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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年4月22日火曜日

2014年4月22日火曜日9:22
kaiiです

「うまいでっせ~」
たこ焼きの店「浪花たこよし」を営む松下初男さん(67)は大阪生まれの大阪育ちです。
気仙沼市出身の奥さんの出産を機に気仙沼に移住して17年になりますが、大阪弁は今も健在です。
「おおきに」「まいど~」「うまいでっせ」大きな声でお客さんを迎えます。

「たこよし」のおすすめは「えびす焼き」。
たこ焼きの生地の中にはタコの代わりにホタテが入っています。チーズをトッピングしバーナーで表面を焦がした、松下さんご自慢の逸品です。

ホタテとチーズがとてもおいしい「えびす焼き」
おすすめ!の一品です

この日、kaiiがいただいたのは「たこよしのたこ焼き」。


たこ焼きの隠し味は松下夫妻の優しさです

大きなタコが入った「たこ焼き」の中はトロトロ、アツアツでとてもおいしかったです。
このトロリとした美味しさを出しているのが…松下さんの企業秘密「牛乳」。
「牛乳入れるのは、企業秘密でっせ~」と言いながら、松下さんはおいしいたこ焼きの作り方をお客さんに教えています。
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松下さんは、定年を平成23年8月に迎えるはずでした。そして、定年後に「明石焼き」の店を開店する予定で準備を進めていました。
しかし、3月の東日本大震災で開店予定だった店舗が被災して、「明石焼き」を焼くために必要な道具一式を失いました。
まだオープンの準備中で営業が始まっていなかったため、松下さんは店舗や道具が流されても行政などからの支援を受けることができませんでした。

浪花たこよし外観
(平成26年2月19日 撮影)


平成25年1月。「明石焼き」より準備コストの抑えられる「たこ焼き」の店を、気仙沼市役所近くの奥さんの実家が経営していた万年筆とメガネの店「栄光堂」の跡地に開店しました。


開店当時の浪花たこよし
(写真提供 たこよし)


知人から譲り受けた軽トラックを改造した厨房の後側にはレジャー用テントを張り、テントに風よけなどを取り付け、テーブルやいすなどを並べてお客さんの待合いにしました。
そうした開店準備と仕込みに毎日3時間もかかっていました。

開店当時の店の様子
(写真提供 たこよし)

テントを張っても、雨が降ると営業ができませんでした。テントは、雪の重みや強風などで3回も壊れてしまいました。
松下さんは、「前に進もう思う気持ちも折れそうになった」と、その時のことを振り返ります。


新しいテント建設風景
(写真提供 たこよし)

松下さんのたこ焼きの店に通い松下さんが困っていることを知っていた学生ボランティアなどが、松下さんに協力し、張ったままにできる頑丈なテントを廃材を集めて建設し、平成25年6月5日にリニューアルオープンしました。

おかげで今ではオープン当時のように、開店準備に多くの時間を費やしたり、天気に左右されず「たこよし」は営業しています。

こたつ完備の待合にはいつも笑顔が溢れています
(平成26年2月19日 撮影)

待合いテントの奥には、小さなコタツも設けられ、気仙沼で活動する学生や大島へ帰る人たちなどの集まれる場所になっています。
「今は愚痴を言える場所が少なくなったからね。男女問わず愚痴をこぼしに来る人が多いんよ。生きていると皆それぞれ悩みを抱えているからなぁ。
少しでも心の荷物を吐き出して、楽しく生きてほしいんよ」と松下さんは話します。



「心の復興を」と話す松下初男さん裕子さん夫妻
(平成26年2月19日撮影)

気さくな松下さんご夫妻の人柄にひかれて店を訪れる人も多く、店にはお客さんが途切れません。遠く高知県から1日かけて「たこよしのたこ焼き」を食べに来るファンもいます。

お手ごろ価格で学生たちの大人気です


松下さんのお薦めの「たこ焼き」は、表面にしょうゆを塗ってカリカリに焼いた「しょうゆ焼き」と、ホタテ入りでチーズが焼けている「えびす焼き」です。






松下さんにとってのたこ焼きは、子どもの頃から食べている思い出の味。本場大阪のたこ焼きを気仙沼で焼くことで多くの人と仲良くなり、仲間を増やして、「気仙沼を若者が住みたい町にすること」が松下さん夫妻の夢です。

浪花たこよしは全てが手づくりです
(平成26年2月19日 撮影)


今は人通りが減ってしまった旧市内に、昭和の後半の頃の様なにぎわいを取り戻したいと考えています。
「うまいでっせ~」の言葉通り、アツアツのたこ焼きにはアツアツの大きな夢もいっしょに焼かれています。
一度食べると、くせになるおいしさの「たこ焼き」の隠し味は松下夫妻の優しさです。

(取材日 平成26年2月19日)