でした
(写真提供:NPOみなとしほがま)
これらのカフェでは、新しい試みも始まりました。

「地元の10軒のお菓子屋さんにご協力いただいて、お客様に地元のお菓子をお出ししました。カフェで地元の商品を味わった方が、実際に商品を買いに店舗を訪れています」

地元の商品によるおもてなし。
このスウィーツカフェ、次回は7月6日(日)にオープン予定。その日は旧えびや旅館前の御釜神社で、宮城県の無形民俗文化財である「藻塩焼神事」が執り行われます。お祭りの見学がてら、訪れてみてはいかがでしょう。

町の記憶を次世代へ
少しずつ、でも確実に塩竈の人々の集いの場所になっている旧えびや旅館。みなとしほがまでは今、最終的な旧えびや旅館の活用保存計画案を作っています。今までの活動の一区切りとして、7月に講演会を行い、NPOとして寄付をしていただいた方々や市民に対して、報告会をする予定です。(詳細は後編でご紹介します)
「旧えびや旅館が塩竈の新しい名所になるとうれしいですね」と語る大和田庄治さん
「亀井邸が現在の形になるまで、5年以上の時間がかかりました。そういう意味では、旧えびや旅館の活用の仕方も、まだまだ過渡期のものです。これからも少しずつ活用の実績を積み重ねて、塩竈の新しい名所として定着する方法をみんなで考えていきます。お金はありませんから、その分だけ知恵を出していきますよ」と大和田さんは微笑みました。

「この活動の目的は、まちの記憶を残すことです。このような建物があることで、市民にも観光客にも『語る』ことができると思うのです。いつの日か、旧えびや旅館 がその語らいの場になることを、わたしたちは願っています」

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最終回となる後編では、みなとしほがまの保存活動に関わった歴史的建造物と、募集している基金、また今後のイベント情報などをご紹介いたします。

(取材日 平成26年5月17日)