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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年3月14日金曜日

2014年3月14日金曜日23:30
こんにちは、Chocoです。
震災から3年が過ぎました。
ここに住む人たちは、多くのモノを失いました。

ゼロではなく、マイナスからのスタート。
それが当たり前の場所です。
たくさんの人が、苦悩し、それでも諦めず頑張り続けて、新たなことに挑戦したり、再開しています。

今回も街中で会った素敵な寿司職人さんを紹介したいと思います。

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「お・も・て・な・し」
昨年の流行語になった言葉です。
2020年オリンピック開催地を決める会議が行われた時に、日本のプレゼンテーションの中で、滝川クリステルさんが日本の魅力を表現する言葉に「おもてなし」が使われました。そして、世界中にこの言葉は知れ渡りました。

私たちが普段、当たり前と思っていることも、世界は、素晴らしいと絶賛します。
それは、昔からの風習、日本の古き良き文化によって、現代の私たちに受け継がれてきました。
高級ホテルではなくても。
高級料理店ではなくても。
日本人である私たちには、「おもてなし」が身近にあります。

そして、石巻の街中にこの言葉が伝わる表札がありました。



「上にある赤い点がお客様。
そして、その下にある黒い波線が私。
この点と線をつなげると『ん』という形になります。
ひらがなの一番最後の文字が『ん』です。
それは、お客さまが最後の最後まで満足していただけるように真心を込めて料理を提供しておりますという想いが込められているのです」

そう教えてくださったのは、石巻市立町にある「味道 一平(あじみち いっぺい)」のご主人 平一誠さんです。

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「来ていただいたお客様に、感動して、くつろいでもらって、そしてまた復興の力になっていける店になればいい」

昭和36年、「味道 一平」は、平さんのお父さんが開業しました。
石巻に2軒、古川に1軒、店を構える中、平さんは19歳で寿司職人の道へ進みました。

当時、ショッピングセンター内にあった本店以外の2店舗の営業時間は、お昼中心でした。
しかし、本店は繁華街にあるため、営業時間は夜が中心でした。
平さんは、1日に2軒、3軒とお店の板場に立ちます。

「当時は、寝る暇がなかった。顔も3回洗っていたんです」
眠気を覚まし、シャキッとした姿でお客さんの前に立っていました。
疲れた顔をお客さんに見せたくないという平さんの気配りが伝わりました。

しかし開業して50周年を迎えようとした2011年、津波が店を襲いました。


「津波が来る」
隣のおばあさんに言われて、奥さんとおばあさんと3人で一緒に近くの羽黒山へ避難しました。
2m以上の津波が、お店がある石巻市街中心部にまで押し寄せて来ました。

寿司を握る父親の姿を見続けてきた場所。
父親と同じ道を進むと決意して、修行した場所。
そして、平さんの苦楽を知っている場所だったお店は、全壊。

「それを見たとき、再開するのを諦めようと思った」

更地となり、働く店を失くした平さんは、生活のためにと寿司のチェーン店に就職しました。
全く違った環境で働き始めた平さんにとって、それはとても苦悩の日々でもありました。
19歳から寿司職人である父や従業員の下で働いていた平さん。
誰からもベテラン、親方と言い慕われていた人が、震災により全く異なる立場になりました。
店が違えば、仕込みも違う・・・
今までにないくらいの苦しみが平さんに覆い被さってきたのです。

それでも、「震災で自分の店を失くした想いに比べれば・・・」と思い、グッと堪え続けたそうです。

そんな中、平さんは今まで諦めかけていた「再建」を考えるようになりました。
以前壊滅していた街に少しずつ少しずつ戻り始めた灯や人々が、平さんの背中を押してくれたのです。
そして、「同じ場所で再び寿司を握ろう」と心に決めました。
助成金も採用され、いよいよ再建が始まりました。

更地から始まる着工。
建築会社と何度も何度も打ち合わせ、設計変更、確認しながら慎重に進められました。

設計でも一番苦労したのは、店の間取です。
震災前に来店したことがある人は分かるかもしれませんが、実は厨房とカウンターが以前の位置と逆に設計してあります。


その理由は、お客さんの流れでした。

開業した当時は、左側の道から流れて来るお客さんが多かったのですが、時代とともに流れも変わり、右側から来るお客さんが増えたそうです。

「お客さまに背を向けて商売をしたくない」
という思いから、再建する際に全てを逆にしました。

「やりづらくなるのは百も承知、慣れるしかない。そこを直さずに一生後悔するなら、開店が遅れてもいい」

こだわり抜いた「味道 一平」は、昨年(平成25年)の12月21日に開店しました。

新しい店内は、カウンターとテーブル席、2階には掘りごたつになった居間があり、プライベートスペースとして利用できます。


2階の鶴と亀の居間です。
真ん中を仕切ることもできます。
更に、他県から来るお客さんが石巻の素敵な風景をお食事とともに見て、お話が弾むようにという思いやりから、店内には石巻の風景が3点飾られています。
これは、市役所で管理している画像の中から平さんが自ら選んだ写真です。
笑顔でお客さんと会話する平さんの後ろには、
震災前に撮影された日和山からの風景


お客さん側の壁にあるのは、
石巻市の名前の由来とされている「巻石」から見る内海橋と萬画館

階段の壁に飾られているのは、サン・ファン・バウティスタ号(復元)

メニューの名前も普通とは少し違いました。

「並、上、特上」や「松・竹・梅」等が普通ですが、
「曙・中央・立町・日和」
街として若い「曙」が並。
そして、石巻の中心にある山の「日和」が特上という感じでしょうか。
石巻の地名が書かれていました。
小さなところに、細かな気遣いや気配りが伝わる内装でした。


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Chocoの食べブログ

「味道 一平」さん
私が今回頼んだのは、「すし会席」です。
17時から21時限定のお得なコースです。
コース内容は、こんな感じでした。
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<すし会席>
■突出し(お通し)
■お刺身もしくは、天ぷら
■酢ものもしくは、小鉢料理
■焼き魚
■本日の一品
■本日おすすめの寿司 3貫
■デザート 
         /3,000円
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突出し(お通し)と酢もの 
本日の一品、今回はマグロのユッケでした。


お刺身
本日のおすすめ寿司
デザートのわらび餅





とても美味しくいただきました。
「ごちそうさまでした」
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来店してきたお客さんに満足してもらえるような「おもてなし」を追求し、提供し続けている平さんは、今までもこれからも持ち続けているコンセプトがありました。

「感動! くつろぎ! 復興!」
よろしくお願いします。
味道 一平
約2年9カ月ぶりに自分の店の板場に立ち、今日も従業員の皆さんと一緒にお客さんを笑顔で迎えます。

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平さんは、終始笑顔でお話をしてくれました。
その笑顔の中には、私には想像のつかないくらいの苦悩がありました。



「おもてなし」日本ならではの思いやり。
日本人であることを誇らしく思える文化です。

平さんは、私にそのことを気付かせてくれました。

「味道 一平」
住所:石巻市立町二丁目1-9
電話:0225-22-2672
営業時間 17時〜 / 定休日 月曜日



今回は、平さんの市外に住む旧友の方が情報を寄せてくださいました。

そのおかげで、今回も素敵なお店と素敵な親方に出会うことができました。
ありがとうございました。


(取材日 平成26年2月18日)