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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年6月2日月曜日

2014年6月2日月曜日16:53
こんにちは、ザーリャです。
先日、直木賞作家である熊谷達也氏の講演会の模様を、2回に分けてお伝えいたしました。

「震災後の文学」~仙河海市の物語を通して~熊谷達也氏講演会

前編
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/05/blog-post_8702.html

後編
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/05/blog-post_22.html

この講演会を主催したのは、一民間企業である、株式会社日専連ライフサービス。
株式会社日専連ライフサービス 社会貢献活動・復興支援活動への取り組み
http://www.nissenren-sendai.or.jp/company/social.html

震災から3年が過ぎ、企業の被災地支援の取り組みも、徐々に目立たなくなってきています。
そのような流れの中で、どのような思いを込めて今回の企画を立てたのでしょうか。

インタビューにお答えしていただいたのは、この企画を担当されたマーケティングマネージャーの 太田人志也(おおた としや)さん
たいへんお忙しいにもかかわらず、「ココロプレスの取材」をお願いすると、
びっしりと書き込まれたスケジュール帳に、快くインタビューの時間を書き込んでくださいました。

後日、仙台駅前のAER(アエル)にある日専連ライフサービスのオフィスで、お話をお伺いしました。
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                       マーケティングマネージャー 太田 人志也(おおた としや)さん
株式会社日専連ライフサービスは、仙台を拠点としてクレジットカードのサービスを提供している会社です。
東北6県にまたがるカード会員と加盟店へ、さまざまなサービスの提供や情報の発信を行っています。
現在は42万人の会員がいるそうです。

◆地域とともに
今回の講演会のような、一見すると利益とは直結しないとも思える企画を、なぜ開催するのでしょうか。
私は率直な質問を太田さんにぶつけてみました。

「私どもの会社はカードを発行する会社ですから、カードを発行してしまうと、お客さまと直接お会いするという機会があまりありません。そのために年に一度、会員の皆さまとの触れ合いの場をつくるという意義が一つにあります。同時に地元の企業として、ご愛顧いただいている地域社会やお客さまへ、感謝の気持ちをお返ししたいという思いが開催の主旨になっています」

「地元企業ですので、地域貢献という部分で、『地域の皆さまとどのように成長し、生活してゆくのか』ということが一番重要だと考えています。」

◆地元企業として、常に前を向いてゆく
実は、日専連ライフサービスの羽生正弘社長と作家の熊谷達也さんは、宮城県北の同じ高校がご出身とのこと。熊谷達也さんが講師の一人だった東北学院大学での講座に、たまたま羽生社長自らが興味をもって参加していたという経緯がありました。

「震災に対してまだ前向きになれない方がいる中で、熊谷さんがどのように気持ちを変化させていったかというお話に、羽生社長は非常に感銘を受けたそうです。それで、ぜひ日専連の会員の皆さまに対しても、お話していただきたいと思ったと、そう聞いています。これが今回の企画の直接のきっかけです」

震災から今年で3年。
会社としていま一度、震災を振り返る機会を設けたいというのが今回の一番の目的だったそうです。

「熊谷先生も講座で話されていましたが、『震災の記憶を風化させてはいけない』ということを、あらためてお伝えしたかったのです。『地元企業として、常に前を向いてゆく姿勢を見せなくてはならない』。羽生社長にもそのような強い思いがありました」

◆被災地の企業として、原点に立ち返る
太田さんに、当日の来場者の方の感想をお伺いしました。アンケートの感想には、「私も震災当日の記憶をあらためて思い出しました。」という方や、「東京の報道と被災地が欲しい情報のズレに、当時の自分も憤りを覚えていました」という方、「熊谷先生には今後もこのように、被災地の立場のお話を続けていただきたい」、「震災を風化させてはいけない」、そういったご感想がたいへん多かったそうです。

「講演会の終了後に熊谷さんのサイン会も行いましたが、そこで直接の講演依頼が5、6件もあったと聞いています。皆さんが熊谷さんのお話に強く共感されたことを、私も肌身で感じることができました」

「熊谷さんのように中央発信のメディアとは違う形で、『被災地に寄り添った』情報の発信ができるということは、非常に大切で、重要な事なのだとあらためて感じています。地元企業が今後震災と向きあってゆくために、原点に立ち返って、もう一度『どうしてゆくのか』を考える。私たちにとっても、そのような貴重な機会になったと思っています」



◆手足を使って、何ができるのか
日専連ライフサービスの復興支援活動として、岩手・宮城・福島への義援金の募集活動に加え、現在は福島県と協力して福島県産品の振興・風評被害払拭に役立てられる「社会貢献カード」の発行を行っています。これらの活動をさらに幅広く、宮城や他の被災地にも向けられるように検討を進めているそうです。震災以外でも、スポーツ振興として「ベガルタ仙台」の支援を、地域の振興として「仙台 光のページェント」の支援や「仙台青葉祭り」への参加を積極的に行っています。

「一民間企業が、なぜこれほどまでに?」という私の問いに、太田さんは答えてくださいました。

「地元の企業である私たちにとって、地元を盛り上げてゆくということが、何よりも一番重要なことなのです。地元の方々とともに生きているからです。これは、中央の大企業とは大きく異なる点なのかもしれません」

震災の記憶の風化が進むことで、さまざまな被災地支援のキャンペーンを打ち出しても、反応が思うように広がらずに名前倒れで終わってしまう。そんな可能性が高くなっていると、太田さんは考えています。

「だから今後大切になるのは、私たち自身が私たちの手足を使って、『何ができるか』を考えることだと思います。今回のような講演会であったり、社員が被災地でボランティア活動を行ったり、私たちのネットワークを使って広報物をお客さまに配布したり、直接動いて働きかけるということです」

「幸いなことに、私は物事を発信することができる立場にあります。被災地の方々が前を向けるような取り組みができればと考えています」

太田さんは、最後にそう締めくくりました。


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今回の取材で、太田さんがふと洩らした言葉がありました。

「震災の時に、大企業の仙台支店にはたくさんの支援物資が届き、多くの支援職員がやって来ました。しかし、私たちの会社は地元の企業です。『僕らを助けてくれるところは、どこにもないのだろうな・・・』と思ったことを、今でも覚えています。お客さまも被災者であり、取引先も被災者、そして私たちも、会社を一歩出れば被災者でした」

自らが被災し、被災地の苦しみを知る企業だからこそ、地元の人たちと生きる道を真剣に考えられるのだろう。そんな企業の皆さんがいるのだから、東北の復興は、きっと大丈夫だ。
インタビューを終えて、私はそんなことを考えていました。

(取材日 平成26年4月18日)