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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年3月17日月曜日

2014年3月17日月曜日23:58
石野葉穂香です。

あれからもうすぐ6年が経とうとしています。
「えっ? 3年でしょ? それももう過ぎたよ」・・・と思われる方が多いでしょうか?

今から5年9カ月前の2008年6月14日午前8時43分。
東北地方のほぼど真ん中、奥羽山脈の秀峰・栗駒山の山麓付近を震源として、マグニチュード7.2の巨大地震「岩手・宮城内陸地震」が発生しました。

東日本大震災の記憶が強烈過ぎて、岩手・宮城内陸地震のことはもうあまり語られることも多くないのかもしれません。

でも、ほんの6年前の出来事です。

その揺れは非常に強く、宮城県栗原市一迫と岩手県奥州市衣川では、最大震度6強という、とてつもない大きさを観測しました。

岩手・宮城内陸地震で崩落した荒砥沢ダム付近の航空写真
(写真提供:林野庁東北森林管理局)

栗駒山周辺では山体が崩壊し、大規模な土石流や土砂崩れも発生。
河川閉塞、山腹崩壊、橋桁の落下による道路閉鎖といった被害が何カ所も起き、野外にいた方を中心に、17名の方が死亡し、6名が行方不明となりました。

「山が動いた」「森が消えた--!」

今も栗駒山の山麓へ行くと、あからさまに残された当時の爪痕を見ることもできます。
宮城県と岩手県は、わずか6年の間に、2度も巨大地震に襲われて、内陸も海岸線もひどく傷つけられてしまいました。  

できれば、忘れたい出来事かもしれません。
しかし、どちらも、決して安易に風化させてはいけない出来事ですし、得た教訓をしっかりと次の世代へと伝えて行くことが、2度もの巨大地震を体験した私たちの大切な責務です。

今、栗原市では、「ジオパーク構想」を打ち出しています。
これは、地震災害によって傷ついた地形や景観を、既存の観光資源と結びつけながら、学術研究や防災教育、地域活性など多目的な活用を目指すもので、「ジオパーク構想」の認定に向けた事業を推進しています。

宮城県では「栗駒山」と呼ばれるこの山は、岩手県はで「須川岳」、秋田県では「大日岳」と呼ばれています。
車道の終点・イワカガミ平(1113m)から山頂(1627m)までは
休憩しながらでも2時間ほどで登っていけます。

「ジオパーク(geopark)」とは、「ジオ(地球)」に親しみ、ジオを学び、ジオを知る旅(ジオツーリズム)を楽しむための場所のこと。

地形や地質、植生、生態系、山、川、平野などをよく見て、さらにはそこに暮らす人々の暮らしにもふれながら、人と大地と生態系の関わりを、つまり「地球を丸ごと学び考える」ことができる公園として整備するものです。

ちょっと難しそうでしょうか?

大地震で傷つき、崩れた地形を、地震・震災の経験や記憶を伝える貴重な「遺産」と考えます。
そして、それを新たな地域資源として、子どもたちの防災教育にも役立て、地域がこれまで持っていた温泉や高山植物の群落、食文化、農村風景といった観光資源とも結びつけながら、市全体の活性化を目指そうというもの。

「ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)」の登録地でもある「伊豆沼」。
例年6万羽以上のマガンがシベリアから越冬にやってきます。
写真は夜明けとともに雁がエサ場に向かって一斉に飛び立つ「雁行(がんこう)」。
数万羽の羽音が響き渡る様は「日本の音風景100選」のひとつ。
これが見られるのは11月の中旬から下旬ごろ。

栗原市は、標高1627mの栗駒山から、海抜5mの伊豆沼まで、大きな高低差の中にあり、火山、森林、湿原、高原、農地、沼地、温泉、鉱山跡など、多彩な自然と個性的な地域文化が息づく土地です。
でも、一方では、古くから地滑りや河川の決壊などの自然災害に、幾度も見舞われてきた地域でもあります。

人々は、時に自然災害に立ち向かい、あるいは自然のご機嫌にくるまれながら、山野や河川の恵みを受け、山麓を開拓しながら暮らしを築き、歴史をつづり、文化を育んできました。

刈り取った稲を棒掛けして乾燥させる「ほんにょ」。
栗原地方の一部では「ねじりほんにょ」と呼ばれる
独特の光景を見ることができます

「私たちが立っている足もとの大地の成り立ちを知り、同時にそこでどんな暮らしが営まれ、どんな文化が生まれてきたのか・・・。大地と社会と地域を引っくるめて理解すること。そして、地元を好きになってもらおう、というのが栗原市のジオパーク構想です」
とおっしゃるのは栗原市ジオパーク推進室の佐藤英和さん。

「あの日、栗原市に起きたことを、まず地元の人たち、子どもたちに知ってほしいです。そして、栗原という大地や自然の怖さも魅力も。自分たちが住んでいる地域はこういうところなんだ、だからこういう文化が生まれたんだなって」(佐藤さん)

子どもたちの「ジオパーク勉強会」は、ジオパークって何? というところから説明をスタート。
自分たちが暮らしている土地の成り立ちや地層、自然などを学びます

「ジオパーク」になるには、まず地域において市民や行政、商工会、観光協会、民間団体や教育関係機関などが連携をはかって「地域協議会」などを作り、ジオパークの基礎知識を市民の方に知ってもらったり、ジオガイドを養成したりという活動を行います。

そうした活動実績を積んだあと、「日本ジオパークネットワーク(JGN)」に参加し、「日本ジオパーク委員会(JGC)」の審査を受けて、「日本ジオパーク」に認定されるのです。

そして、さらに世界水準に達したと評価されると、「世界ジオパークネットワーク(GGN)」に推薦され、審査を経て「世界ジオパーク」を名乗ることもできます。

米どころである栗駒山麓の代表的な食文化「餅」。
これは、伊豆沼の沼エビをまぶした「エビもち」。
地域の農水産物がコラボした昔ながらの郷土食のひとつです

現在、日本国内には、「日本ジオパーク」が27地域、「世界ジオパーク」が6地域あります。東北地方では、秋田県の「八峰白神」と「男鹿半島・大潟」と「ゆざわ」、そして青森・岩手・宮城三県の「三陸」、福島県の「磐梯山」が「日本ジオパーク」に認定されています。

栗原市では、2012年12月、「日本ジオパークネットワーク」に準会員として加入。2013年7月には「栗駒山麓ジオパーク推進協議会」を設立し、「防災教育」「広報・宣伝」「観光ツーリズム」「ガイド」という4つの部会を設置しました。

ジオガイド養成講座の一コマ。
広い栗原市ですので、山、農村文化、伊豆沼など、
それぞれお得意のエリアについてスキルを高めます
そして、ジオガイド養成講座の実施、「磐梯山ジオパーク」「洞爺湖有珠山ジオパーク」など、先進地ジオパークへの視察研修や交流もはかってきました。

さらに、今月 3月21日には、「栗駒山麓ジオフェア」というイベントが、くりこま高原駅前の「エポカ21」で開催される予定です。




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奥羽山脈という造山帯の中で、栗原の大地は破壊と創造を繰り返してきました。

栗原市のジオパーク構想のキャッチフレーズは「地球史のページをめくる音を感じるジオパーク」。

災害に強い人づくり、地域づくりもあわせて推進しながら、栗原市は2015年、「日本ジオパークネットワーク(JGN)」への加盟申請を行う予定です。

ガイド部会の太宰智志さんは
「栗駒山は、夏山シーズンが半年以上もあり、冬も含めてオールシーズン楽しめる山です。花や自然も温泉や食べ物など楽しさにあふれているふところ深い山です」と魅力をアピールしてくださいました。

また推進室の三浦剛さんは
「日本中、世界中の人と出会える場所になります。おもてなしの心をますますレベルアップしていきたいですね」

 
左からジオパーク推進室の佐藤英和さん、花山山岳会の太宰智志さん、推進室の三浦剛さん

「ジオパーク」認定に向けた、栗原市の「雄大」な取り組み。
そのための交流や活動が、もう始まっています。

山麓に花が咲き始めたら、栗原のダイナミックな自然を感じに、ぜひお出掛けください。
栗駒山のふところ深く、森や湿原に足を踏み入れたり。
もちろん登山も楽しみです。

高山植物も待ってますよ~。


昨夏6月23日午後6時過ぎの世界谷地原生花園の眺め。
ニッコウキズがもうすぐ満開のころでした
http://kokoropress.blogspot.jp/2013/06/blog-post_26.html

(取材日 平成26年2月21日)