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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年6月12日木曜日

2014年6月12日木曜日21:52
こんにちはエムです。

東日本大震災の津波で喪失した海岸林を再生しようと、地元農家25名が中心になって立ち上げた
名取市海岸林再生の会(以下:再生の会・現在は32名)

2014年6月5日 木曜日
100年後の豊かな大地のために[前編](名取市、東京都)
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/06/100_5.html


「再生の会」を支援、協力する公益財団法人 オイスカ(以下:オイスカ)。
そしてオイスカによる海岸林再生プロジェクト10カ年計画」。

この未来を見据えた活動は[前編]でご紹介した流れの中、平成23年から動き出しました。(このプロジェクトは宮城県農林水産部森林整備課が窓口になっています)

私自身、震災前の海辺の記憶をたどると、うっそうとした松林が仙台湾沿岸のいたる所で当たり前のように見られたのを覚えています。
時々海に遊びに行くと、海の手前には幾重にも重なった松の木々がまるで生け垣のように黒々とそびえ立ち、松林の中は夏でもひんやり冷たく、たくさんの植物が生え育っていました。

「海岸林再生の会」の皆さん。この日は4人の方にお会いしました。
3人の大友さんと森さん(右端)。紅一点が大友淑子さん

「子どもの頃は、ストーブの焚き付けにする松ぼっくりを拾ったりしてたんだよ」
そう話してくださるのは「再生の会」の大友淑子さん。

また、海岸林のクロマツの根元にはたくさんの食べられるキノコが生えていたそうです。
海沿いに松林が何キロも続いていたこの地域では、海岸林は防潮の役目を果たしていた他に、さまざまな恩恵ももたらしてくれたのです。
海岸林は生活に密着した大事な里山だったのだと知ることができました。

植林する苗を出荷するには、50本づつ束ねた束を
8束(400本)まとめてコモでしばります
その里山をいっぺんに無くし、自らも被災する体験をした地元の皆さんですが、現在こうした活動をすることをどう感じているのでしょう。

淑子さんは言います。
「もし震災が無かったら、マツに携わることも無かった。
そういう意味では複雑だけど、起こってしまったからには、こうしてマツの育成という今までやったことの無い事をやってる楽しさ、喜びはありますよ」

「種から植えて、2年たってやっと植えられる。それはとってもうれしいし、なるべく枯れないで育ってほしいのね~」
淑子さんは自分の子どものように行く末を案じていました。

「今は仮設住宅に入っているけど、育苗場に来ると同じ地域の人が集まるし、こういう場所があって話しながらやれるので、仕事は苦にならないし楽しいですね」

たくさんあったはずの辛い体験も、日々の労働にいそしみながらいつの間にか笑っている。楽しみを見い出している。明日への活力に変わっている。そんな姿が深く印象に残りました。

途中でバラバラになってしまわないようにワラで
しっかり縛ります。簡単そうですが難しいんです
「ここまで育つのは大変だけど、ある程度伸びるとその後の成長は早いね。
でもあまり成長しないうちに植えないと時期が遅くなる。その加減が難しいんだね」

慣れた手つきで作業の手順を説明してくださる「再生の会」の皆さん。

「再生の会」の皆さんは、現在では元の農業を始めた方もおられ、今が最盛期。
ですが海岸林の作業も同じく忙しい時期を迎え、今年は農業と海岸林の方を交代で行っているということでした。

ところで、2つの育苗場で今まで行ってきた植林の作業には、簡単に分けると3つの工程がありました。
「種蒔き」「床替え(移植)」「植栽」です。

平成24年・・・種蒔き[7万粒]
平成25年・・・種蒔き[9万粒]、[広葉樹(コナラ・クリ)1,700粒]
        床替え(移植)[24年に蒔き育った苗(樹齢1年)]
平成26年・・・種蒔き[10万粒]、[広葉樹(ヤマザクラ・(皇居で拾われた)エノキ・スダジイ・タグノキ 400粒]
        床替え(移植)[25年に蒔き育った苗(樹齢1年)]
        植 栽[24年に蒔き育った苗(樹齢2年)75,000本]
           [広葉樹(クリ・コナラ・ヤマザクラ)440本]

根っこの上から25〜40cmに育った苗が理想的
(樹齢2年、いわば2歳になったクロマツの苗)

とだんだん作業も増え、そして今年は待望の……そうです! 初めての植栽が今年から開始されたのです!
平成26年の今年は、総面積100haのうちの15haに75,000本を植えるのだそうです。
苗の植え付けは「再生の会」の方の説明の通り、最適な時期を逃してなりません。そのため4月28日から始まり、5月24日までに終わらせる。と、期間は限定されています。

宮城県・名取市・再生の会・オイスカが協力体制で目指しているのは、地元の里山が再びよみがえり「名取市民の森」となること。
そのために、宮城県が制定した「みやぎ海岸林再生みんなの森林づくり活動」協定第1号として、平成26年2月13日に協定を締結しました。その後2月28日には国との協定も締結し、準備は着々と整えられました。

そして、去る5月24日には大々的にボランティアを募り、総勢350人による「植樹祭」が行われました。
「植樹祭」では1haの面積に5,000本の苗が植えられたのです。

「2歳のクロマツですが、植えるにはまだ小さい苗です。
枯れたマツがあった時の予備軍です」オイスカ 林久美子さん

ところで植栽が行われる海岸の現場では、皆さんが2年間苗を育てている間に防潮堤の建設が終わっていました。
その100m内側に林野庁による植栽のための盛り土工事が成され、さらに防風柵が設置されいつでも植栽ができるよう準備が整えられていました。

建設が終わった防潮堤(海側から望む)

本来根が深いクロマツがしっかりと根を張るためには、3mの盛り土が必要です。しかし、震災後の復興工事で、あちこちで盛り土用の土が必要なこの時期、手に入れられたのは山を削った栄養分の乏しい荒れた土でした。

鍬を入れる度に大きな石がゴロゴロ出てくるし、粘土質で掘り進めなかったりと不安要素はありますが、そこは森林のプロも農業のプロもいる現場だけあり、植栽後のケアも準備されているようでした。

林野庁により整備された植栽地。土地の所有者は海側から
「宮城県」「名取市」「国」と分かれています。
プロジェクトチームが植えるのは宮城県と名取市が所有する土地です

ただ、私が取材した日も風が強く、約1.5km内陸にある第1育苗場でも、海から飛んでくる砂が肌に当たって痛いほどでした。
そんな過酷な環境の中、2歳になったクロマツの苗たちは紙ヤスリにかけられるごとく砂の風に当たり(植えた後の天候次第ですが)最悪の場合、半数は枯れる可能性すらある……とオイスカ 海岸林再生プロジェクト担当 吉田俊通さんは言います。


広葉樹の移植のための畑を耕す「化学総連」の皆さん
クリ・コナラなど塩に強い品種の広葉樹も
実験的に植えるのだそうです
私が取材させていただいた日は、ボランティアの方々総勢55名が入られ、同行させていただきました。

ボランティアは「全国化学労働組合総連合」(以下:化学総連)の皆さん。
「化学総連」とは、住友化学や昭和電工など、いろいろな企業の労働組合の連合体で、このプロジェクトを立ち上げる前からオイスカが支援してもらっている団体だと、オイスカの林久美子さんが教えてくれました。

また、この「海岸林再生プロジェクト」にも早い段階から支援をしてくださっているそうです。それは資金だけではなく、苗に必要な肥料などの提供やこうしたボランティアまでと、幅広い支援なのです。そうした方々がいるのは本当に心強いですね。

「笑顔を忘れず、みんなでがんばってゆきましょう!」
化学総連 事務局長・山本幸平さん

「この現場では年間2千人のボランティアを受け入れて協力してもらっています。ですが、主体はあくまでも地元の皆さん。ボランティアは地元の皆さんの仕事を “補完” するという役割だと認識してほしいと思っています」
オイスカの吉田さんは繰り返し、ボランティアの皆さんに説明しています。

小さな苗が負けないように「草むしり」はこれから増える作業です

「海岸林の再生をしながら、コミュニティの再生もお手伝いできたら……と思ってやっています」
同じくオイスカの林さんは、地元の方々がこの仕事場に集まっては作業している様子を見て、そんな胸の内を語ってくれました。

「みんなの力を寄せ集め大きな活動に」
化学総連 会長・岡嶋謙さん

この、海岸林再生プロジェクトは最終的に名取市内の100haに50万本の植栽を目指しています。
続く7年、林野庁と民間との連携で継続して行う、他では例を見ないほどの大プロジェクトです。
オイスカでは今までの3年のように、地元の雇用を生みながら農業者の自立をはかる支援を続けてゆく考えだそうです。

きっとまた、こうしたたくさんの人の手や心が加わって、必ずや大きな成果につながってゆくことでしょう。
関わっている方々の熱意や決心が伝わる、素晴らしい取材体験でした。

名取市海岸林再生の会」「海岸林再生プロジェクト10ヵ年計画」の様子は、この先も取材させていただこうと思います。
クロマツの成長とともに、どうぞお楽しみに。

必ず成功させる!

カードを持つオイスカの吉田さんと、関西や関東から参加してくださった
総数55名の「化学総連」の皆さん。慣れない作業、お疲れさまでした。
(植栽地で植樹のための “穴掘り” をしている「化学総連」のメンバーは写っていません)

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海岸林再生プロジェクト10ヵ年計画」は、ご理解とご賛同いただいた皆さまのご支援によって成り立ちます。
続く7年間の活動のため、ご支援・ご協力をお願い致します。

植樹された樹齢2年のクロマツ。
5年後、10年後が楽しみです
〈ご寄附の振込先〉
【郵便振替】
00100-6-482316
海岸林再生募金

【銀行振込】
三菱東京UFJ銀行 永福町支店(支店番号:347)
普通 0054080
公益財団法人オイスカ


詳しくは下記のホームページをご覧ください。

東日本大震災復興 海岸林再生プロジェクトーークロマツお助け隊ーー」
http://www.oisca.org/kaiganrin/

※ ブログは毎日更新中!日々の活動はこちらをご覧ください
  http://www.oisca.org/kaiganrin/blog/

〈ボランティアのお願い〉
ボランティアしてくださる方を随時募集しています。
◆ ボランティアの日:毎月第3土曜日
  定員・40名
  ※ 8月は30日(第5土曜日)の予定です。

◆各種お申し込み・お問い合わせ
公益財団法人 オイスカ 海岸林再生プロジェクト担当
住所:〒168-0063 東京都杉並区和泉2-17-5
電話:03-3322-5161 FAX:03-3324-7111
E-mail:kaiganrin@oisca.org
http://www.oisca.org/

(取材日 平成26年5月16日)