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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年6月25日水曜日

2014年6月25日水曜日18:30
仙台市郊外に建設が進む災害公営住宅(仙台市 田子西地区)
ザーリャです。
私の住む宮城野区の集合住宅には、震災によって家を失った方々が避難先として住んでいます。また、歩いて5分ほどの公園には震災から3年を過ぎた今も応急仮設住宅が立ち並び、避難者の方々が不自由な生活をされています。
一方で部屋のベランダから見える七北田川の対岸には、真新しい災害公営住宅の建物群が見えるようになりました。
仙台市の広報によれば、4月から入居が始まったといいます。
公園内に建てられた応急仮設住宅(高砂一丁目公園応急仮設住宅)
報道では、被災3県の災害公営住宅の高齢化率は35パーセントを超えると予想されています。
新しい災害公営住宅の現場では、報じられるさまざまな問題に対して、どのような取り組みが行われているのでしょうか。

新聞報道でも取り上げられた、宮城県社会福祉協議会の震災復興支援局を訪ねました。

被災地でともに動く
「宮城県内には35の市町村ありますが、それぞれの市町村に社会福祉協議会があります。地元の関係者と一緒に、だれもが安心して生き生きと生活できる、福祉のまちづくりを応援しています」

そう話すのは、宮城県社会福祉協議会震災復興支援局長の田村武暢(たむら たけのぶ)さんです。
不在の目立つオフィス。職員の皆さんは連日被災地へ向かっています
「私たちも仙台から『頑張って』というだけではなくて、みずからもできるだけ現場に入って、地元の関係者と力を合わせて、その大きな目的に向かいたいと考えています」

社会福祉協議会(以下、社協)は、地域の人びとが住み慣れたまちで安心して生活することのできる「福祉のまちづくり」の実現のために、さまざまな活動をおこなう非営利の民間組織です。全国、都道府県、特別区、政令指定都市、市町村単位で組織されています。その前身は明治41年(1908年)の設立と、長い歴史を持っています。

東日本大震災では災害ボランティアセンターの設置、運営支援など、被災地の市区町村社協の支援を行いました。

宮城県社協では震災のあった平成23年の後半から、津波被害のあった11市町村に県社協職員を派遣し、今年の3月まで8市町村に継続して職員を派遣してきました。当初は災害ボランティアセンターの運営の支援を、派遣の後半には地元社協のスタッフとともに、人づくりやまちづくりに関わる活動全般の支援を行いました。
震災発生後、沿岸部11市町に応援のために職員が派遣されました
「沿岸8市町村への職員の常駐派遣は今年の3月で終了しましたが、復興はまだ始まったばかりです。今までの派遣で築かれた『顔が見える信頼関係』を大切にするために、それまで派遣されていた職員が、そのまま近隣を含む地域の担当になって、今も週に2、3日は現地に向かいます。これから本格化するまちづくりのために、地元の皆さんと一緒に動いています」

◆移転で生じるさまざまな問題

新しい駐車場には、すでに多くの車が駐車しています
15,608戸
現在宮城県内で整備が進められている災害公営住宅の戸数です。県内の民間賃貸借上住宅分も含めた応急仮設住宅の入居戸数は34,358戸。
災害公営住宅が完成すれば、多くの避難者の皆さんが新しい生活の場へ移ることになります。

もともと避難者の皆さんは、震災によって慣れ親しんだコミュニティから否応なく切り離された経験をしています。そして、仮設住宅でできたコミュニティも、災害公営住宅への移転で再び失われようとしています。
応急仮設住宅では今も多くの被災者の皆さんが生活しています
また、新しい自治会の設立や、移転先地域との関係づくり、高齢化率の上昇と孤立化の問題など、予想される問題は少なくありません。
すべてが、ゼロからのスタートです。

「災害公営住宅に住む方も、その地域に住む人も、初めに共有しているものはなにもありません。なにもないのであれば、将来のことも考えて、初めから『ともに助け合う風土』を目指して歩めばいいのです」

社会福祉協議会は民間団体です。行政とは異なる立場でどのような支援ができるのでしょうか。

「災害公営住宅の自治会の設立は、行政が支援をすることです。災害公営住宅を取り巻く地域の方々が、新しく地域に入る方々をどう迎えるか、お互いの接点をどう築くかといったことを、皆さんと一緒に考えるとが、私たち社会福祉協議会の役割だと考えています」

北と南でコミュニティ構築のモデルを
宮城県の沿岸被災市町村は15市町村。それぞれの自治体で、避難者の災害公営住宅への入居が始まりつつあります。これらの問題は各地の被災地が直面する問題です。

「それで、この問題を考えるきっかけづくりとして、宮城県の北部と南部の津波被害地域に、地域性や歴史文化が異なる2つのモデル地域を設定し、地域特有の問題を検証しながらコミュニティ支援を行うことにしました」

県社協がモデル地区として選定したのが 気仙沼市 と 亘理町 でした。田村さんは、その理由をこう話します。

「気仙沼も亘理町も津波被害が甚大だった点は同じですが、経済、産業、観光、歴史など、地域を構成する要素はだいぶ異なります。長い歴史を持つ地域もあれば、新興住宅地が集まる地域もある。復興の進捗状況を見ても、歩んでいる歩数やスピードも違います。このように、要件が異なる地域をモデルに選ぶことで、同じく災害公営住宅への移行期を迎える他の被災地でも、今後に活かせる事例が作れればと考えています」

見守り、支え合うコミュニティ
入居が始まる一方で、外構工事は現在も続いています
県社協では現在、このモデル地域となる気仙沼市と亘理町で、関係機関との事前準備を進めています。災害公営住宅の場合は、立地する地域性の違いだけではなく、入居戸数の規模や入居の仕方にも違いもあり、支援策も慎重に考える必要があると田村さんは言います。

「現在は、市町の関係各課や地元社協など、協働するさまざまな関係機関との話し合いを重ねて、支援対象地域の方々が何を必要としているかを調べています。実際の話し合いやワークショップを開催するまでには、もう少し時間が必要です」

県社協では、モデル地域以外の自治体や地元社協にも、取り組みが可能な部分については、ともに取り組むことを呼び掛けています。
敷地内には集会所も完成しました
移転開始にともない、各地で新しい自治会が作らています
「災害公営住宅の自治会は行政指導で作られますが、最終的には地域の自治会・町内会と、新しい災害公営住宅の自治会とが一体となった自治会運営が実現するよう支援できればと考えています」

災害公営住宅では、時間の経過とともにさまざまな問題の発生が予想されています。災害公営住宅への移行期が過ぎても、その時期に応じた段階的な支援を続ける必要があります。

「多くの問題を乗り越えるために、地域でお互いに見守りながら、支え合うまちづくりを支援する。それが私たち社会福祉協議会の仕事です。今回のモデル地区での取り組みが、今後の復興きっかけになれればと願っています」
「共に生きる福祉のまちづくり」 田村武暢さんと職員の皆さん

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宮城県社会福祉協議会の新たな取り組みは、さまざまな関係機関との調整を経て、間もなく始まります。
大切なのは、被災地に住むわたしたちが、被災地の現状を「知り続けようと努力すること」のように感じます。
わたしたちが、この問題を自らの問題として捉えることで、解決に近づく問題も実は多いのではないでしょうか。

宮城県社協の皆さんの取り組みは、今後も継続してご紹介する予定です。

(取材日 平成26年6月3日)