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宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

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写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2014年2月14日金曜日

2014年2月14日金曜日14:29
YUUです。

1日だけの4月上旬の陽気を体験したと思ったのもつかの間、翌日からはこの冬1番の厳寒期が到来。2月上旬の宮城県は、県内ほぼ全域で最低気温氷点下の日々が続いていました。

日中、晴れ渡る空にそぐわない寒風吹きすさぶ1日、仙台市若林区の荒浜地区から、名取市閖上(ゆりあげ)地区まで、震災時の津波被害が甚大だった仙台市周辺の沿岸地域を車で巡ってきました。

「語り部タクシー」を2012年10月より開始した仙台中央タクシー
現在、仙台市内で最も多い38名の「語り部」ドライバーが在籍しています

案内してくれたのは、仙台市宮城野区扇町に本社のある仙台中央タクシー株式会社(以下・仙台中央タクシー)のドライバー、石濱信次(いしはましんじ)さん。

石濱さんは、NPO法人宮城復興支援センターの語り部養成講座を受講し、筆記テストに合格した「語り部タクシー」のドライバーです。

語り部タクシーとは、「語り部」となるドライバーたちが、震災直後の様子や復興の進捗状況、防災面などの震災の教訓を東日本大震災の被害の大きかった被災地域を回り、伝えていくという取り組みです。

仙台中央タクシーの神田稔専務取締役が「被災地の会社だからこそ、実際に働くドライバーたちが見聞き、経験したことを含め、震災の経験を伝えていくことに意味がある」と、2012年10月より「語り部タクシー」を始めました。

現在では、仙台中央タクシーの取り組みに賛同して、「語り部タクシー」を実施している他の会社のドライバーを含め、語り部養成講座を受講した約200名の「語り部」ドライバーが仙台市内にいるそうです。


震災遺構としての保存が検討されている「荒浜小学校」
遠目から見ると、ほぼ完全な形で残っているように見えますが、
震災時、津波は校舎2階まで達し、1階部分は壊滅
大破した体育館やプールはすでに取り壊されました

石濱さんに案内され、まず向かったのは、仙台市若林区の荒浜地区。震災より約3年が経過しましたが、仙台市の災害危険区にほぼ全域が指定されている荒浜地区一帯は、全壊、半壊した家屋のがれき撤去はすでに終了し、現存する建物はほとんどありません。

仙台市が震災遺構として保存する方針を示している荒浜小校舎は、現在、その周囲が立ち入り禁止となっていて、校舎周囲に近づくことはできませんでした。



深沼海岸近くの震災慰霊碑の前で「説明する
仙台中央タクシーの「語り部」ドライバー、石濱信次さん

荒浜小学校を通過し、震災以前は海水浴場として親しまれていた深沼海岸までやってきました。その後背地には、黒御影石の「慰霊碑」、高さ9mの観音立像「荒浜慈聖観音」があります。

「慰霊碑には、震災でお亡くなりになった荒浜を含む七郷地区の犠牲者189人の名前が刻まれています。荒浜地区は800世帯約2700人の住民が住んでいました」

語り部タクシーの基本コースでは必ず立ち寄るという慰霊碑の前で、石濱さんは、こう説明してくれました。

語り部タクシーの利用者の大半は、県外から仙台市に訪れた人たちだそうです。
仙台市の復興計画の中で、かつての荒浜地区800世帯が、すっぽりと災害危険区域に指定されています。
現在では居住禁止となっていることすらもご存じない住民の方がほとんどだといいます。

「私の方から、震災直後の様子、被害状況などを説明することはもちろんですが、やはり、実際に被災地を目の当たりにして、色々と尋ねられるお客様が非常に多いんです。可能な限り、問いかけにお答えできるように、ドライバーが集まって研修会を行ったり、色々と資料に目を通すように心掛けています」

震災後、がれきの撤去が終わり、建物の基礎部分だけが一面に残る
仙台市若林区荒浜地区のかつての住宅街


荒浜地区のかつての住宅地を横断します。

仙台市市街地より深沼海岸に向かう県道は土地勘のないドライバーでも比較的分かりやすいですが、交差する道路を縫って地区一帯を巡回したりできるのは、プロのドライバーならでは。

全くの更地ではなく、がれきが撤去され、建物の基礎部分だけが辺り一面に残る風景を見渡すと、震災後の凄惨な被害風景を見るのとは違ったかたちで、あらためて震災の爪痕の大きさを考えさせられます。


少し離れた車中から見るコンビニエンスストアの仮設店舗
遠目からでもプレハブ造らしいことがうかがえます


以前は住宅地を結んでいた幹線道路の裏道を進んでいくと、建造物の新築が禁止されているはずの地区なのに、プレハブ造らしい建物の背後が見えました。

昨年2月にオープンした仮設のコンビニエンスストアだそうです。

「災害危険区域では新しい建物の建設は禁止されていますが、仮設店舗の出店は可能で、災害復旧工事に従事していた作業員などは、この仮設店舗ができて大助かりだったようです」

石濱さんは、営業は24時間ではなことなどを含め、速やかに説明してくれました。


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震災の被害、教訓とともに、復興の道筋を語り継いでいく「語り部」たちが被災地を案内する語り部タクシー。

石濱さんは、今年も1月2日より、利用者を被災地域に案内したといいます。

荒浜小校舎、期日がくればいずれ撤去されるコンビニエンスストアの仮設店舗、その他は、さまざまな事情から建物の解体、撤去が済んでいない数軒の家屋だけが残る仙台市・荒浜地区の風景。

「語り部タクシー」を体験し、その風景をこの目に焼き付けただけでも、あとひと月ほどで3年が経過する震災の記憶やその後の歩みは、伝えていかなければならないことがいまだ数多くある、と強く感じました。


仙台中央タクシー株式会社
http://www.sendaichuotaxi.co.jp/



後編では、基本コースの後半ルート、名取市閖上地区の現在の様子と、仙台中央タクシー株式会社、清川晋取締役に「語り部タクシー」についての取り組みについて伺ったお話を紹介します。


後編は・・・
2014年2月24日月曜日
「語り継ぎます」~仙台中央タクシー・語り部タクシー 後編(仙台市)
http://kokoropress.blogspot.jp/2014/02/blog-post_1556.html

(取材日 平成26年2月5日)